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ー第5話ー 『白髪の魔族』

魔王グリムの後ろにライト・メアが立ちまるで小さな会談みたいな形になってるが、どうしてこうなった。


目の前に置かれた紅茶をガンマは優雅に飲む。俺も一応ティーカップは手に取っておき飲む動作はしておく。

うん、やっぱり匂いが駄目だ。きっと紅茶が好きな人は沢山居るだろうが俺には無理だ。苦手なものは苦手なの!!


「バンシィ殿。先程は此方のメアが大変無礼を、お許しくだされ。」


先に沈黙を破ったのは魔王グリムだった。


「いえ、構いません。時期が時期ですので、仕方のない事だと思います。」


すると目の前に一本のボトルが差し出された。

魔王グリムを見れば冷や汗をかきながら乾いた笑みでそのボトルを差し出している。


「どうか、これをあのお方に…」


………読めたぞ!成る程な、さっきのライト・メアの攻撃が反逆かなんかだと思ってんだな。確かに、おっさん大魔王の配下である(設定)俺が報告するのだから俺が変な事を言わない様に話をごまかしている感じか。成る程。別におっさんは怒らんと思うけどな、そんなしょうもない事で。

でも、貰えるものは貰っておこう。


「承りました。」


俺はボトルを受け取り中身を見て確認してガンマに持たせた。

中身は赤ワインだった。多分相当な値打ちのものだろう。


「して、此度はどの様な御用で…」


魔王グリムが愛想笑いのような笑みで話を切り出してきた。


「はい。アムリタ様の命により、現在、世界の中で最も多くの食材を扱っている地を訪れよと命令を受けておりまして魔族領を統制する魔王グリム様ならば知っているのではないかと思いまして参上した次第です。」


「成る程、そう言う事でしたか、でしたらブゥルムンド大陸の中心地、平穏の街『フレクトリア』がよろしいかと思いますぞ。」


「フレクトリアですか、貴重な情報ありがとうございます。これで、アムリタ様もお喜びになるかと思います。」


「それは…それは…」


心なしか魔王グリムの顔が明るくなった気がした。

では、ここに来たからにはまともな話もしとかないとね。


「話を変えますが、魔王軍は今どの様な状況で?」


話を切り出すと魔王グリムの顔が引き締まった。


「お恥ずかしいながら、現在、人族の勇者に『四大魔将』の二柱を崩され、同じく四大魔将ゴーラスが人族に捕らわれ新たに加わったクッティーが現在代役を務めておりますが、現在連絡が取れず…現在はここにいるメアただ1人となっております。申し訳ございません。」


「勝機はありますか?」


「………勇者を下し人族の士気を下げる事で我が軍の勝機はありますが…勇者が手強く…」


「でしょうね。」


ソファーに腰を深くかけ直し言葉を繋ぐ


「その勇者ですが、今現在この魔王城に向かい真っ直ぐ歩いてきています。あと数日もすればやって来るでしょう。」


「なんと!それは確かですか?」


「ええ、私も来る時に確認しましたので間違いはないでしょう。」


すると目の前にあった紅茶がガンマの飲み干した紅茶とすり替えられた。チラ見するとガンマは知らん顔で紅茶を啜っている。

まぁ、別にいいのだが…


魔王グリムは何か考えを纏めているのか、随分と真面目な顔で白い花を見つめている。


…この花、なんの花だろう?


「バンシィ殿。ひとつ頼まれてくれないですかな?」


「…一体なにを?」


魔王グリムは視線を此方に合わせ意思を通す様な強い視線で言った


「もし、私が討伐された時、魔王軍が崩れる事により魔族達は大きな混乱に巻き込まれる事になる。もし、もしもそうなってしまった時どうか民だけは…民だけは救って貰いたい…」


え、やだよ。面倒くさい。


危な!もうちょいで口に出るとこだった!


……面倒だな、適当にそれっぽい理由で断っとこ。


俺は立ち上がり扉に向かって歩き立ち止まる。ガンマも慌てて立ち俺の後について来た。

そして俺は息を吸いこう吐き出した。


「『もしも』などと言う言葉は聞きたくはありません。魔王グリムに『もしも』があってはならんのです。そして、私には魔族の民を救う様な力はございません。アムリタ様にもその様な力はもう残ってはおりませんしそれに……」


ため息まじりに息を吸いこむ。


「アムリタ様は魔王グリム様に手を差し伸べる事はもうないでしょう。」


扉を開け部屋から出る。


「ご武運を祈っております。紅茶、ご馳走様でした。」


そして俺とガンマは魔王城を後にした。










「あーーーだる……」


「そうでした?主様なかなかカッコ良かったですよ」


夜の帳が落ちた海の上の空を優雅に飛び俺とガンマはブゥルムンド大陸を目指している。

ブゥルムンド大陸。おっさんが産まれた地でありおっさんが『魔王』だった頃に魔王城があった嘗て最も活気のある土地だったらしい。と言っても300年前の話だから今はどうか知らんけど。


「見えてきましたよ、あれがアムリタ様の魔王城でその下の街がフレクトリアです。」


「んー?どれどれ、え!?」


目の前に聳える山の様な城。その下を囲む王都ロトムスよりも広い街は光り輝きまるでナウ◯カのワンシーンの様だ。

まん丸の月が山の様な城を照らし幻想的な雰囲気を出している。


おい、おっさん…こんな凄いとこあんなら教えろよ…何だったんだ今まで巡った世紀末みたいな魔族領……





兎も角、着陸。


街は街灯によって明るく照らされ夜であるのに拘らず街には人が行き交い静まることを知らない。

街を歩き道に並んだ様々な店を見て回る。


服屋に服屋…そして服屋……服屋多いなおい。しかし、もう直ぐ営業終了なのか商品棚の電気は消え始めていた。


「主様、お腹空きませんか?」


「ん?そうだな。」


ガンマがお腹に手を当て訴えてきた。確かに、だが、飯屋は見当たらんな。

と、少し探しながら歩いていると立ち並ぶ店が変わってきた。


『ドワーフ料理』


『魔人料理』


『方々亭』


『獣人料理』


『三天狼』


『らぁ麺』


!?


らぁ麺だと!?何故だ!いつの間に世界展開しやがった!!


らぁ麺屋…侮れん…だが行かんぞ。


俺が今、目指している店はそこだ。


『ステーキプリン』


随分と矛盾した看板だが、面白い。ステーキなのか、プリンなのか、もしかするとプリンの様なステーキの可能性もある。

面白い……実に面白いぞ!


「ガンマ、あそこに行くぞ。」


「え?あ、はい。」


ふむ、あまり乗り気では無さそうだが強制だ。


ステーキプリンの外見は一見普通の料理屋だ。押し扉に『ステーキプリン』の文字が刻まれその下にはopenの文字がぶら下がっている。


扉を開け中に入った。中は4人がけのボックス席が8席と少し狭い感じだった。壁にはメニューと思われる品の名前の札がいくつも掛けられ肉の香ばしい匂いが充満している。


「いらっしゃいませー!2名様ですニャー?」


店の厨房から現れたのはミケ猫の獣人。耳がピンと張り尻尾は自由にクネクネ動いている。


「ああ。」


「じゃあそこの奥の席にどうぞニャー」


ミケ猫店員に案内され入り口から一番奥の席に座った。

テーブルは油汚れなのか少しだけベタつく。まるで年季の入った中華料理屋みたいな感じだ。

俺とガンマの間にカトラリーが置かれた。


「何にしますにゃ?」


注文票を持ったミケ猫店員がニコニコと営業スマイルを浮かべ立っている。

俺は少しメニューの貼られた壁を見るがなんかいっぱいあって決められない。


「オススメは?」


「にゃ、当店一番人気は『クロクロイのステーキ』にゃ。」


「じゃあそれ一つ「二つでお願いします」


ガンマの横槍が入った。


「にゃ、クロクロイのステーキ2つ。ソースはデミグラスとプリンソースがあるにゃ。」


プリン……ソース……


「プリンソース2つ「私はデミグラスでお願いします。」


此奴……


「にゃ、かしこまりました。クロクロイのステーキ、プリンソースとデミグラスにゃね。」


そう言ってミケ猫店員は厨房の奥に入って行った。


改めて店内を見ると二、三組様々な種族の方がステーキを食べている。うむ、美味しそうだ。


暫くガンマとこの後の行動計画を話しているとジュウジュウと肉の脂が跳ねる音と香ばしい匂いが漂ってきた。


「お待たせにゃ。クロクロイのステーキ、プリンソースとデミグラスにゃね。」


鉄板に乗せられたステーキが目の前に置かれた。プリンソースと言ってもどうやら俺の知っているプリンではないらしくその見た目は赤い。対してデミグラスは普通にデミグラスだった。

ステーキの横にポテトが二本置かれほうれん草にコーンも添えられている。


「はいにゃ、サービスのパンにゃ。」


クロワッサンの様なパンが2つ皿に乗せて置かれた。

これが…サービス…なかなかやるな。


まずはナイフとフォークを手に取り目の前のステーキを一口サイズに切り食べた。


うむ、少しピリ辛で美味しい。


一口噛むだけでスッと食べられる噛めば噛む程に肉汁が溢れ肉の旨味を味あわせてくれる。

そしてプリンソース。

これがまた良い。デミグラスが基礎でそれに唐辛子とかの香辛料が効いて美味い。プリンソースとか、俺の知っている『プリン』とは正反対な味だが、これは美味い。人族領には無かったものだ。


パンも一口齧る。

うん、これも良い。もちもちとした噛み応えでステーキと合う。これはいい……





「ご馳走様でした。」


「ありがとうございましニャー」


とても美味しかった。ただ、普通に高かったが。20ルムンドかな?一つ千円くらい多分。あれ?ステーキだったら安い方か?

まぁ、何にしても美味しかった。


本屋を見つけたので気晴らしに寄ってみた。

魔導書や魔術書、武器の書、小説、色んな本が置いてあり少し見て回った。


店内はそれ程人は多く無く2、3人だ。それも魔人だけ。魔人って真面目な人多いのかな?

……違うか、たまたまだな。


武器の図鑑とか言う本を手に取りパラパラとめくる。へーこんな変なのあるんだー。


それには絶対使わないだろとか最早芸術の域に達している武器がいくつも載っていた。


「所で主様。アムリタ様への土産は良いのですか?」


その時、凄い視線を感じた。

少し見渡すが特に異変はない。


「どうかしました?」


「……いや、おっさんになど適当に石と草でも持ってっても喜ぶだろうに。」


「いや…流石にアムリタ様でもそこまで変態じゃないと思いますよ。」


ガンマ…お前多分それでおっさんをフォローしてるつもりだろうが、傷つけてるからな。


「そうか?じゃあ、ガンマ、お前が選べ。」


「えー嫌ですよ。アムリタ様の趣味なんて私、海水浴くらいしか知りませんよ。」


「そうか、じゃあこれで良いんじゃないか?」


俺は手に持っていた武器の図鑑をガンマに見せた。


「……適当じゃないですか……大体、主様はアムリタ様の相棒なんでしょう?相棒の好きなものくらい知っててくださいよ。」


ガンマが呆れた顔で言った。確かに言う通りかも知れないが、正直あの規格外の大魔おっさんに変な物渡してまた俺の家が謎仕様に改造されたらたまったもんじゃない。


「おっさんには何もあげないのが正解だ。」


「そうですか…じゃあ、どうします?また、肉でも買いに行きますか?」


「ん?いや…そうだな…一度外に出るか。」


強い視線が再び感じた。


本屋を出ると街の明かりが減り始めていた。流石に24時間営業は少ないらしい。と考えると本屋、凄えな。店員がいた気配は無かったけど。





気付けば街灯が減り店も無くなり人通りも無くなった道に迷っていた。




そして俺はあの強い視線の正体と出会った。



「失礼、少し良いですか?」



その男は見たことない白髪の魔族だった。

因みに僕はネコミミが好きです。

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