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不死身の神官〜色々平均以下の俺が転生して不死身になった〜  作者: ほねつき
ーヨールパル大陸ー 魔王勇者決戦編
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ー第3話ー 『魔王倒しに来てますか?』

王都サンで最も大きな市場に足を踏み入れ人混みの中、流される様に歩く。紫のローブに仮面とかなり目立つ姿をしているがすれ違う人は俺になど目もくれずその視線は全て並べられた食材の数々を見ている。

そんな中で向こうの方から艶のある赤い肉の塊がこちらに迫ってきていた。

そしてそれを持つ黄色の髪の人はこちらに気がつくと手を振り小走りで人の合間を縫ってやって来た


「主様!!見てください!こんなにも肉が買ました!」


そう言って自らの体格の何倍もの大きさの巨大な肉の塊を片手で持ち上げ手を振る黄色の髪でチャラい顔つきのガンマ。

ガンマはドラグに頼らず自分で人化できる様になった。

俺の部下の中で唯一、人になる事が出来るので今回も俺の共として付いてきた。


何故連れて来たかと言うと見ての通り、食材を買いにやって来たのだ。

うん、魔物の肉や自然動物の肉は飽きたからな、わざわざ此処まで来て牛肉とか豚肉とか家畜の肉を買いに来たわけだ。


だがな…


「ガンマ、買い過ぎだ……」


俺はその…多分、牛肉。の塊を見つめガンマに言った。


「そうですか?主様から頂いた金貨で買ったのですが……」


そう言ってガンマは落ち込んだ表情で肩を落とす。

……待てよ…今此奴、とんでもないことを言ったぞ。


確か俺は『食材を買えるだけ買え』そう確かに言った。そして俺が渡した金貨。それ一つで2,000チールする。これは今の玉ねぎ価格で4個入り玉ねぎを1000は買える大金だ。ん?例えが分からんと?そうか、ならば大金という事だけ思っていれば良いッ!!


「おい、ガンマまさかあの金貨、その肉を買う為に全部使ったのか?」


その言葉にガンマの表情が凍った。


「…肉だけじゃダメですか?」


「当たり前だ。何の為に市場に来たと思っていたんだ?」


普通色んなもの買うだろと付け加える。

そう言うとガンマは更に落ち込んでしまった。


「…もう良い、買ってしまったものは仕方ない、で、この肉は何の肉だ?」


「グロンドブロークと言う牛の肉だそうです。」


グロンドブローク?聞いた事ないな。新しい品種か?

まぁ良い、しかし…肉を肩に乗せて歩くのは邪魔なのでアイテムボックスにしまってやった。


「グロンドブロークか?一体どんな肉なんだ?」


「はい。肉屋オススメの肉です!美味しいらしいので買えるだけ買いました!」


ガンマは落ち込んだ表情から一変し満面の笑みで俺に言った。きっと此奴は俺のご機嫌とりをしているつもりなのだろう。因みに俺はそんな事で機嫌が良くなるわけではない。根に持つタイプだからな。

しかしまぁ、ふーん、美味しのか。肉屋の言った事らしいから美味しいのだろう。

美味しいものが食べられることは非常に良い事だ金なら結構あるから別に良いか。

だが、二度とガンマにはお使いはさせない事は確定だな。


「さて、肉を買ったなら次は野菜だ。行くぞガンマ。」


「はい!!」



そして俺とガンマは市場に並ぶ様々な野菜を購入し市場を出た。






俺とガンマは王都サンを出て人気のない森に足を踏み入れた。

しばらく歩いてガンマが唐突にこんなことを言った。


「主様。魔族領に行ってみませんか?」


「ほぅ…何故だ?」


「はい、魔族領にもまた色んな食材があるかと思うんです!」


「へー」


まぁ、一理あるな。だが、俺は魔族領で市場を見た記憶はないな。行ったことがあるのは魔王城だけだが……


……いや、待てよ…だったら………



「おい、ガンマ。魔王城に行くぞ。」


「え?はい。」


人化を解いたガンマが黄色のプテラノドンの姿に戻り俺はその背中に飛び乗った。


その瞬間ガンマは翼を大きく広げ大空へと飛んだ。

その速度はドラゴン並でガンマの種族。オーバーなんとかは鳥系の魔物の中で空中での最も速い移動速度を持ちその速度は天龍族やドラゴンと並ぶ程の速さがあるらしい。


風を切る音がうるさ過ぎて俺は思わず防音壁を張った。


あっという間に王都サンは豆粒の様に小さくなり雲を切りガンマは羽ばたく。羽が一振りされるとその瞬間に一段と速くなり気が付けば大陸ではなく海の上を飛んでいた。




数分間海の上を飛行していると






『主様!間もなく魔王城のあるヨールパル大陸です!』


頭の中で響くガンマの声。

そう言えば此奴、知らない間に念話を覚えていやがった。だが、まぁそれはそれで便利だから良いが。


『ああ分かった魔王城近くの森で着陸してくれ。』


『分かりました!』


更にガンマの速度は上がり俺はふと、此奴、音速超えてんじゃないか?という疑問が浮かんだが別に何でも良いかと俺は考えるのをやめた。


ガンマの背中から下を覗くといつの間にか陸の上を飛んでいた。村か集落か分からんが、点々としている平原が数秒続いた。


『そろそろ着くので速度落としますね。』


『ああ、構わん。』


急にスピードダウンして俺は前に投げ出されるかと思い力技で身体を引き戻した。

ビックリしたわ。落ちたらどうすんだよ……死なんけど。

少しガンマに殺意と不満を覚えたがまぁ、乗せてもらってるから仕方ないと諦めた。


ふと下を覗くと何やら霧が濃い森の上を飛んでいた。

そしてある一点だけ森の中に森じゃない部分が見えそこだけ何故かめちゃめちゃ魔力が溜まっていたので千里眼で確認して見た。



うん、なんか雷かなんかで焼かれた後みたいなのがあってそこだけ土はえぐれて真っ黒焦げで草木も何にも無かったわ。なんだ、ここ…魔族領って物騒だなー


千里眼を解いて普通に下を見ていると霧が濃い森を抜けた。……結構広く霧があったな。

それかガンマが凄い遅いスピードで飛んでるから広く感じただけだな。

いや、まてよ。ここは空だから高いとこにいるからここから小さく見えるものは結構広いだろ?

じゃあ今の森はめちゃ広いんじゃないか?

うん、多分そう。


だって、村がゴミの様だもん。


『おい、ガンマ。少し高度を下げろ。』


『分かりました!』


ガンマが急降下して雲の高さよりも下に行き近くの山の頂上と同じ位の高さまで下りた。

…凄いフワッとした。


平原が続き野生動物や野生魔物?が結構いる。

魔族と思う奴は見当たらない。



あ、いた。



四人。見られるとマズイかな?まあ、大丈夫か、こっちから肉眼で見てもちょっと大っきい粒だし。向こうからは見えないだろうしね。


千里眼を発動しその四人がどんな魔族か見てみる。



青い髪の男と黒髪の男と金髪の女と青い髪の女の子。


青い髪の男はとてもタッ君に似ている。

そして黒髪の男はとても勇者ナガトに似ている。うんで、金髪の女の子は知らないなで青い髪の女の子はどっかで見たことあるかも…




ん?


あれ?もしかしていや、もしかしなくてもこれ、タッ君達勇者じゃね?


もう一度よく観察する。


うん、この剣、この髪、この格好。絶対タッ君だわ……


えーアレですか?魔王倒しに来てますか?旅行じゃないよねー、絶対違うねー


もう良いや。さっさと魔王グリムに目的の事を聞いたらさっさと行こう。早めに行かないと巻き込まれそうだ。それは面倒くさい。



!?



ビックリした…一瞬女の子と眼が合ったかと思ったわ…そう言えば千里眼やったままだったわ。



さてさて、


『ガンマ。未だ着かないのか?』


『もう見えてますよ。あそこです。』


真っ直ぐ前を見ると俺のいる位置より下。真っ黒な城が聳えその周りを囲む形で黒い建物が建ち並んでいた。ただ、王都サン、王都ロトムス、王都シューラの様な城壁は一切なかった。

魔王グリムって馬鹿なのかな?城壁のない城ってww




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