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不死身の神官〜色々平均以下の俺が転生して不死身になった〜  作者: ほねつき
ーヨールパル大陸ー 魔族領進撃編(勇者視点)
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ー第4話ー 『全ては前魔王様の為に』

さて、親父さんが奥の部屋へ行ってしまって何やらくれるようだが武器を持つ事のできない俺に一体何をくれるというのだろうか。


奥の方で何かの魔力を感じた。

倉庫にも魔法で開く扉でもあるのだろうか。


暫くして親父さんは何やら腕に抱え幾つか持って戻って来た。


・蒼い宝石の様な装飾がされた鞘

・かなり色が黒くなっている木の棍の先に透明の少し小さな水晶がはめられた杖

・小さなエメラルドがつけられた小さなブローチ

・九色の宝石がはめられた腕輪


この四つをテーブルの上に並べ親父さんは最初にブローチを手に取りリーリャの前に置いた。


「それは回復ブローチで、小さな傷を自動的に治してくれるブローチだ。」


「有難く頂くわ。」


リーリャはそれを手に取ると左胸に付けた。小さなエメラルドがキラキラと輝きを放ちリーリャの紅いコートを引き立たせる。


「次は…これだ。」


そう言って親父さんは杖をリンにの目の前に置いた。

リンは恐る恐るそれに触れて、何も起こらないことを確認してからそれを手に取った。


「そいつは杖だが、素材に魔力樹の幹を使いAランクの魔石を不純物を抜き純潔にした魔石を取り付けたものだ。お前さんが使う魔法によって属性が変化し威力を高めてくれる言わば、使用者に合わせてくれる杖だ。大切にしてくれ。」


「ありがとう…」


あれ?なんかリーリャのとレベルが違くないか?リン優遇され過ぎじゃない?


「うむ、次はこれだ。」


親父さんは鞘を取りタリウスに渡した。


「お前さんのその魔剣にピッタリだと思ってな。これには魔剣の魔力を少しであるが補充してくれ納刀している間は刃こぼれを直したりする優れものだ!」


「そんな良い物……ありがとうございます!」


「そして、最後にこれだ!」


そう言って手にした九色の宝石が輝く腕輪を掲げた。


「こいつはな、【九石龍】から取れた質の良い9個の魔石を使って作った腕輪、名付けるならそう……『九石の腕輪』!!」


そのまんまじゃねえーか!


「おっと、九石龍とはお前さん達やった事はあるか?」


「無いです。」


俺は少なくともない。もしかしたらタリウスはあるかもしれないが…

俺はそう答えた。


「そうか、なら軽く説明してやろう。九石龍はなSSランクの魔物でな、8種の属性魔法を使ってくるやばいドラゴンだ。このドラゴンと逢ったら死と同じと呼ばれるほどの魔物だな。何十年か前にそれの討伐が魔族の間で決定し死者10人の被害を出したな。その素材を横流しして貰って今俺の手元にあるってんだな。」


「成る程。」


「しかし、この腕輪は9個魔石があります、8種のみの魔法なら魔石は8個になると思うのですが。」


あのリンが疑問になったのか親父さんに質問した。


その質問に親父さんは待ってたとばかりニマリと笑った。


「よくぞ、聞いた!そう!【九石龍】の能力はもう一つある。それは……」


「それは……」


何故か緊張が走る室内。


「【九石龍】は1度だけ蘇るのだ!!」


「「「な、なんだってぇぇーー!!」」」


俺、タリウス、リーリャが同時に驚いた。

俺はノリだぞ。

いや、しかし、驚いたな。蘇る?


「フッ、【九石龍】の別名は【二度手間龍】…前魔王・・・様が九石龍の特性を書いた書に『二度も倒さねばならん面倒くさい上に手強いドラゴンである為、二度手間な龍で二度手間龍と命名しよう』と明記されていたのでその名が当初の名は【二度手間龍】だったんだな。」


成る程、前魔王様とやらは相当ネーミングセンスが無いようだな。


「まぁ、それでだ、この腕輪には装備者が瀕死、或いは即死を一度だけ防ぎ魔力、傷、全てを完治する能力を持っている。ただし、この能力が発動すると他の8個の魔石の能力も駄目になるから、使用後はお洒落にでも使うと良い。」


親父さんは簡単に言うが瀕死、即死の状態って殆ど起こらないけど、起こった時は絶対絶命なだけだから死ぬのが遅くなる位じゃん……


「それが発動しない状態ならただの属性魔法強化の腕輪だから期待はしないほうが良いぞ。まぁ、お前さんは装備出来るかどうかすら分からんけどな。」


親父さん……


「ありがとうございます…」


恐る恐る腕輪を左腕に通した。





…………………………





何も起こらない。良かった。大丈夫みたいだ。


「よし、何も起こらなかったみたいだな……時にコルガ、もう寝る時間だ、お前は寝ろ。」


「……うん……」


いつの間にか正座で半目を閉じ白眼でウトウトしていたコルガに親父さんは気付いていたようだ。


コルガはフラフラ立ち上がり転移し消えた。





「さて、お前さん達はどうするんだ?人族だとしたらあまりここに居るとよく無いんじゃないか?」


「そうだよな…」


下手にここに居て魔人に見つかっても面倒だし、それに親父さん達にも迷惑かかるしな……

だけど、今は夜だ、下手に動いて道に迷ってもいけないし……


「処で、お前さん達は何処へ向かっているんだ?」


親父さんが肘をつき聞いてきた。どうする?眠りの森に向かってますって本当のこと言ったほうが良いのか?


チラリとリンを見た。リンも半目で凄く眠そうだったが俺が見ている事に気付くと目を開け親父さんに言った。


「『眠りの森』に向かってます。」


「『眠りの森』?……なるほど、そこまで行きたいのなら転移魔法陣があるぞ。」


「え?」


衝撃の告白!マジで!?転移!?転移出来ちゃうの!?この親父さん何者だよ!

マジで魔王なのか!?ティーターンなんちゃらなのか!?


親父さんに少し疑いをかけるが辞めた。

色々してくれた人に仇で返すなんて俺には出来ないからね。

きっと冗談だろうし


「どうするんだ?使うか?」


俺はなんとも言えず3人を見た。しかし、3人は3人とも俺を見ていた。

くっ…今までの徒歩は何だったんだ…ここで短縮できるのは良いんだが…


「使わせて下さい。」


「良いだろう」


パチンと指を鳴らすと部屋がまた変わり今度は魔法陣が描かれた土台がある広い部屋にでた。

壁には一面魔導書らしき本が並べられ研究室の様に見えた。

親父さんはその本棚の一つと対面し本を漁っていた。


「えー…と、転移理論は……確か…『魔力の移動と構築』に載っていたはず……あった。」


親父さんは目的の本が見つかった様でそれを手に持ってきた。


「その本は?」


「ああ、これはな、俺が最も尊敬する御方の書かれた魔導書だ。これがあれば最も安全に誰でも転移させることができる。」


「へぇ…そんな凄いものを書く人がいるんですか…一体どんな人なんですか?」


「フッ、残念だが、この書は300年前に書かれたものでな、俺は名前しか知らんな。」


300年前の魔導書……大丈夫なの?


「まぁそんなことは良い、お前さん達はそこの魔法陣の真ん中に立ってくれ。」


「はい。」


俺たちは指示通り魔法陣の真ん中に立った。


「唯一この転移魔法の欠点を言うとどうやらタイムラグが発生するらしい。」


親父さんが魔導書を読みながら言った。ちょっと…だんだん心配になってきたんだが…


「だが、確実に転移はされるから安心しろ。だとよ、お前さん達、安心しな。ただ、タイムラグは距離に変わらず十二時間のタイムラグが発生するらしい、つまりお前さん達が『眠りの森』に転移した頃には昼前ってくらいだな。」


「何から何までありがとうございました。」


「良いってことよ、じゃあ、始めるから静かにしてろよ。」


俺は静かに親父さんを見守った。

魔導書を開き構えた親父さんの魔力がだんだん上がり始めた。

魔導書を開いている親父さんはとてもドワーフの鍛冶屋には見えず魔人の魔法使い・・・・・・・の様に見えた。




始まり旅立つラーディス我が同胞達ディーラドララーン時と空間のブイドシーン次元を破りスレイズギジル我が元をヤーキディラ旅立ちラーディス新たなるフォーラン我の元へとヤーキドラ集い給えロードムーブ。」


きっと300年前の詠唱だろう、聞いたこともない詠唱を耳に俺たちの意識は途絶えた。

________________________________________





親父さんは4人が転移するのを見送ったあと転移させた椅子に腰を掛けゆっくりと呟いた。


「現魔王に恨みがある訳じゃない…ただ、の中で『魔王』という椅子に座って良いのはティー・ターン・アムリタ様、ただ一人なのだ。アムリタ様が復活なされた時、その椅子に誰かが居てはならんのだ。『勇者』よ確実にファランド・グリムを討伐してくれよ…」


親父さんはドワーフの姿から二本の黒い角が生え白い髪の魔族の男に変わっていた。


「今夜は満月、私がドワーフビビスから出れる日と『勇者』が現れる日が重なるとは、これは運命なのかもしれないね…」



その男は立ち上がり何もない天井を見上げ背筋を伸ばし右手を胸に当てた。



全てビィスヴィ前魔王様の為にベルディブル…」






非常に眠いです…字を書こうとするたび眠くなり気付いたら寝落ち……一体どうすれば……

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