ー第3話ー 『肉、肉、肉!!』
一癖二癖もある多種多様の武器が配置された武器屋の中で黒い羽衣を纏った小太りの中年と魔法使いとは違う雰囲気を放つローブを身に付けた背丈、顔といい幼さが抜けないながらも冷静沈着な態度で中年と問答を交わす2人。
事情を知らない者が見れば中年が幼い子に襲いかかろうとしてる様にしか見えないだろう……
「リン君、所謂、属性魔法と呼ばれる魔法とは一体何かな?」
「…八色魔元素。自然に発生する現象を魔力によって発動させる事のできる魔法。人によって使える魔法が変わるものです。」
「フッフッフッ……違うな、間違っているぞ!リン君!!勉強していないのではないのかい!?今は新たな色魔元素が発見され九色魔元素となっているのだよ!!」
「な…に……」
親父さんとリンは何故か、アレから一時間ほど魔法について問答が始まっていた。
因みに、親父さんが質問ばかりでリンはそれに答えているだけだ。
そして、親父さんの知識量が負け既に何十回もの訳のわからない魔法の理論をこれまた訳のわからない単語でペラペラされているが、親父さんが今の今まで勝ってはいなかった、どうやら今の九色魔元素とやらはリンでも、知らなかったみたいだ。
だが、それにしても親父さんのドヤ顔って無性に殴りたくなる顔だな……
「九色魔元素の仲間入りとなった新たな魔元素はエネルギーを吸収する現象、無属性だ!!」
「エネルギーを吸収?」
2人の問答の間にずっと聞き入ってたタリウスが口を挟んだ。
「そう!エネルギーの吸収だ!モノを取り込む。自分のモノにする、例えるなら、水の入ったコップとそうでないコップがあり、水が水の入っていないコップに移動する様な現象の事だ!」
よく分からん。そんな顔をタリウスはしている分かるぞ、その気持ち、俺も分からん。
「……より分かりやすくするならスポンジが水を吸うのと同じ。」
「あー、成る程。」
タリウスよ、頭にハテナが付いてるのが分かるぞ。
だが、そんな事より良い加減話を終わって欲しい。
あの、リーリャですら椅子に座って無言で2人を睨んでるし……
「親父!出来たぜ!!」
スッと何もないところから現れたコルガが赤いトロンボーンの様な楽器を持って現れた。トロンボーンはコルガと同じ位の大きさでコルガはそれを両手で抱えながら持っていた。
「おぉ!コルガか!どれ見せてみろ。」
コルガからトロンボーンを片手で取り上げ隅々まで触りながら確認する親父さん。
「うむ、これなら上出来だ。」
「本当?マジで!やった!」
手を上げて喜ぶコルガ。
うん、状況が読めないな。
「親父さん、それはなんなの?」
タリウスが聞いた。
「うむ!これは、お前さん達がくれたビートコングから作った高周波装置、名付けて、『スーパーウルトラ・コウモリ追い払い機』だ!!」
ダセェ…
「親父ェ…」
「………」
「………」
「…センスが壊滅的ね…」
リーリャ!例えそうだとしても、それは言っちゃいけないやつだよ!!
「うむうむ、我ながら良いセンスしておる。」
良かった親父さんには聞こえてなかったみたいだ
それにしても、あのビートコングの素材がこんなトロンボーンに変わるなんてな…
「うむ、そろそろ、あの、蝙蝠の群れが現れる頃だな。どうだ?お前さん達もこのスーパーウルトラ・コウモリ追い払い機の力を見に来るか?成功すれば一瞬で終わるからな」
「……あ、じゃあ、見せて貰いましょう」
「うむ、そうか、では行こう!」
そう言って親父さんは扉を開け俺以外、全員連れて出て行こうとした。
「待て!俺も行く!」
「ナガト!大丈夫なの!?」
「大丈夫!治った!」
気付いたら治ってた!!
「おおう!そうか、では行こう!」
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ
「キモッ!えぇ!?想像以上にキモいんですけど!!」
あのリーリャがまるで女の子の様な悲鳴を上げている。
それもそうだ、空が黒く染まるほどの大量のコウモリ、数千はいる。俺だって悲鳴を上げたい。
「ちょっと、あんた!変な事考えてない!?」
「いいえ」
おっと、顔に出ていたかな?
いけないいけない。
「ハッハッハッ!コルガ!準備は出来たか?」
親父さんは踏ん反り返って空のコウモリを見ながらコルガに聞いた。
「うん!チューニングは完了した!」
トロンボーンをチューニングしたらしいコルガが親父さんに渡す。
親父さんはマウスピースに口を当てあの、なんだろ、手でカシャカシャするところをカシャカシャして吹いている様だった。
「…ッ!」
突然キーンと言う耳鳴りが襲い耳を塞いだ。
コルガやリン、リーリャにタリウスも同じ様に耳を塞いでいた。
唯一、演奏者の親父さんはノリノリで吹いている。
キーン!キーン!キーン!
と耳を塞いでも聞こえた音の後トロンボーンから波動の様な半透明のものが波紋に広がり群がるコウモリを押し出す様に拡がっていく。
その一瞬で先程まで真っ黒だった空が夕陽に染まり真っ赤な空に変貌した。
あっけな。
「え?終わり?」
「流石俺の娘だ!コルガ!上出来だぞ!!」
コルガの肩を叩いて喜ぶ親父さん。
待って、これで終わりなの!?
えぇ!?一瞬だよ!?本当に一瞬じゃん!それってどうなの!?もうちょっとないの!?故障するとかさ!?
トラブルってないの!?ほら、定番だろ!?
「さぁ、帰って飯でもどうだ!」
「え?良いんですか?じゃあお言葉に甘えて…」
タリウスが答えた。
俺は余りの呆気なさにただ、呆然とするしかなかった。
大きな丸テーブルに六人が囲む様に座り真ん中にはこんがりと焼けた大きな肉の塊が置かれた。
それぞれ取り皿とナイフとフォークが置かれた。
「ハッハッハッ!今日はご馳走だ!!たーんと食えよ!」
「わーい!!」
「……これが…ご馳走…」
「………」
「…ステーキが食べたいわ…」
だからリーリャ!!そう言うのは思っても言っちゃダメだって!!
しかし……まさか、ドワーフは肉の塊がご馳走なのか…
「あの、親父さん?」
「ンガ?どうした?」
拳サイズに切った肉を頬張る親父さん。
「米…パンはないのですか?」
タリウスが聞いた。ほんと、タリウスはそう言うところに気が回るから良いね。
「……米?パン?なんだ、それ?力をつけるには肉しかないだろ?」
衝撃展開!!
なんと!米もパンも知らないの!?魔族って食べ物にこだわりないのか!?
「…ドワーフは物を作る事だけに生きる意味を見出した種族…我々人族と違い食に関して余り関心がない…それが、ドワーフ。」
別に魔族全員が肉しか食べてない訳ではないらしい。
流石賢者、物知りだな。
「なぁ!米とパンってなんだ!?」
肉を引きちぎって食べたコルガが身を乗り出して聴いてきた。
「食べ物だよ。米はモチモチして噛むたび甘くて美味しんだよ。」
「パンはスープにつけて食べるのが美味しいわよ。」
うん、リーリャ、今、米の話だからね?
「米…パン…スープ……なぁ!それってどこにあるんだ!?やっぱり魔人の街にあるのか!?」
「……」
おい!お前ら困った時だけコッチを見るな!
「うーん、まぁ、そんな所かな?」
「へぇー行ってみたいなぁ…」
「コルガ、勝手に出て行くなよ。」
親父さんがコルガに釘を刺した。
「う…分かってるよ。」
コルガは座り直すとしょんぼりしながら肉をかじり始めた。
俺も食べるか、ナイフとフォークを使い一口サイズに切って口に入れた。
あ…美味しい。
もう一口。
美味しい…
少し焦がした香ばしい香りが口の中で広がりスジの様に固いのかと思いきや噛んだ瞬間、フワッと溶けるように旨味を含んだ肉汁が溢れ出て舌を踊る。
なんだこれは!!
大きく切って口いっぱい頬張る。
うぅ………うまい!!
こんな肉!今まで食べた事ないぞ!!
A5のサーロインなんて比じゃない!なんだ!これは!美味い!美味い!うまあぁぁぁぁぁい!!
「おお!良い食いっぷりだねぇ流石にご馳走出した甲斐があったってもんだ。」
親父さんがガハハと笑い肉を食べた。
俺に誘発されたタリウス達も一口食べると驚いた顔で頬張り始めた。
まぁ、リンは頬張らず一口一口丁寧に食べてたけど。
あっという間に巨大な肉は俺たちの胃袋の中に入ってしまった。
一体あの肉は……
「ガハハ!流石にAランク上位の肉は違うなぁ!」
「本当だぜ!ナガト達のお陰だよ!」
「俺たちのお陰?」
「ん?そうだ、だって今の肉、ビートコングの肉だぜ?」
「な、」
「……」
おいおい、マジかよ、王国でも誰も魔物の肉は美味しいなんて言ってなかったぞ。
まさか!あの国王共、魔物の肉を独り占めにしてたのか……?
だとしたら割とマジで許せねぇ。
こんなに美味しい肉独り占めだと…
よし、今回のサブミッションはより強い魔物の肉を手に入れよう。うん、そうしよう。
「さて、飯を食べた事だしお前さん達にお礼の品を渡すとするかな。」
俺が今後の食について考えていると親父さんが部屋の奥へ行ってしまった。
癖のある鍛冶屋の品。一体どんなものが……
俺は期待と不安を抱えながらも頭の片隅では魔物の肉の事を考えていた。
「ジュルリ…」
親父さんの話、書こうかなと思ったんですけど章終わりで閑話という事で書こうかなと思ったのでそうします。決して面倒くさかったから先延ばしした訳ではないです。いや、きっと皆さんも話が進んだ方が良いと思ったと思うのでそうしたんです!僕悪くないです!(乱心)




