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不死身の神官〜色々平均以下の俺が転生して不死身になった〜  作者: ほねつき
〜第3章〜 ーリムサン大陸ー 人魔大戦編
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ー第7話ー 『禁じられた真剣』

「イグザ!なんで君がこんな所で!こんな事をするんだッ!!」


黒髪を腰まで伸ばした男は何も応えない。

一歩一歩をゆっくりとまるでゾンビの様なフラフラな足でタリウスを追い詰めていく。

右手をタリウスに向け瞬間的に生成した属性も纏わない魔力の塊を発射する。


「ッ!!」


突然の攻撃に地面に滑り込む様に回避するタリウス。しかし、彼がその魔力を避けた事によりそこに建てられていたレンガの家が巨大な火柱を上げて爆発する。


「辞めてくれイグザッ!!俺だよっ!!タリウスだよッ!!」


タリウスの悲痛な声は虚しく、彼の耳には届かない。


「いたぞーッ!あいつだーッ!!」


王都内を警護していた数十人の騎士が先程の爆発によって集まった。


「あの黒髪の男を仕留めるのだッ!!全員!攻撃用意!」


一人の隊長クラスの男が声を上げイグザに向けなんらかの魔法による攻撃の合図を行った。

騎士全員の魔力が融合し一つの何かになるようにその魔力は彼らの頭上に集まる。


「撃てぇぇぇッ!!」

「「「『魔光砲』!!」」」


彼らの頭上に集められた魔力が一瞬に光属性の攻撃に変わりイグザに向け一直線に放たれる。

そのパワーは恐らくSランク級の魔物では耐える事すらできないだろう。



《やれ》



「…ッ!誰だ!?」


タリウスはその時誰かが何かを命令する様に聞こえた。

その瞬間、イグザの眼が紅く光り眼光が鋭くなった。


刹那


イグザはまるで瞬間移動でもしたかの様に騎士たちの放った『魔光砲』の目の前に現れ右手を翳した。

瞬間、身体が引き寄せられる様な感覚に陥り咄嗟に脚を踏ん張る。


巨大な魔力が一瞬にして消えた。

騎士たちの放った筈の『魔光砲』はその瞬間消えてしまった。辺りは静寂に包まれ騎士達は唖然とする。

それもそうだろう、彼らの奥の手とも言えるほどの大魔法が文字どおり消えてしまったのである。動揺しないほうがおかしい。


しかし、その動揺が死を招いたのか、はたまた最初から死がそこにあったのか…最前列に居た騎士の一人が鎧ごと腕で貫かれたのだ。


「ひぃぃっ!!」


誰かが悲鳴を上げたその瞬間悲鳴を上げたであろう騎士の首が飛んだ。


「貴様!良くもっ!」


イグザに振り下ろした槍は空気を切り地面へと刺さる。


「うぐっ!がぁっ!!」


男を持ち上げるとは思えない細い腕は男の首を絞め持ち上げる。


「このっ!化け物がッ!!」


無防備な背後から襲った男の槍がイグザに触れることなく不自然に折れる。

彼は男の首を絞めながらゆっくりと振り返り口元を薄っすらと引き攣らせる。


「ひッ」


男は短い悲鳴を上げた後、頭部が無くなり血飛沫を上げる。


「うわぁぁっ!!」


その瞬間、騎士達が悲鳴を上げ武器を捨て背中を向け逃走を図った。

しかし彼らはイグザから数メートル離れた瞬間、肉片が四方に飛び散る程の爆発を起こし死んだ。


「あ……が……」


最後の生き残りである騎士が遂に喉を握り潰され絶命する。


「な……なんだって…こんな……」


タリウスは恐怖で足が動かなくなりやっと発した言葉は現実逃避の様なものだった。


《アーッ!ヒャッ!ヒャッ!ヒャッ!ヒャッ!》


突然先程も一度感じた声が頭に響く。


《誰かと思えば、『雷剣』ではないかよぉ…ヒャッ!ヒャッ!ヒャッ!!》


突然イグザの目の前に現れた眼が座り身体は骨が薄っすらと見える程の痩せ男。目元は隈が目立ち片手には恐らく高価な宝石がはめられたロッドを手にしている。


「お前は…何者だ!」

《イーッ!ヒャッ!ヒャッ!!俺様はリジィ。偉大なる魔王軍『四大魔将』の一角、ライト・メア様の直属の部下である!!》

「四大魔将…ライト・メア…」


四大魔将って…あの、バーンロードの言っていたアレか…確かバーンロードもその一角の筈…ライト・メアという奴は全く聞いたことないが四大魔将と言うことはバーンロードと肩を並べる程って事だろう。


「リジィ!お前、イグザに何をしやがった!!」

《アァ?えぇ…あー…此奴の事かぁ…》


既に笑っている顔が更に悪そうな笑みに変わり笑う。


《なぁに、俺様がちよっと『精神魔法』で頭を弄っただけの事よぉ…》

「貴様!!」


雷狼!!


タリウスの腕から雷の狼が飛び出しリジィに向かって襲い掛かる。

しかし、リジィは「ニヒィ」と不敵に微笑むだけだ。

雷狼がリジィに襲い掛からんとしたその時。


バジンッ!


雷を無理やり押し込めたイグザが前に立ち塞がった。


「イグザ……」


タリウスが力なくその名を呼ぶ。


《イーッ!ヒャッ!ヒャッ!ヒャッ!!おい、さっさと彼奴を始末しろ!》


リジィがイグザに命令しイグザが軽く頷くとタリウスとの距離を一瞬にして詰めた。


「ッ!!」


イグザから放たれた鋭い突きを咄嗟に腰に差した剣で受け止めた。

タリウスは焦った。いくら何でも咄嗟とはいえ素手の攻撃を剣で受け止めるなど、かなり躊躇う行為だった。

タリウスは友人の手が斬れてしまわないかという心配は全くする必要すらなかった。


パキン、と剣が折れたのである。イグザの手は怪我をするどころか更にタリウスの身体を貫くべくその勢いは止まらなかった。


「…ッ!?」


硬直する身体を無理に動かしその突きを躱した。


《流石にしぶといなぁ…》


リジィが余裕を持った笑みで呟く


「『捕縛陣・光鎖』!」


突如地面に現れた光の魔法陣がリジィとイグザを囲い光の鎖で拘束した。


《ぐぎぃ…》


リジィが苦痛の顔をするがイグザは涼しい顔で鎖に絡まれている。恐らくいつでも抵抗レジストできるという余裕の表情なのだろう。


「大丈夫か、タリウス殿!」


タリウスの前に現れたのは他の騎士とは違う強力な魔力が込められた鎧に丸太ほどの大きさもある太い槍を構え上半身がすっぽり入る程の大きな王都の大樹の紋章が刻まれた盾を身に付けた只ならぬ覇気を放つ男。


「ロトムス王国名誉騎士団長ギルガッシュ・メビウス。此処に参上した!!」


















「どうした?勇者よッ!力が弱くなっているのではないのかッ!?」


そう言って振り払われた斧を剣で受け止める。腕にビリビリと衝撃が伝わる。

確かにズオウの言っている事は当たっている。既に真剣・解放を発動して五分は過ぎている。真剣・解放のインターバルは丸一日。丸一日戦っていられるほど俺の身体は強くないし普通の人間ならまず無理だろう……俺の魔力は徐々に元の強さに戻っているから、いずれまた一方的にやられるのは時間の問題だろう…


…実の所もう一つ『真剣』で使っていない禁じ手・・・が残っている…ズオウを倒す事が出来る可能性があるのはコレだけだ…使用した試しはないが明らかに強いことは解っているが、それによる反動もでかい。


名は『禁じられた真剣』

説明には、己の魂と引き換えに無限の力を得る。その力は神をも超越する力となるだろう。


と表示されている。

しかも詳しく調べるとこれは発動まで30秒程掛かりしかもその間は動く事が出来なくなりその際に攻撃を受けるとリセットされてしまうらしい。


俺からするとクソスキルだ。30秒もあればそこの獣王ズオウに俺は肉片にされているだろう…


万事休すだな……


数回の打ち合いでズオウが遂に俺の剣を弾きその斧を振り下ろしたその時。

俺とズオウの間に衝撃とプレッシャーが襲った。


ズオウとの間に入って来た謎のプレッシャーにより『加護』のスキルが発動し外部からの身体の悪影響を全て完全に無効化する、筈なのに…


「……あ………ぁ……」


魔力が震え、身体は痺れるように口を動かす事すらまともに出来ない。

このプレッシャーは一体…

圧倒的威圧…まさか…魔王?

これが…魔王?

いや、違う。威圧は相手を選べる筈だ。認めたくはないがこれは魔王じゃない…魔王以外の誰かの威圧だ…


何故なら、俺の目の前のズオウは斧を持ったまま失禁し気絶している。

明らかに魔王じゃない…魔王よりも上の存在だ……


そんなもの聞いた事はないが…そのお陰で俺は生き残っているみたいだな…


その魔王よりも上の存在が気になるが先ずは目の前の敵を倒さないと…

相手は失禁。俺は意識がある。なら確実に俺は『禁じられた真剣』の発動が出来るな。しかし……まだだ…


魔力が威圧により震え全く機能していない。待つしか……ないのか………





どうせ出さないので蛇足を言いますが『禁じられた真剣』はガチで神を超越する破壊力になりますが我らが主人公、自称『不死の神』バンシィ・ディラデイルはガチで『不死身』なので『禁じられた真剣』の攻撃を何億回と受けても精々数十のダメージになります。そして回復魔法使うとプラマイプラスになりますね。

以上蛇足でした。

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