ー第1話ー 『大魔王の小便』
我は今日、気分が良い。
久し振りだの…こんな生き生きとした気持ちになるのは。
さて、行くかの……転移!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
……ふわぁ…よく寝た……
小太郎は川辺で葉っぱを敷いて一夜を過ごしていた。
このローブ、スゲェな……寝る時すっごい暖かかったんだけど……ハイテクだなぁ異世界なのに……あぁ、魔法か……
俺は川の水を使い顔を洗う。
冷えぇ…
拭くものが無かったのでローブの袖で拭く。俺は立ち上がり軽く欠伸をする。
「………だあぁぁ………」
思いっきり伸びをすると変な声でるよね?
「…起きていたのかバンシィ。」
小太郎は慌てて振り向く。
「ビックリしたわ!!脅かすな!」
「…スマンスマン、そんなつもりではなかったのだよ。」
顔が物凄く笑っているがまあいい相手は大魔王だし……
正直大魔王がどれ程強いのかわかんねぇけど…
「おい、おっさん、飯は食ったか?」
取り敢えず心配する
「…食べておらん。我は嫌われているからな。飯は出してもらえんのじゃ……」
何それ…このおっさん本当に大魔王かよ……
「食わなくて良いのか?」
「ああ、我は『不老』だからな、食事は必要無いが我は気分的に食べたい……どうせ知らんだろうから言っておくがバンシィ、お前も『不死身』を持っている時点で飯は必要無いぞ。」
ほへー全然聞いてなかった。取り敢えず飯俺も食わんでええのね。
知ってるか、人間は聞いた事の3割しか覚えてないんだってよ。どうでも良いな。
「………じゃあ、おっさん、今日からあの山登るぞ!!」
俺は遠くに見える大きな山を指差す
「?何故じゃ?何かするのか?」
「おう!家を造るのだ!!」
「成る程!家か!!ならば早速転移で行くとするぞ!!」
ちょっ!俺使えねぇよ!!
「待て!おっさん!俺その、転移って魔法使えねぇから歩いて行くぞ!」
「………しゃあないの……我の転移は一人用だし……まあ、良いかの。」
うわぁ……すっごい嬉しそうな顔してるよ………キモい……
「…おかしいの……お前の心の声が聞けんくなってしまった……」
なに!まじか!!やったね!!
「へっ!ざまぁww(爽)」
「……クッ!何だ……この敗北感は……この我が……負けるだと……」
おお、おっさんノリ良いね。
さてと、話を変えて行きましょうか!
「よし!おっさん!行くぞ!山登りに!!」
「おおー!!」
おっさんと俺は拳を上げる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺たちは森の中をズンズン歩いていた。
「のう…バンシィよ。」
後ろを歩くおっさんから声が掛かる。
「何だよおっさん?」
俺は振り向かず歩きながら聞き返す前見てないと転ぶからな。
安心して、俺にはそんなドジ属性は無いからな。
「バンシィよ。ステータスと言うのは知っておるだろう?」
「ああ、勿論だ。」
「……ではこれは知っておるか?ステータスには『パートナー』と言う称号がある事を…」
あっぶね!転けるとこだった!……え?なに?パートナー?
「知らん、何だそれ?」
って言ったらおっさんの声が少し嬉しそうになる。
「…『パートナー』と言うのはだな。自分ともう一人の誰かとパートナー設定をしてだな。そうするとな。ステータスに『パートナー』とゆう称号が手に入るのじゃ、で、その効果がの、自分の設定したその『パートナー』と一緒に行動すると色々な能力が向上するのじゃよ。魔力だったりな。」
ほへー全然聞いてなかった。
「そりゃ凄いな。」
「でな。我、『不老』故にその『パートナー』がおらんのじゃお前が良ければ何だが、バンシィよ、我と『パートナー』にならんか?……我らの場合は『パートナー』ではなく、『相棒』になるだろうがの……」
ちょっとパートナーとか相棒とかいっぱい単語出てきてわかんねぇよ!取り敢えずそれやれば、能力が上がるんで良いんだよな?
「…オーケーオーケー、その『相棒』とやらになろうじゃないか。」
「本当か!では!我らは今から『相棒』じゃな!!」
その時頭の中に声が響いた。
《『相棒』宣言を受託しました。》
《『不死身』バンシィ=ディラデイルと『不老』ティー・ターン・アムリタは称号『相棒』を入手しました。》ーーーーーーーー
「言い忘れておったが、『相棒』設定をしたら二度と取り消せんでの。」
「それ今さら言う?」
「ハハハハ、すまんすまん。」
絶対反省してねぇ……ま、別に良いんだけどな。
「所で、バンシィよ。ちゃんと、山の方に進んでおるのか?」
そう言われ俺は振り向いた。
おっさんのバックには俺の目指していた山が薄っすら見えていた。
「………先に言えーーーーー!!!!!!!」
「ハハハハハハ!すまんすまん!」
許さん!!
何で道に迷ったかって?決まっているだろう。前を見て歩いていなかったからだよ。
俺たちは気を取り直し今度はちゃんと山の方に歩いている。
歩いているのに…………
「おおい!バンシィよ!!これを見よ!!!パーフェクトフラワーだぞ!!これは美味い魔物草だぞ!!」
おっさんが……あの、木に生えてたヒマワリを引き抜いて俺に見せてくる。
あれ、パーフェクトフラワーなんて名前だったんだ……
「そんなのは後でで良いだろ!!先に行くぞ!!」
おっさんは少し残念な顔をして手に持っているヒマワリを齧りながら俺の後を付いて来た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1時間くらい歩いていると目の前にあの熊が現れた。
違う奴だろうけど……
「おお!!アドマガミでは無いか!!Aランク中位のなかなか手強い魔物では無いか!!……流石裏世界だな!!」
アドマガミ?手強い?ワンパンだったのに?
「そんなに強いのか?」
「強いらしいぞ!我はワンパンで倒せるがの。」
やっぱワンパンなんだ、そうだ!!俺には創造魔法があるんだ!!一回やって見たい事があったんだよね!やったろ。
「よし!じゃあ!俺がやるからな!!」
「おお!良い良い!良きに計らえ!!」
「よし!行くぜ!!」
俺は熊の前に立つ。そして右手を構える。
「俺の右手が!真っ赤に燃える!!勝利を掴めと轟き叫ぶ!!」
俺の右手に火が付く。
「ゴ◯ド!フィンガ◯ァァァァァーーーーー!!!!!!」
俺は突っ走り熊の頭を掴み投げとばす。流石に頭は潰さんよ。グロイからな。
熊は遠くまでぶっ飛び燃えて爆発した。原理は知らんけど。
「素晴らしいの!何じゃ!今の掛け声は!我も心が躍ったぞ!!」
「あ、やっぱり!!アハハハハ!!(注:パクリです。)」
そして俺たちは気を取り直し歩き続ける。
30分くらい経った。山はまだ遠くに見える。
そんな時、一匹の大きな紫色の蛇が俺たち二人を囲った。
「フシャァァァィ!!!」
蛇は頭が三角でベロが先っちょが二つに分かれていた。
「なんてやつ?」
「ふむ、此奴はジュジュバンドと言う魔物じゃな、此奴もAランク中位の魔物だった筈じゃ。」
じゃあ、ワンパンで行けるのか?
「バンシィよ。此処は我にやらせてくれ。」
おっと!遂に大魔王の力が明らかに!!?
「良いぜ!やっちまえ!!」
「うむ!」
そう言っておっさんが蛇の顔と対峙する。
おっさんは両手を広げて何か喋りだした。
「愚かなる魔物よ!!この我がこの手で葬り去ってくれよう!!」
喋っていると蛇がスキと見たのか口を開きおっさんを食べようとする。
おっさんは冷静に右手を前にかざした。
「ハッ!!」
ドン!っと衝撃波が起こり蛇が勢いよく飛んでいく。30メートルくらいで落下して、ピクピクと麻痺しているようだった。
そしておっさんは何事も無いように空に浮かび上がると手を天に突き出し呪文の様な事を呟き出した。
「フハハハハハハ!!!!!闇に堕ちると良い!!喰らえ!!破滅魔法!」
そう言うと上に上げた手の上にめちゃでかい黒い球が現れた。
「ワールドバーン!!」
おっさんは手を振り下ろす。
それと同時にでっかい球も蛇が転がる方へ落ちて行く。
黒い球が地面に落ちた途端、無音の音と共に目の前の木々が消え去った。
「………ふむ、ちと、やり過ぎたの……」
「やり過ぎだよ!!馬鹿か!」
どうすんだよ!目の前がぽっかり、クレーターになってるよ!!
「………仕方ないのぉ……湖にでもしようかの……」
そう呟いたおっさんは手をクレーターにかざし呪文の様な事を呟いた。
「…大いなる水の精霊……だったけな?……まぁいいや、水よ出ろ!!」
その瞬間おっさんの手から大量の水が溢れ出した。
………今の呪文いるの?
「ふぅ、出来たぞ!」
ツッコミを入れていたらあっという間に湖が出来上がった。
ああ、チートですね。分かります。
後にこの湖は『大魔王の小便』と呼ばれるらしい。←適当