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不死身の神官〜色々平均以下の俺が転生して不死身になった〜  作者: ほねつき
〜第3章〜 ーリムサン大陸ー 勇者召喚編
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ー魔将3ー 『乾杯』

暫く魔将回が続きます。

忘れている方の念のため魔将回のあらすじ説明を超簡単にしておきます。

主人公ライト・メア。首を絞められ気付くとファンタジーな世界に転生、現れたのは『魔王』だった。自慢の人工知能(笑)が使い物にならず己の努力と半分以上の人工知能(笑)のお陰で魔王軍の中を成り上がって行く。

巨大な扉を叩き入る。


王が歩くに相応しい赤絨毯の上をゆっくりと歩き王座のある台座から数歩後ろで頭を垂れ跪く。


「『魔隊副兵長』ライト・メア。潜入捜査の報告に参りました。」


「良い、頭を上げ報告せよ。」


「はっ!」


紅き髪の魔族の王。『魔王』ファランド・グリム様は黄金と赤の玉座に腰掛け見下す様に座っている。


「三年間の調査の結果。オースティード大陸とリムサン大陸の間の海上に砦を3つ建設している事が判明しました。」


情報はありとあらゆる手を使い王国連合の情報を集めていたら確認された事なので間違いは無い。この眼で確かめても来たからな。


「砦の状態は?」


「はっ。オースティード大陸から東へ八百海里の位置に大型の砦が建設中で兵も集められておりますが大した数では有りません。他の2つも同じく建設途中の為、船4隻で事足りるかと……」


「そうか…」


グリム様が頬杖を付き何かをお考えになる。


「ライト。」


「はっ!」


グリム様が何かを決めた様で僕に指を指して仰った。


「貴様に第8海兵部大隊を預ける。貴様はそれで砦を3つ共落としてこい。」


第8海兵部大隊は魔王軍の中で最も最新鋭の武器を持ちかなりの強者が揃う魔王軍を代表する海上専門の先鋭部隊だ。

だが、その様な部隊を預かっても3つ全ての砦を落とす事は容易な事では無い。士気の問題もあるし何より体力的なものもある筈だ。

これは如何に魔王様の命令でも遂行できるものと出来ないものがある。


「如何した?知略で有名なライト・メアは出来ないとでも言うのか?」


失望させてくれるな…


そう付け加えられた。……やるしかないか……だが、勝率は?


《情報が少ない為、検証不能。》


……まあ、最初から当てにはしていない。そもそも相手の能力値が測定不能になる様な世界だ。不能で当たり前だ。


………しかしな…突然現れた指揮官に海の者が言う事を聞くとは思えんな…

何かいい方法は……



…………成る程な。それは面白い。


「分かりました。このライト・メア、魔王軍の名に傷をつけぬよう、やらさせていただきます。」


「ああ。」


「ですがお頼み申したい事が御座います。」


「何だ?言ってみろ。」


「酒を大量に頂きとうと思います。」


「酒か……」


グリム様は暫く考え応えられた。


「良いだろう、酒造庫から勝手に持っていけ。」


「ははっ!ありがとうございます。」


「良い、行け。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


僕は魔王城の酒造庫にやって来た。酒樽が幾つも並べられ広さは体育館程の広さに置かれていた。

酒造庫の責任者に声を掛け一番良いものを選んで貰った。


「正直、魔王様の命令と言えど余り出したくは無いものでね…28番の樽を取ってくれ。」


そう言って琥珀色の髪の責任者は500キロある酒樽に指をさした。


身体強化の魔法を掛け樽を両手一杯に掴み持ち上げ床に置く。


「ヒュ〜、流石は魔隊副兵長様だね。普通はコレを使って持ち上げるものだよ。」


そう言って腰からぶら下がった木の棍の様な……魔導具を取り出した。


「…試したのか…」


「へへっ、すみませんね。好奇心でつい…」


そう言う責任者は反省の顔を見せてはいなかった。


「…この酒は『雹國』という酒でね、雹の国『ブルザ』原産品で年中、雹が降り続ける超過酷な国で取れた希少で特別な麦を使った酒だ。値はかなり張るがそれだけの価値はあるものだ。大切に味わって飲んでくれよ……」


責任者が少し寂しそうな顔を見せるがそんな事より任務が優先だ。


「ありがとう。ではコレを第8海兵部大隊の兵舎に今日中に届けてくれ。」


「そう言うと思って馬車も用意してありますよ。直ぐに運びましょう。」


「ありがとう頼んだ。」


僕は酒のことは任せると魔王城城下にある僕の家へ帰った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



服を脱ぎ捨て魔王軍の副兵隊長以上から着ることが許される黒いスーツを身に付ける。


引き出しから火薬の玉を五つアイテムボックスに仕舞いナイフとロングソードも入れる。


準備は出来た。


では行こう。






第8海兵部大隊の兵舎は魔王城城下では無く。海の近くに建てられている。其処は魔王城から遠くも無く近くも無い5キロ程の距離にあった。


二階建ての少し広い長屋型で直ぐ近くには港と砂浜があった。


僕は兵舎の木で出来た横扉を叩き誰か居ないか確かめる。


「お待ちしてましたぜ、メア司令官殿。」


背後に現れた三つ目で赤褐色の髪色の男だった。


「あなたは?」


男は思い出したかの様に崩した体勢から背筋を伸ばし右手のひらで左胸に手を当てた。


「申し遅れました。私、第8海兵部大隊隊長。『魔装兵隊長』バッシュレイです。此度は新たに配属された『魔隊副隊長』様へのご挨拶に参りました。」


「出迎えご苦労です。バッシュレイ殿、今は第8海兵部隊は全員この兵舎に居るのか?」


「はい。全員、メア様を出迎える為に食堂で待機しております。」


「そうか、では挨拶をしたい。………それと此方に酒は送られてこなかったか?」


するとバッシュレイの顔が突然緩んだ。


「『雹國』ですね。送って頂いたのはやはりメア様でしたか…大変失礼ですが、正直我々、『雹國』のお礼を言う為に集まったものでして…」


「そうか、それなら良いんだ。今夜は飲もうではないか!」


ちょっと誤算だが、やはり海の男は酒好きだったな。まさか酒の一つで第8海兵隊全員が集まるとは思わなかったが…


「では、案内します。」


「ああ、ありがとう。」


扉の中に入り直ぐのところで横扉が設置され其処を開けると五百人近くの魔族が椅子に座り駄弁っていた。

僕に気がつくと一斉に立ち上がり左胸に手を当てた。


僕は軽い会釈で返し応えた。


「全員直れ!」


バッシュレイが叫ぶと全員一斉に手を下す。


「この度この第8海兵部隊を指揮する事になりました。ライト・メアです。早速ですが、魔王様より命令を預かっております。」


一呼吸おいて再び語る。


「ここから東へ約八百海里の位置に人族が砦を三つ、築いている。私と諸君らでこの砦三つ全てを崩さねば成らない。」


その事に会場が騒つく。

僕は手でそれを制し言葉を繋げる。


「安心してくれ。この私の策とこの第8海兵部隊の兵器の信頼性ならば必ず打ち砕く事が出来るだろう!……だが、今日はその余興だ、魔王様より頂いた『雹國』で呑み明かそうではないか!!」


「「「「オオォォォォォォ!!!」」」」


会場が盛り上がったところでバッシュレイに酒が何処にあるか聞いた。

すると彼は自身で持ってくると言ったので頼み俺は近くの『魔装副兵長』の階級バッチを付けた者達に話し掛けた。


魔王軍には階級で上から『魔官』『魔将』『魔隊兵』『魔装兵』『魔上兵』『魔兵』がありその中で『魔隊兵』より下の位には更に隊長、副隊長と階級が上がるつまり、『魔兵』から『魔官』まで上がるには合計で13回階級を上げなければ成らない。

しかし、『魔官』には誰もなる事は出来ない。何故なら特殊なルールで『魔官』は魔王様の親族で尚且つ文武両道で英才教育を受けた者でしかなる事が出来ないのだ。

つまり実質は『魔将』が一番偉いと言う事になるな。


「初めまして。メア『魔隊副隊長』様。私、第8海兵部大隊、『二刻船』船長のビスケス・ルクスです。」


そう、茶髪の男が立ち上がり自己紹介すると次に黄色の髪の男が自己紹介を始めた


「同じく『三刻船』船長、リポンス・グロークです。」


「『四刻船』船長、ニュクス・ビットです!」


最後に紫色の髪の男が自己紹介した。階級は全員『魔装副兵長』だ。


「よろしく頼む。明日、艦隊を見て回りたいのでその時はまた頼む。」


「はっ!」




「メア司令官、持ってきましたよ。」


バッシュレイが酒樽を魔導具を使い浮かばせ持ってきた。

僕は会場に聞こえる様に言った。


「全員グラスを上に掲げろ!」


僕はグラスを全員に掲げさせる。酒樽の堅く閉じられた蓋を開け魔法を発動する。


《浮遊魔法を発動します。》


僕は掲げられているグラスを目標に設定し酒を浮かせる。


《目標数536。注ぐ酒の残量約四〇〇ℓ。浮遊魔法で酒を2百mlずつに小分けしました。……発射準備完了》


「……いけ。」


魔力を操作し酒の球を一斉に一斉に発射する。

酒の球は会場の中を飛翔しグラスに注ぎ込まれる。

……前世で旧世紀の人々はこれを『汚ねえ花火だ』という事も有るらしい。


どうでも良い情報が頭の中を過ぎった。


「……す、凄すぎる……」

「マジかよ…」「見たか?浮遊魔法だぜ?」「すげえ…」


会場が僕の凄さに感動している様だ。

まあ、予測されていた事だがな…

僕は自分専用のグラスを創造・・し酒を注ぐ。グラスを上に掲げ言った。



乾杯リューシャス



「「「「乾杯リューシャス!!」」」」











半数以上が酔いつぶれ眠ってしまっている中、僕はチビチビと酒を飲みバッシュレイに話を聞いていた。


「確かに、艦隊戦では我々が有利でしょうが、砦の制圧となると難しい所であります。更に砦三つとなると…」


「この中に攻撃系の魔法を覚えている者は何人だ?」


「それが、恥ずかしながら私は愚か誰一人として剣しか扱えぬものでして…」


「…そうか…」


酒を飲み干し手を顎に当て考える。


…難しいな…僕一人で砦に乗り込むのは得策ではないし…


「船の中で一番の遠距離攻撃はどれ位飛ぶのだ?」


「最新鋭の魔導連装砲台乙型改二が40㎞先までなら射程範囲ですが、反動で船が傾いてしまう為、2キロ先までしか使用できません。……我々ではこれが限界です…」


……反動で沈むのか…何とかなれば良いのだがな…


《浮遊魔法での補正は可能です。》


そうか…


「バッシュレイ。その砲台は幾つ有るんだ?」


「…ええ、4隻全てに搭載が可能でしたので予備も含め九つほどございます。」


「成る程、では弓兵か銃兵は居るか?」


「それは勿論。弓兵が100、銃兵が50居ます。」


「大砲は幾つだ?」


「一隻に付き八つ全部で32です。」


「分かった。ありがとう。」


そう言って僕は席を立つとバッシュレイも立ち上がった。


「私は、やる事が有るのでこれで失礼する。明日、9時頃港で船を視察しておきたい。案内を頼めるか?」


「はっ!了解しました!」


「では、頼んだよ。」


「はっ!」



僕はそのまま兵舎を後にした。







どうも、ほねつきです。アプデ後初の投稿です。いやぁ、ハイファンタジーにしようか、ローファンタジーにしようか、いっその事ノンジャンルにしてやろうか、迷ってましたが結局ハイファンタジーにしました。笑

更新は早く書く様にしてます(自分の中で)続きを期待してくれている方、そうで無い方は見てないか…どうか、気長にお待ち下さい。

ではではーε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘

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