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ー第13話ー 『死は虚しく。』

次の日、俺は特に変化は無く朝を迎えた。


「なあ!ディラ兄!」


ベットの下から顔を出すタッ君……

どっから出て来やがった……


「すみません。おはようございます。」


その隣からひょっこり現れるアイナちゃん。

……お前ら…ガチでどっから来やがった……


「ああ、おはよう。どうした?何か用か?」


俺はあくまで冷静に、クールに聞く。

するとタッ君がニコニコ答える。


「ああ!ディラ兄に教えて貰った剣の基礎が出来たから見てもらいたいんだよ!」


…………チッ、面倒くさいな。


「良いだろう。では広場に行こうか。」


「ああ。」


俺はベットからバッと立ち上がり部屋を出て公園へ向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




タッ君にその辺の枝を構えさせ俺はベンチで足を組んで座る。その隣の地べたで体操座りしてタッ君を見守るアイナちゃん。


「では俺が教えた基礎を全部やって見せろ。」


「おう!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




一言で言うと完璧だった。むしろ俺より上手いかも知れない。

そこで俺はふと思いついた。


「良いだろう。ではタッ君、お前に1つ新しい事を教えてやろう。」


「本当かっ!?」


顔が一気に明るくなり俺の眼の前まで走ってきた。ついでにその隣にアイナちゃんも…


「ああ、そうだ。」


そこで俺は立ち上がり魔力樹を抜き片手で構える。其処に魔力を纏わせ雷属性の魔法に変換させる。


パチパチと音を放ち魔力樹が青白い雷を放出し始める。


「す…げぇ……」


タッ君がなんかマジマジと見つめてくる。そう、これが俺の思いつきで編み出した技!その名も……








その名も…………








………まあアレだ。何だろな武器に魔法を纏わせるってカッコ良いやん?


魔力樹を横に払い電気の斬撃を飛ばし近くの木を切り倒す。


メシャ!バギィ!とかヤバそうな音を立て倒れたので慌てて回復魔法をかけ再生する。


「すげぇ!ディラ兄!それ何て技なんだ!?」


「ん?…」


技……魔力を纏う……剣……纏うって何か別の読み方なかったっけ?


『てん』


ああ…『てん』か…


じゃあ……


「『魔纏まてん流』の基礎になる技だ。」


流派付けたのは何と無くだ。


魔天・・…流……すげぇ!ディラ兄!その流派何処で教えて貰ったんだ!?」


ファッ!?何処で教えて貰った?え……基礎はドラグで、応用?はおっさん、なんだけど……

どう答えれば良いんだ?……


「魔族と天龍族、技は自分で考えた。」


よー分からんで、正直に答えとく。

あれ?魔族とは対立してるから色々とヤバいか?


「魔族と天龍族に教えて貰ってあの技はディラ兄が作ったの!?すげぇ!教えてくれっ!」


「……良いだろう。」


バカなのか分からんけど助かったのか?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「たぁっ!」




やり方だけ教えて後はタッ君は自分で頑張っている。俺は椅子に踏ん反り返って見てるだけ。


こんなに楽な事はない。


因みにアイナちゃんは何か水魔法で何かやってる。


そんな時、背後に気配を感じた。



振り向くと黒い忍者の格好をした人がいた。


「ディラデイル様ですね?」


「ああ。」


誰?此奴?


「最高聖神官バズズ様……第二国王バズズ・キンダム・サン様が貴方様をお待ちです。」


最高聖神官?………ああ、あのデブね。……………第二国王!?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



何故だ。



俺は今、真っ赤なふかふか絨毯の上を忍者の人の後を付いて歩いている。


「此方です。」


止まったのは思ったよりデカくない豪華な扉の前だった。

俺は扉をノックし中へ入った。



中は完全に寝室だった。かなり広い。

そんな部屋の隅っこの方に糞でかいベットに頬杖ついて横になるあの、最高聖神官様こと、第二国王様がいらっしゃった。


取り敢えず跪いとこう……


「良い、面を上げい。」


聞き取りやすい綺麗?…普通な声だった。


「はい。」


「此度の聖神会の成績、大変素晴らしく思っておる。」


「ありがとうございます。」


なに…怠いんだけど…帰って良い?


「所でディラデイルよ。」


「はい?」


「お主は旅は好きか?」


急に何だよ…


「まあ、好きですかね?」


「おお、そうか、そうか。……ではの、お主のその実力も見込んで頼みがあるのじゃ。」


「はぁ…」


何だよ、面倒くさいのはやだぞ…


「1つはこのリムサン大陸全域に広がる六神教の教会の様子の確認じゃ。」


なぁにそれぇ?かなり面倒くさそう…


「2つ目、これが一番重要じゃ。」


重要という言葉に少し緊張する。


「お主の旅の話を聞かせて欲しい。」


………は?


「お主が旅をして見たこと経験したことを我に偶に話に来るだけで良いのだ。……見ての通り我は第二国王だ。」


すみません。全然見えません。


「自由には動けん。動く気もない。」


バズズ様は一呼吸おいた。


「我は退屈なのじゃ。だから話を聞きたい。面白い話をな。聞かせてくれる時期は何年でも構わん。頼まれてくれんか?」


………面倒……


「分かりました。」


「本当か!ありがとうのう…」


断ったら絶対ヤバいやつだろ……コレ………


「おう!そうじゃった。1つ目の話じゃが、見るだけじゃなく腐っておったら正さねばならん。……その為には権力が必要じゃな?」


あ…急に話し変わった……


「そうですね。」


「そこで、ディラデイル。お主には新たに『高位聖神官』の座を与えよう。」



……高位聖神官?何だそれ。初めて聞いたわ…


「これはじゃな、新たに導入した階級で今までの『聖神官』のひとつ上の位じゃ。つまり、六神教の中で二番目に偉い階級じゃな。……コレならば皆従うであろう。面倒事は全て我の名を出し解決せよ……ただし、教会の中だけしか効果はないぞ?」


…………い、一気に言われたけどつまり、俺、二番目に偉いって事だよな?


突然の事で頭が少し真っ白になった。




「……あ、ありがとうございます。」


「うむ、良い。…要件はそれだけじゃ、では、またいつか何か旅の話を持って参れ、何時でも待っておるぞ。」


「は、はい。」


そう言ってバズズ様はベットの中に潜ってしまった。









扉をゆっくりと閉めると忍者がまだいた。


「ディラ、久し振りだな。」


そう言って忍者は頭の皮を外し始め中から出てきた新しい顔が……



「リックじゃないか…」


「おう!」


「どうした?と言うか何故、こんな所に…」


「教えると長くなるから簡単に説明しよう。…ディラ。お前、バラリアードに入る気はないか?」


バラリアード?……この世界の名前じゃないか……


「何だそれ?」


「王国連合直属非公開組織バラリアードだ。基本的には大陸の情報を集めたり戦闘員を派遣したりする王国連合の裏の部隊だ。」


何その国際連合直属非公開組織特務機関ネ◯フみたいな名前……コレはやだと言って良いだろう。


「遠慮しておく。」


「其処を何とか頼むよ。」


リックが手を合わせて頼んでくる。……てか、非公開組織なのにそんな事言って良いのか?何か、色々とヤバそうなんだけど……


「……仕方ないな…加入はしないが手伝いくらいならしてやろう。…どうせ、そんな裏の事を教えたらダメなんだろ?」


在り来たりだよな?


「本当か!ありがとな!こっちから特にお前に言う事は無いんだ。いるだけで良いんだよ。何かあったらこのマークを付けた奴を捕まえて俺の名前を出して使ってくれ。」


木のバッチ?見たいな物を見せられた。……てか、何だ、いるだけで良いって……


「ああ、わかった。」


「……それとな、かなり重要な事なんだが…」


「どうした?」


リックが凄く真面目な顔になった。


「昨日、地震があったろ?」


「ああ、そうだな。」


「その地震で今、アバナ村と連絡が着かないんだ。」


!!


「それは本当なのか?」


「ああ、詳しくは調査中だが、気になるのなら早めに戻って見に行った方が良い…悪いが俺は今はまだ別に任務があってな…すまん…俺では無理だ。連れて行く事は出来ない。」


「分かった。ありがとう。……直ぐに行ってみる。」


「ああ、それが良いだろう…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




リックと別れた後、直ぐに公園に戻ってタッ君とアイナちゃんに別れを告げ宿も引き払い直ぐに王都サンを出た。



走って……走って……森の中に入り俺は直ぐにベータを呼び出した。


「ナニカ、ヨウカ?」


「こっから真っ直ぐ南の村の方まで飛んでもらいたい。」


「ワカッタ。ノレ。」


直ぐに肩に捕まり移動した。









「ツイタ。ケド、ムラ、ナイ。」


目を開け視野を開くと其処には地面が削られた様に綺麗さっぱり何もかも無くなっていた……


茶色の地面が少し湿っている。


多分津波だろう…何百キロも離れた王都サンであんなに揺れたんだ、此処はかなり酷かったのだろう……


ゆっくりと歩き見渡す。


其処には俺が覚えているアバナ村の跡すら残っていなかった。


何も無い…


本当にそうとしか思えなかった…


ガードラ様は?


マリサさんは?


ポリムスさんは?


リサちゃんにルサちゃんは?



咄嗟に魔力感知を全力で最大まで広げる。森がある北側に人の反応はあった。しかし何も無い南側には本当に何も感じなかった……




……………




胸が痛い…なんとも言えない感覚が襲う……





祈りを捧げる。


冥福の祈りを……








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ガンマを使いあの、俺が目覚めたあの大陸…家に帰ってきた。


ドアを開ける。



開かない。



ぶち壊す。



そのまま長い廊下を歩きリビングに入るとやっぱりいた。


「おおう…久しぶっ!」


急に笑われた。


「何じゃその仮面わ!ハハハハ!!ボケか?ボケとるのか!?」


取り敢えず無視する。そして俺はソファに転がり何も気にしない様に…心を無にする。


「のう…バンシィよ。剣は買ってきてくれたかの?」




















………………………忘れてた。







第2章完結です。バッドエンドな感じがしますが……バッドエンドですね……まあ、落として上げるのが定石ですもんね?次回、第3章、『勇者召喚編』です。

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