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ー第9話ー 『最高聖神官の威厳』

王城のとある部屋の二人分サイズのベッドにズシンと寝転がる、水色と白のボーダーのパジャマを着た身長2メートルの金髪の男。


その男は酷い程に、まるで肥えた豚の様に太り髭はまるで手入れされておらず無精髭の醜い姿だった。


男はベッドの上で寝転がり手元にあるクッキーや揚げ物などをパクパク口に放り込み、ベッドの近くの寝転がった状態でしか見られない位置に設置されている特別な窓で城下町を見下ろす。


時折、手元のお菓子が無くなると部屋のベッドから少し離れた位置に置いてあるテーブルの上のお菓子を一瞬で手元に移動させまた、食べる。



すると部屋の扉をノックし真っ黒いまるで忍者の姿をした者が一人現れた。


「バズズ様。」


その呼び声に反応しバズズと呼ばれる男はゆっくりと身体を反転させ見る。


「なんだ?城下町では面白う事でもあったか?」


「はっ、恐れながら近頃南側の城下町では神官ディラ、と言う男が国民の信頼を寄せている様です。」


「ほぅ、一体、どの様に?」


「はっ、それが南側の国民に魔法を無償で教えている模様です。」


バズズが食べるのを止め驚いた顔をする。


「なに?それはまことか?」


「はい、私も実際に見て参りましたが金銭のやり取りなど無く、国民と非常に仲がよく何度も魔法を見せ細かく指示し国民もまた楽しそうでした。」


バズズは手に持っていたお菓子を一度皿に戻し考えた。


「……その者は神官ディラと言うのだな?」


「はい。左様にございます。」


「ふうむ、では聖神官マック・アルバを呼べ、あやつが一番暇であろう。」


「はっ!畏まりました!暫しお待ち下さい!」


そう言って忍者は扉を出て走って行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




我はバズズ・キンダム・サン。サン王国第二国王である。第二国王と言う称号は我は好かん、皆畏まってしまうのだ…


それは良いとして我は冒険が好きだ。他には面白う話が好きじゃの、冒険と言っても我が自ら行くのではなく、誰かの話を聞く事が好きじゃ、何せ我は動く事が面倒じゃからの、着替えるのも面倒くさい、髪を洗うのも面倒、髭を整えるのも面倒、全てが面倒で我は毎日ベッドに寝転がる、面倒だからの。

話を聞きそれを自ら頭の中で想像する、それが我には楽しく感じるのじゃ。

おお、そんな事を考えておったらやっと来おったの。



扉を開け入り膝をつき頭を下げるマック・アルバ。


「良い、表を上げい。」


「はっ、恐れながら最高聖神官・・・・・様、この度はどの様な御用でございましょうか。」


そうそう、我は一様・・神官の最高峰、最高聖神官の座に就いておる、まぁ、昔兄である国王陛下と少しあってな…今こんな役職である。


「うむ、大した事ではないが神官のディラと言う男を知っておるか?」


「えぇ、知っております。聖神官ガードラ・トトフの弟子でございますね。」


「ほう、ガードラの弟子とな?」


ガードラ・トトフか…異端者と呼ばれておる聖神官じゃな、成る程、あやつの弟子ならば今回の事も納得出来るの…


「して、何故ガードラの弟子がここサンにおるのじゃ?」


「それは……近々、聖神会が行われましてそれに参加する者でして、現在此方に滞在しております。」


聖神会か…久しぶりに聞いたの…聖神官の格付けの様な大会じゃったかの…

しかし、ディラと言う男…気になるの……ただの神官ではここに呼び出す事は出来んし……困ったの……そうじゃ!


「聖神会か…マックよ、我も聖神会を観戦したいと思うが良いかの?」


「最高聖神官様がで、ございますか……」


「左様。」


「…分かりました。では手配致します。……開催日は明日なのですが宜しいのですか?」


「うむ、良い。」


「ははっ!では私はお席をご用意致しますのでこれにて失礼致します。」


「うむ。」


マックは出て行き、我は一息つく。

其処に影の者が現れた。


「明日の朝、馬車を御用意致しますのでご安心下さい。」


「うむ、」


我は影の者を下がらせメイドを呼び着替えと風呂の準備をさせた。


風呂の準備が出来たと言われ我は面倒くさいが立ち上がり風呂へ向かった。風呂の脱衣所に側近も入って来たが我は下がらせた。風呂は一人の方が好きじゃからの……



「ほうぅ……」



湯船に浸かり我は力を抜く、素晴らしいの…過去の偉人とは…この様な素晴らしい物を考えるとな…暖かいのぉ……





…………………ヒゲは剃らんでも良いかの…面倒くさいし…頭は泡で洗うかの……






ほうぅ……もう良いかの…眠くなってきてしもうた……



我は風呂から出て脱衣所で王国の規定の服(特注サイズ)に着替え脱衣所を出た。入り口では側近が四人待ち構え我が出てくると頭をを下げた。


正直、側近とか邪魔なんだがの……兄上、もとい国王陛下の命令なので仕方ないが……


我は側近を後ろに連れそれは長い長い廊下を歩いて寝室に向かった。


暫く歩いておると向いに公爵のボツリヌス卿が歩いて来おった。


「これは、これは、第二国王陛下…お久しゅうございます。」


「うむ。」


我、こいつ嫌いじゃ、この憎たらし笑顔が気に食わん、ついでに此奴、奴隷を何十人も抱えておって更に兄上や我の懐に入り込もうとする面倒くさく鬱陶しい奴じゃ……誰だ…こんな奴公爵にしたの……王国建国以来からじゃからこやつかなり力を貯めておるだろうの……


何とかして落としてやりたいが理由が無い……奴隷は基本的に人族で無ければ問題無いし……そもそも、我は奴隷が気に入らん。奴隷が無くとも部下を使えば何とかなるだろうにわざわざ奴隷を使う必要があるのかの?我は部下居ないけど……


もう、面倒くさいのでボツリヌス卿ともさっさと別れ我は寝室に帰った。


うむ、やはりベッドは最高じゃの。



…………………



…………



……




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




聖神官マックは焦りを感じていた。



あの最高聖神官が聖神会に来るだと?……今の今まで聖神会に出席しなかった…と言うよりかは聖神会は元々聖神官のみで行う嗜みの1つだった筈……何故最高聖神官が来るのだ……


それもこれも例のあのガードラの弟子のディラと言う男……見た目も怪しかったが中身はとんでもない奴なのでは無いのか?


いや、今はそんな事を考えている暇ではない。兎に角今は一刻も早く各聖神官にも通達し私は闘技場の席の配置を変えなければ!!


おのれとんでも無い弟子を寄越したな!




ガードラ!!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「はぁ!?」


聖神官ブルーアイ・ルナシーはマックより送られた手紙に呆れていた。


「なんだいこりゃ?あのデブが聖神会に来るんだって?やだわ、もう、帰ろうかしら…」


「困りますルナシー様!」

「そうでございますよ!私達の今までの努力が報われませんわ!」


赤髪の縦ドリルロールと金髪縦ドリルロールの神官姿のお嬢様が白髪の老婆ブルーアイ・ルナシーに抗議をする。


「……仕方ないねぇ…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「成る程、あの最高聖神官様が来るとな、かなり異例だの。」


聖神官ロード・ゲイデュバンもまた手紙を見て愚痴をこぼした。


「あの様な居るだけ無駄な人物何故さっさと降ろさないのか私には分からんな。」


「師匠?」


薄い黒髪の神官が首を傾げ見つめていた。


「……何でもない、早く行こうか…」


「はい!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「…………」


無言で手紙を破り捨てる聖神官リトル・グルムンド


「はわわわ!駄目ですよお師匠様!」

「どうしたんでしょうか、お師匠様?」


気の弱そうなピンク色の髪の神官と目つきが鋭い紫色の神官が問う。


「…………気にするな、ちょっとしたハプニングだ…」


そう言って手紙を踏み付け街道を歩いて行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ありゃま!これは大変ねぇ、じゃあ遅れては行けないねぇ…」


おば様な聖神官マリオン・リリフは寝ている女の神官をそのまま引きずりとある村を後にした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「やっと着きましたね。ん?」


城門の前で黒い服の男から手紙を渡されそれを覗いた緑の髪の中年の聖神官クシャ・トリアは手紙を読むと笑った。


「ど、どうしたのですか?師匠?あの……結構目立っているので笑いは止められませんか?」


身体付きががっしりしてる緑髪のおかっぱの神官はいった。


「流石にこれは笑いは収まりませんねぇ…」


そう言ってクシャは道の真ん中で大笑いした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「……帰るぞ、オカルト。」


「そんな!急にどうしたんですか!?」


聖神官ウィル・ピルシィキを慌てて青年が止める。


「面倒になりそうだ」


「そんな理由で帰るわけには行きませんよ!」


「じゃあ、お腹が痛い。」


「何ですか!?そんな理由!!大体、お腹位自分で治せるでしょう!!」


「…………チッ、勘のいい奴は嫌いじゃないぞ…」


「そんな褒め方嬉しくないです!」


青年の神官は本当に大変そうだった……




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