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ー魔将2ー 『魔族の僕は』

「お前は俺の言葉が分かるか?」


僕は四肢を、突然現れた炎によって拘束され身動きが取れずにいた…そして今、能力値計測不能の男によって尋問を受けていた……


この状況での脱出は不可能。僕の選択肢は1つしかない。


「分かる。」


「そうか、ではお前の名前はなんだ?」


どうする?保険で偽名を使うか?本名にするか…


「ライト・メア。」


「それは本名か?」


「本名。」


「そうか。」


そう言って計測不能の男が指を鳴らすと僕を拘束していた炎が消えた。一体どんな技術を使ったんだ?……

《ー 魔法 ー》

魔法は良い!もう出すんじゃない!どっからそんな根拠が生まれるんだよ!?


計測不能の男は座り込む僕を見下す様に見つめまた質問を始めた。


「では、ライト・メア、貴様はここが何処か知っているか?」


「……知らない。」


逃げる…と言う行為は出来そうにない…ただ、僕は男の質問に答える事しか出来なかった…


「そうか、ならばライト・メア、貴様は何処から来た?」


この質問の答えは何だ…日本か?地球か?…


「地球の日本と言う国から。」


その時男の口元が緩んだのが見えた。


「……予言書の通りだ…」


男は聞こえていない様に言ったかも知れないが僕の耳にはしっかり聞こえていた。

予言書…一体どういう事だ?何だ?僕はタイムスリップでもしたのか?だが、その様な現象は起こっていないはず…


僕が暫く黙っていると男は僕の存在を思い出した様に話し掛けて来た。


「では、ライト・メア貴様は混乱している様だから説明してやろう、まず此処はバラリアードの表世界、ヨールパル大陸の魔王城と言うところだ。」


「…………」


待てよ何だ?……………《ー 予測事例 異世界転生 ー》

意味が分からない。どういう事だ?


…………1世紀前の人間はアホだったのか?死んだり殺されたりすると魔法なんてものが存在する世界に転生するなど…余程脳内がお花畑の様だな……


まぁ良いその説も一様頭の隅に置いておこう…


「そして、俺はその魔王城の主、全ての魔族を統一する王、第9代目『魔王』ファランド・グリム・ドワフールだ!」


「…………は、」


待て待て……魔族?魔王?完全に異世界転生って奴の傾向じゃないか…本当に僕は転生したのか?………まて、だったら僕は現代知識を使って異世界を駆け巡る!とかのパターン、『勇者』なんじゃないか!?



遂にライト・メアは考える事を辞めた。


「…………まぁいい、どの道貴様は元の世界に戻る事は不可能だ。何故なら……………俺が呼んだ訳でもないし戻すとか、やり方知らないからな……」


「そうか…」


まぁ、この程度の科学力なら無理もないと思うけどね…魔法とやらで何とか出来ないらしいし…


「まぁ、安心しろ此方で貴様の衣食住は保証してやる、何なら俺の相手をしろ、いや、俺の相手をしろ!決定だ!」


「え、まぁ…分かりました…」


どの道僕には選ぶ権利なんてないし…この人が魔王だって言うんだったら衣食住は多分大丈夫だろう…



でも僕は少し嬉しいかもしれない……あんな絶望しかない世界よりも衣食住が存在するこの世界の方が全然いいかも知れない……人の住まいがどんどん便利になって……いや、なり過ぎて地球は資源を掘り尽くし壊れてしまったんだ……


寧ろ人間にとって不便な方が幸福を感じるんじゃないだろうか?






僕はそんな期待を胸に魔王を名乗るこの人に頼る事にした。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




魔王城ここの料理はどれも凄く美味しい…全てが僕が知っている錠剤やカプセルでは無く料理・・という形として出てくる。その料理全ては1世紀前の人間が食していた料理に非常に類似している。


パンやステーキ、サラダにプリン……全てが僕が知っていて知らなかったその舌触り…味…どれも1つ1つに手が込んでいて全てに人の手を感じさせる…決して機械的に作られた訳では無く料理人の気持ちなどが篭っている…


そして、このプリン…知識として見た事はあるがこんな滑らかな舌触りだったのか!口の中でとろける…そしてこのキャラメルソースが堪らなく本体とマッチしたほんのりと苦くそして甘い……素晴らしい!!料理は素晴らしい!!




「おい…泣くほどか?…」



魔王グリムに言われ初めて僕は自分の感情で泣いている事に気付いた…僕は泣こうと思えば泣けるし足を伸ばそうと思えば伸びた。それは僕の中…いや地球人の全ての人間が出来た事で僕にとっては当たり前の事だったが、こうして感情を自らの意思で変える事無く泣いてしまうのは初めてだった……



「すみません…余りにも美味しかったもので……」


「そうか、お前がいた地球とやらにはこの様な食べ物は無かったのか?」


「いえ、有りました。ただ、それは僕がいた時よりもずっと昔の話ですけど…」


「そうなのか…ライト、辛いかも知れないがお前の経緯を話してはくれないか?」


僕はそう聞かれ少し口ごもるが何故か言わなければいけないと自然と口が動いていた


「僕が住んでいた地球では僕も含め人間が世界中のありとあらゆるものを使い技術は発展し人の生活は豊かになりました…」


言わなければいけない…僕はこの世界になんの関係も無いけれど…僕は僕の教訓を誰かに伝えないといけない……


「しかし、その所為で地球の環境は悪くなり気温が高くなり氷が溶け海の水が高くなり陸地は…人の住む所は狭くなっていきました…」


これは僕は聞いた事があるだけで経験した事はない、あるのは飢えに耐えるだけだった…


「それでも人は増え続け自ら自分の首を絞める様に徐々に食料のカプセルや錠剤が作れなくなり人は再び作物を育て様と試みました…しかし、山は汚染され海はうすく醜く汚れとても作物が育つ様な状態では無く人は更に追い詰められていきました。」


魔王グリムをチラリと見ると真剣な表情で僕の話を聞いてくれていた。


「僕はそんな時期に産まれ育ちました。僕の家庭は裕福でなんとか食料の確保は出来ました…ですが、その食料も途絶えてしまい僕に空腹が襲いました…僕は何か食料を探し山に入りました。そこで僕は食料を見つけ手にしましたが別の人間もそれを見つけ僕はその人間ともみ合いになり僕は押さえつけられ何度も抵抗を繰り返していくうちに相手も痺れを切らしたのか僕の首を絞め、僕はそのまま意識を失いました。」


僕は一呼吸置いて最後に言う


「…………そして僕は目が醒めると此処にいました。」


魔王グリムは僕の目をジッと逸らさず見続け語り始めた。


「……人間を滅ぼす。……それが俺の…『魔王』としての目標だ。」


僕は「人間を滅ぼす。」と言う言葉に少し気圧されるが僕は僕の話を聞いてくれた魔王グリムの話を最後まで聞こうと耳を傾けた。


「この世界の人間も地球の人間と同じ様に自然を破壊している。まるで自らが頂点に立つ者の様に……更に人間は自分達とさほど差異が無い獣人や我々魔族をゴミの様な扱いを行い我々を差別している。」


「差別」それは地球でもあった事だし、行われていた事でもある、これがあったから人は対立を繰り返した。たかが肌の色が違うだけで…たかが自分と意見が違うだけで……


「そして、人間は獣人や魔族を奴隷として扱い今でも生き物で無い様な扱いを受けている者がいる……それを救う為にも我ら魔族は人間を滅ぼさなければならない。」


「また人間の国に帝国と名乗る国が存在する、その国は森を破壊し緑を壊し地面を破壊し挙げ句の果てには大陸をも破壊し、今では海になっているという現状もある。このままではこの世界は人間の所為で滅びの道を進む一方だ!俺はそんな人間を滅ぼさなければならないと思っている。」


凄い人だ…本当じゃないか…人間が居なければ緑は壊れない。この人は本当にそれをやってくれそうな人だよ…



その時僕の心に何かが芽生えた。








……この人について行きたい。








この人ならこの世界を地球の様な惨劇にならない様防いでくれるのでは無いだろうか?


そう思った時には僕の口は動いていた。






「僕もやらせて下さい…」


「良いのか?同じ人間をやるのだぞ?」


確かにそうだ…いや違う……僕は……


「僕は違います!この世界の人間じゃない!……それに僕は生身の人間と違って機械も入ってる!!だから僕は人間じゃないし、人間だったとしても僕は貴方について行きたい!!」


僕は思った事をそのまま伝えた。

僕は魔王グリムが答えを出すまで目を逸らさない。


「良いんだな?」


「はい!!」


魔王グリムは立ち上がり振り返り背中を向けた。


「ならば俺の部下として一から物事を学びそして俺の所まで上がってこい。俺は異世界からの転生者だとしても差別もしない。全て、お前の力でのし上がってくるが良い…」


そう言って魔王グリム様は出て行った。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






それから僕は一、魔王軍の兵として訓練に励み知能も生かしながら力をつけて行った……








僕はひたすらに努力した。散々非科学的などと馬鹿にして見向きもしなかった『魔法』を身に着けようと上官に頭を下げ教えてもらったりもした。


この世界の文化も沢山学んだ。


軍では本当に下っ端から始まり、トイレ掃除や器具の整備、武器の手入れなどを沢山やらされた。


それでも僕は魔王様と共に目標を達成する為努力し続けた。






そして、そんな事を続けていたある日、僕の階級を上げる為に要された様な命令が下された。



それは……




人族領、ロトムス王国への潜入調査だった。


僕はその命令にいち早く立候補した。

見た目も人族と差異が無い魔族・・の僕なら絶対に魔族だとバレ無いし自信もある。





僕の願いは聞き届けられ僕の他に9人の魔族が向かう事になった。


目的は敵の情報収集何処にどれ程の兵がいるか、何処に砦が存在するかを調べてくる任務だ。非常に危険だし見つかったら殺されるだろうが僕はそれでもやると決めた……


期間は3年それ以内に確かな情報を集めなければならない…














僕は明る日の朝、他の9人の見知らぬ魔族と共に船に乗り王都ロトムスに向かった。






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