ー第4話ー 『大きな街のシンドバット』
イライラする…
余りにも酷すぎる……
俺はリックから教会……神官達の仕事について聞かせてもらったが余りにも酷すぎる……
まず、神官はお金が無い人間には癒しも何も与えず、ひどい時には貧しい人々を見下し悪さをする事もあるらしい……
それを良しとしない連中も居るらしいが所詮一握り程度しか居ないらしい…
これは神官って職業が嫌われる訳だ…その点については俺はかなりいい方を師匠にしたと言えるだろう、ガードラ様は誰にでも優しく、癒しを与える人だからな。
ガードラ様が聖神会に出席しないのも頷ける。
……だが、俺は今からその聖神会に向かわなければいけない。出来ることなら俺は道中でも困っている人を助けたいと思っている。神官が余りにも酷すぎるから…
………
「なあ、リック。」
「なんだ?」
「神官達を正すにはどうすればいいと思う?」
「はっ!?」
リックが変な顔で振り向いてきた…
「……そりゃ、お前…最高聖神官に提訴して、願いを聞いてもらう以外ないと思うぞ?」
最高聖神官……神官の中で最も格式高い位で特に何もやらない役職だったな……
「どうやって?」
「…………手紙とか?」
手紙か……俺、人族の言葉書けないんだけど………次の村で字の練習帳みたいなのでも買おうかな……
「あ、」
突然リックが声を出した
「なに?どうした?」
「いや、もう着いた……」
「は?」
いやいや、さっきの村を出てからまだ三時間も経って無いんですけどwなに言ってんすかw
そう思って真っ直ぐ前を見ると村の柵のようなものが見えた……
……………
「おい!ヤマト!マジで無理すんなよ!!」
「ヒィィン!!」
オッケーみたいな返事を受けたと思ったらヤマトのスピードがまた更に上がり俺は絶対100キロは出てるんじゃ無いかと思う程だった……
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さて、俺は着いた早々に村の本屋的な店を探したがそれらしい所は全くなかった。と言うか9割が住宅の村だった……
もう、探索しても無駄な気がして堪らないので直ぐに馬車に戻ってしまった……
「お、早いな。ディラ。」
珍しく先に馬車にいたリックが落胆する俺に声をかける
「ああ、なんも無かったからな……」
「そうだ、これからシンドバットの方へ向かうから山を4つほど越える、このヤマトの調子なら3日も掛からないと思うけど念の為毛布か何かを手に入れていた方が良いぞ。」
……………………ん?
シンドバットの方へ向かう?
「待って、今までシンドバットに向かっていたんじゃ無いのか?」
「はぁ?何言ってんだよ、当たり前だろ?馬車は村を経由して向かってんだよ。アバナ村から直でシンドバットに向かう訳無いだろ?」
「そ、それもそうか……」
なんか違う気がするけど……まぁ、いっか…結局はシンドバットに行くんだし…
そしてまた、馬車は村を出て森を通過し山へと登って行った………
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3日………やっと3日がたち馬車は大きな街シンドバットに到着した。
そこは建物が西洋風の赤レンガで建てられ十字の大きなメインストリートには人が溢れかえっていた。
馬車は街の仕切りを通過しメインストリートをゆっくりと走行しメインストリートを抜け少し幅の狭い道を抜けた牧場のような所で止まった。辺りを見渡すと他の馬車の姿が幾つも見えた。
「そこの三階建てのでかい建物が運送ギルドで、そこで王都サン行きのチケットを買うんだ。あとはそれを他の馬車の運転手に渡せば良いぞ。」
「分かった、ありがとうな。」
「待て。」
結局誰も乗らなかった馬車を降り俺はさっさとチケットを買いに行こうとしたら止められた。
「なに?」
「金、200チール払え。」
「あ、ごめん。」
俺はリックに銀貨を二枚渡した。
「うん。それでなディラ、もしかしたら王都サンで俺の仲間がお前に接触するかもしれんが、その時は適当に対応してくれ。」
「お、おう……」
お前の仲間って一体……ちょっと言おうとしたけど面倒くさくなりそうだから止めた。俺はヤマトに軽く礼を言って俺は運送ギルドに向かって歩いた。
リックはディラを見送るとヤマトの馬具を外しヤマトを馬小屋へ戻すとメインストリートを抜けた路地の中を歩き角を曲がり更に角を曲がったところにひっそりと隠れる様に存在する壁と同化するドアを開き現れた地下へと続く階段を降りて行った。
そこはバーの様なカウンター席が並びスーツの様な格好をした女がカウンターの向こうで何かを見ている様に下を向いていた。
リックはカウンターのイスに座るとその女に話し掛けた。
「面白い話を聞かせてやろうか?」
「それは、今私がやっている仕事より重要で?」
女はリックに一切目も合わせず手元の書類の様な物に目を通していた。
「それはどうか知らないが、次の聖神会にガードラの弟子が参加する。」
リックがそう言うと女の動きが止まり初めてリックを見つめた。
「……本当なのね?」
「ああ。」
「その人の理念は?」
「ガードラと全く一緒と言っても良い。寧ろ彼の方が良いかも知れない。」
「そう、なら早い内に引き入れましょうか…」
「おいおい、待てよ。そんな事はしなくても良いぜ。恐らく彼奴は、教会内に嵐を起こすぜ!」
「…………それの根拠は?」
「俺の勘だよ。」
女がその答えにリックを白い目で見た。
「全く当てにならないわね…」
「おいおい…ちったぁ諜報部の勘ってものを信じてはくれないかね〜」
「情報部は真実のみの情報の提供を求めるわ。」
そう言って女は背後に飾ってあったワイン瓶を横に傾けると二人の床に突然穴が開きそのまま落下した。
「ぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!グヘェッ!」
リックは背中を強く打ち付け痛みを堪えていると後からフワリと女が降り立ってきた。
女はリックの姿を嘲笑う様に見つめた後にこう言った。
「…無様ね。」
「………浮遊魔法の適正が無いからな……」
「あのぅ…」
二人が少し睨みあっていると横から書類の様な紙を両手で持ったショートカットでオドオドしている女性がいた。
「あら…」
「お?新人か?」
「は、はい…初級情報部員のクルミです…宜しくお願いします…」
彼女は二人の機嫌を伺う様に交互に見る。
「上級諜報部員のリックだ。宜しく頼む。」
「……それで、どうしたの?」
女が睨みつける様に問う。クルミは女の態度に首を竦めながら言った。
「あの…ギギ先輩からの質問なのですが、リックさんとミラ先輩、お二人はご夫婦なのですか?」
「は?」
「フッ…」
突然全く関係ない質問に少し顔を紅くしてキレるミラと言う女、それに対してまるで眼鏡を上げる様な仕草をしてニヤつくリック。
そしてその質問にリックが答えた。
「フッ…そうだ。俺たちは永遠の愛…グハッ!!」
ミラにぐーパンプラス蹴りによる強力な攻撃によりリックは泡を吹いて倒れた。
「違うわ、只の仲間関係よ。」
「そうですか…すみません…」
「分かったらさっさと行きなさい、それと後でギギを連れて来なさい。」
「は、はい!分かりました!」
そう言ってクルミは走って消えた。
それを確認したミラは未だ泡を吹いて倒れるリックの胸倉を掴み上げるともう一度今度は顎に膝蹴りをかましてから地下の別の部屋へ向かった。




