ー魔将1ー 『ライト・メア』
突然ですが主人公サイドとは別のサイドでの話を時折入れたいと思います、今回は別サイドです。
ー西暦21XX年ー
人類は化学の進歩により自らの寿命と知能を引き上げる為、人類は半機械人間となった。
人類は半機械人間化を成功し全世界の平均寿命と能力の向上に成功したがそれにより地球の資源は枯渇した。
人類は地球の資源が枯渇しているにも拘らずさらなる資源を求め地球のありとあらゆる場所を掘り尽くした。マグマや海、挙句には南極の氷までも資源として活用した……
地球が滅びの道を辿っているにも拘らず……
ライト・メアは日本に住んでいた。
しかし、資源の枯渇、人口増加、それによる食糧の減少、それに追い討ちを掛けるように地球温暖化の影響で世界の海面が上昇し日本では海沿いの街、県は水没した。
それに伴い日本は内陸部に住まいを移動し日本政府は食糧の枯渇などにより国民の食糧は配給制となった。
しかし、配給制とは言え食糧が日本人全員に行き届く事は無く餓死者が急増した。
人類は半機械人間になったとは言え食糧の補給は必須だった。
ライト・メアは比較的裕福な家庭環境だった為に餓死は免れる事が出来たがそれでも空腹を防ぐ事は出来なかった。
ライト・メアは大気汚染などにより枯れ果てた山の中を一人彷徨っていた。
配給される筈の食糧が届かなかった為ライト・メアは山になら何か食糧があると考え山を彷徨っていた。
山の木々は夏にも拘らずあの青々とした葉が出ているものは1つも無かった……
そんな中地面に紅く目立つ1つのある物を発見した。
「林檎だ!!」
枯れ果てた木々の中に林檎の木が混じっていた様で林檎がたった1つだけ落ちていた。
ライト・メアは目の色を変えその林檎に飛び付いた。
しかしその林檎を見つけたのは何もライトだけでは無かった……
「食い物だ!!」
ライトと林檎を挟む様に全身痩せ細ったガリガリの男がその林檎を狙っていた。男とライトは眼が合い林檎を挟んで睨み合いになった。
ここであのいい意味での譲り合い精神がある日本人ならば分け合うなどする筈だが、その様な素晴らしい行為は行われなかった……
ライトは林檎に飛び掛かり掴んで逃げようとしたが男も同じだった様で林檎に飛び掛かりライトと摑み合いになった。
ライトが林檎を掴んでは男がそれの手首を掴みそれを制す、何時しか二人は殴り合い蹴り合いと過激になり始めた。
ライトの顔は紅く腫れ口からは紅く鮮明な血が流れ出ていた、男も同じでやせ細った身体からは引っ掻き傷などができ生々しさを感じさせられる。
遂には男がライトの背後をとりその細い両腕でライトの首を締め付け始めた。ライトはそれを必死で抵抗するがその抵抗虚しく何時しか力が段々と無くなり視界もボヤけ何も見えなくなり始めていた……
そして、奇跡など起こるはずも無くライトは男に首を絞められ窒息して死んだ。
男は抵抗が無くなった事で我に返りライトが死んでいる事に気付くと辺りを確認してからライトを落ち葉で埋めて隠し林檎を持ってそこから逃げる様に山の中に消えていった……
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場所は変わり『魔王』グリムが住まう居城、魔王城ではそこからの景色にグリムは違和感を感じていた。
窓から見える景色は何時もの青空では無く黒雲が螺旋状に登り紫色の謎の煙が噴き出ていた。
グリムはその異変に何かを気付いた。
……予言書で見たことのある…確か…召喚の予兆……
それに気付いたグリムは即座に部下を呼び雲の下まで偵察に向かわせた…
「グリム様、ご報告致します。」
黒い三又の槍を構え頭から二本の角を生やした一人の魔族がグリムの座る玉座の前で膝をついた。
「言え。」
「はっ。例の黒雲を調べた結果その真下に見たことの無い謎の服を身に付けた男を発見し、検査の為この魔王城に持ち帰って参りました。」
「そうか、私も確認したい。見てもいいか?」
「はっ。勿論であります。今から行かれますか?」
「ああ、行こう。」
そう言ってグリムは立ち上がり男と共に広間を後にした。
ガラス張りの向こうでグリムは眠る男を見ていた。
「ご報告致します。」
「ああ。」
ガラスの向こうを見続けるグリムの背後から男が声をかける
「先ず、謎の生命体は生きている事が確認されました。」
「それで?」
「はっ。この謎の生命体は人族と似ていますが、魔力が我ら魔族よりです…それと…」
すこし男が口ごもる
「なんだ?」
「はっ。この謎の生命体は人族と等しい構造をしているのですが、違う部分が2つ、1つは魔力量が桁違い…とまでは言いませんが殆どグリム様と同じ魔力量です。」
「ふむ…」
魔力量が多い方という事か…予言書と少し違うが似た様なものか…
「2つ目は脳と心臓の一部に何か別の魔力が存在するのが分かりました。」
「ほぅ…どういう事だ?」
「分かりませんが、推測ですが何かこの生命体は不備があり体内を弄られている…と思われます。」
「身体を弄るとな?そんな事が魔法以外で可能なのか?」
「誠に遺憾ながら今の我々の技術ではどうにも……」
「つまり別の何かがその様な技術を持っていると?」
「……そう言う事になりますな…」
間違い無い…予言書の通りだ…ただ、魔王を討伐すると言うのは間違いの様だな…予言書には人族領に召喚される筈だが、此処、ヨールパルになるとは…運は俺に付いているな……
『うわっ!!』
ガラス張りの向こうから検査員が突然声を上げた。見てみると召喚者と思われる男が上半身を起こし辺りを見渡していた。
俺は何故か居ても立っても居られ無くなり俺はこの部屋を抜け検査室に向かった。
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「……此処は何処だ?」
自然と言葉が漏れた辺りを確認するが僕の知っている場所では無かった。僕はたった1つの林檎の為に必死になって誰かも知らない大人の男性と殴り合った。
そして僕は負け首を絞められ殺された。そんな事ははっきりと覚えている、それは脳内で予測されていた事だし勝率も低かったからそれに僕の脳はしっかりその事を覚えている……ただ、僕は何故生きているか、そして何故こんな何世紀も前の映画のセットの様な場所に居るのか…だ。
そして、周りで腰を抜かしている人の形をした生き物。僕の脳は彼らを人間では無いと認識している。何故ならそこの男は頭に角の様なものを付けているのかと思ったが分析の結果、頭から生えていると出た。
また、そこの女の形をした生き物に至っては頭から1世紀前まで存在していた『猫』という生き物の耳を生やしているのである。俺の頭の中に更に情報が入ってきた。1世紀前の人間はこの様な生き物を『ケモミミ』などと呼称して溺愛する様な者も一部では存在したと確認された。
そうか、では僕もそこの耳の生えた女の姿をした生き物の事は『ケモミミ』と呼称しようでは無いか。
他人に物事を聞くのは不本意だが、情報が少ない今は聞く事しか出来まい。
「そこのケモミミ、一体此処は何処だ?」
計算の結果此処にいる生き物全員が同時に襲い掛かって来ても僕の身体能力なら勝率は99.9%と出ている。だから僕は強気で行く。
ただ、この生命体達が僕の言葉を理解する確率は50%とかなり低い。その時は此方が相手の言語を理解する以外手段は無い。
が、その必要性は無い様だ、彼等は僕の言葉を聞き少し戸惑っている様だが理解している様だ…この様子だと彼等は何らかの組織である事が分かる、恐らくもう暫くすれば僕が起きた事を報告を受けて上官がやって来るだろう。その時に話をすれば良いと僕の考えは改まった。
聞こえる……約20秒後に何者かがこの場に入って来るだろう…………
………2人か…
この場にいる生き物4人と追加で来る2人、その2人がこの4人と同じ位の能力値だとしたら僕の勝率は94.78%まで減少するが、逃げ道の確保など僕が生存して此処から脱出出来る可能性は99.9%と…余裕だな。
あと5秒……
僕が見ていた方から手動のドアが開いた。……情報にはあったが、実際に見るのは初めてだな…手動のドアとは……
現れたのは身長約180㎝程で、やはり頭に角を生やしていた……そして髪の色が赤と、染めた訳ではなくその様な色素だと分析の結果が出た…
しかし……
何故だ……
何故、この男にだけ能力値が計測されないのだ!?エラー!?なんでエラーなんだよ!?こんな事は予想は出来なかったぞ!?これでは逃走が出来るかどうかも分からないじゃないか!
計測不能の男が何かを言う事が予測された。
「お前達は少し外に出ていろ。」
「し、しかし、グリム様…」
「良いから出ていろ命令だ。」
「ぎょ、御意。」
男達やケモミミはその計測不能の男に頭を下げ出て行った。
計測不能の男以外部屋を出て行ったその時、僕の脳は警告を示していた。
僕の身体はそれに合わせる様に座っていた台座から転がる様に落ちた。
すると落ちた直後に僕が座っていた台座から突然炎が上がった。
何故だ!?あの台座には何も無いと出ていた筈なのに何故いきなり火が現れたんだ!?
《ー検証不能ー検証不能ー検証不能ー》
なっ!?
そんな筈は無いだろ!?何か、過去の事例はないのか!?
………魔法!?そんな非科学的な情報を出すな!!お前は最新の情報知能だろ!?壊れたのか!?こんな時に!
《ー警告ー警告ー警告ー》
頭の中がそうよぎり身体を動かした時には僕は手足を突然現れた炎によって拘束された……
《ー 生存確率0.00009% ー 》
終わった…目覚めて直ぐにまた死ぬのか……
「……お前は俺の言葉が分かるか?」
その男は僕が普段使っていた言葉を使い僕に話を掛けてきた……




