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ー第1話ー 『再来!大魔王の小便』

初暦483年8月某日



とある一台の馬車の前にバンシィはいた。



「ディラよ忘れ物は無いですね?」


「はい、大丈夫です。」


バンシィの見送りにはガードラとマリサしか居なかった。


「皆さん今日も仕事でねぇ、見送りが出来なくて済まないと言ってましたよ。」


「大丈夫ですよ、マリサさん、聖神会が終わったら『特級神官』になって帰ってきますから。」


マスクに黒いフードを深く被ったバンシィがマリサを宥める。


「ではディラよ、分かっていますね?」


「はい。大丈夫です。」


俺はガードラ様の眼をしっかり見つめ頷く。ガードラ様とかなりの約束を交わした。


1つはマスクを余程のことが無い限り外さない事。……つまり魔眼を使ってはいけない。


2つ目はガードラ様から受け取った手紙をマック・アルバと言う方に届けること。


3つ目はガードラ様が時期が来たら開けるようにと言われた手紙、その事を内容によって伝えて欲しいとの事。


これは俺でもできる。


「ではこれを。」


そう言ってガードラ様が取り出し渡して来たのは銀貨が沢山入った皮袋だった。


「全部で5000チール入っています。村人みんなのお金です。無駄遣いしない様に。」


「こんな大金……ありがとうございます。」


袋を腰のベルトにぶら下げる。

チールってのは人族の通貨の単位でなんか一杯種類があるのよ。大銀貨、中銀貨、銀貨、大銅貨、中銅貨、小銅貨、青銅貨ってあって、あと他に金貨3種類あるんだけど、普段は出回らないらしい…俺も見た事は無い。


5000チールってのはかなり高い、これだけあれば玉ねぎが2500個は買える。ごめん、例えが悪いかな?



「おっと、忘れていました、この馬車はシンドバットと言う街で終点でしてね、其処から王都サン行きの馬車に乗って下さい。お代は後払いですからね。」


「はい、分かりました。」


終点で乗り換えね、ハイ。


「おおい!あんた達、もう直ぐ出るけど乗るか?」


馬車の運転手のおじさんが声を掛けてきた


「ああ!はい!乗ります!……では、ガードラ様、マリサさん、行ってきます。」


「「いってらっしゃい。」」


俺は軽くお辞儀をし馬車の荷台に乗り込んだ。


そして馬車はコトコトと動き始めた。


馬車は村の門から抜け森の中の踏み固められた道を歩き始めた。村の門がだんだんと小さくなり何時しか見えなくなってしまった。



俺はそうなってから腰を付け肩の力を抜く、乗客は俺以外居ない。暇なので前の方に移動し先の景色が見えると頃に座った。


馬を操っているおじさんの背中がなんか、それっぽく見える。

俺はその姿をじっと見つめていると


「お客さん、何処まで行くんだい?」


「王都サンまで。」


不意に声を掛けられ少し戸惑ったがちゃんと答える。


「そうか、この馬車はシンドバットまでだから気おつけてくれよ。」


「はーい。」


おっと、そう言えばこの馬車どれ位で着くんだろう、終点まで……


「シンドバットまでどれ位かかりますか?」


「三週間だな。」


三週間!!俺、飯とかないけどっ!?


「安心しろ、2日に一回、村に到着する。其処で飯は買えばいい。」



読まれた……心の中を読まれたよ……



「初めての奴は大抵飯を持ってきてないからな。馬車は其処までスピードを出せねぇ…馬が疲れちまうからな。……今日はあと1時間すればロロって村に着くから其処で2日分の飯を買っておくんだな。」


「成る程、わっかりましたー」


さて、疑問は消えたので安心して座っていましょう。




…………




椅子が冷たい。






…………






暇……







…………はっ!こんな時の為のステータス閲覧では無いか!?





出でよステータス!!




ーーーーーーーーーーーーーーーーー



name…バンシィ=ディラデイル


status…『不死身』『魔皇帝』『英雄』『創造魔法賢者』『神聖級回復士』『天龍魔法使い』『相棒』




ーーーーーーーーーーーーーーーーー



ほう……なかなかヤバそうなステータスばかりじゃのう…


『名付け親』とか言う変なステータスは消えてなんか強そうなのばかりだね……



ん?




おぉ……



すげぇ、今気づいたけどさ、ステータスの詳細みたいなの見えるわw


ほれ。


『不死身』…ありとあらゆる負の力を無効にする力を持つ、生物がその力を手にした時、力に飲まれ自らが崩壊するまで全てを壊し続けるだろう……



だってさ……


うーん、そんな力に飲まれるとかそんな事あったかな?良くわかんねぇからパスで、次!!



『魔皇帝』…魔の力を支配する皇帝。その力は魔王を遥かに超越する。



え、こんだけ?短いわ!何だよ、面倒くなったんか?運営よ!居るかどうかは知らんけどさ。



……つぎ!!



『英雄』…ある一定数の生物を救う事で得られる。ある種では儀式を行いこれを付与する事もある。



まあ、いい事したやつね分かった分かった。あれだろ?バラギル帝国だっけ?あれ、追い払ったからだろ?どうせ……



『創造魔法賢者』…創造神にも等しい魔法の力を極めし者の称号。



なにこの説明かっけぇな!神に等しいって……俺今日から神って名乗ろうかな!?




『神聖級回復士』…女神にも匹敵するほどの癒しの魔法を扱う者に与えられる称号。




………ふーん。


……俺ってさあんまりゲームとかでもさ詳細とかあんまり見ないんだよ……何故かって、凄くどうでも良いから。


まあ今は暇だから読むけどさ。



『天龍魔法使い』…ーーーーーーーーーーーー




ん?消されてんのか?バグか?そんなもの本当は無いとか?

まあ、いいや面倒くさそうだから次!!



『相棒』…ーーーーーーーーーーーー




お前もかーーーーーい!!!!!





………暇になった……



さて、何する?クッ…此処に来てスマホの禁断症状が!!


ゲームしたいゲームしたいゲームしたいゲームしたいゲームしたいゲームしたいゲームしたいゲームしたいゲームしたいゲームしたいゲームしたいゲームしたい………………



ずっとそんな事を考えながら景色がほとんど変わらない森の中の景色を見続けた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




………それにしても魔物を見ないな…


先程からいくら探しても魔物が居ない、森の中何だからスライムの一匹位居ても良いと思うんだが……


「お客さん、アバナ村に住んでんだろ?」


突然運転手のおじさんが話しかけて来る。相変わらず顔は前をしっかり見据えている。


「ええ、そうですけど?」(ため口?と敬語?が混ざっています)


「俺は二ヶ月振りに村までこれで来たのだが二ヶ月前はこの辺、必ず何かしらの魔物が現れる筈だったんだが、今は全く見かけ無いんだが、アバナ村ってよ、ダンジョンがあるだろう?何かあったのか?」


はぁ…やっぱり出るんだ、魔物……

いった方が良いのかな?……いや、でもガードラ様はエリアボスが現れた事は言うなとか言ってたな……


「いや……知りませんね。」


「そうかい、それなら良いんだけどよ……ん!?」



運転手が突然馬車を止め前方の様子を伺い始めた。



「どうしたんですか?」


「……あれを見てくれ…」


そう言われおじさんが指を指す方を見ると今いる道の遥か先に何かが砂煙を上げやって来るのが見えた。


「何ですかアレは?」


「ちょっと待ってくれ………あいつは……間違いねぇ!ジュジュバンドだ!!何故Aランク中位の魔物がこんなところに!?」


おじさんが慌てふためき始めた。ん?ジュジュバンド?………良く目を凝らして見ると俺とおっさんが家を建てる途中で出会った大魔王の小便・・・・・・が出来た原因の蛇じゃねえーか!


あの紫色のメチャでっかい蛇も俺たちに気付いたようで…もしくは最初から分かっていて近付いて来たのかもしれないが動きを止めた馬車の前に立ち塞がり先が2つに分かれた舌を見せて威嚇してきた。


どうする?倒すか?倒せるけどさ。多分一発で……


「所でお客さん、魔法は使えるか……」


初めて運転手が俺と眼を合わせたが運転手が俺の顔を見て動きが止まった。


「どうしたんですか?」


「ああ、すまねぇ、こんな時に悪いがお客さん、ひょっとして魔眼持ちかい?」


な、何故それをっ!?あ、謎のマスク的なものしてるからか?まあ、でもここら辺は隠さなくても良いよね?


「ああそうですけど?」


「何の魔眼だ?」


え、何の魔眼?全部。って言うと不味そうだから『魔力眼』にしとこう。俺、一様魔眼の事を調べといたんだが魔力眼ってのは常人の何十倍もの魔力を貯めておく事が出来る魔眼らしい。つまり、俺の馬鹿みたいにある魔力を魔眼のせいって誤魔化せるってわけよ!我ながら良い考えだろ!?ほめて良いんだぞ?


「魔力眼ですよ。」


「魔力眼!?マジか!魔法は何が使えるんだ!?」


そう聞かれた瞬間蛇が動き出した、大きな口を開け馬車ごと丸呑みにしようと突撃してきた。

運転手はその瞬間何かを口ずさみ蛇と眼を合わせ何かの魔法を発動した。


「グギャァ!」


蛇は突然現れた鎖のようなものに囚われ身動きが取れなくなっていた。

運転手は冷静に俺の方に向いてきた。


「ただの、時間稼ぎにしかならないが……お客さん、何の魔法を使えるんだい?」


「神官なので最低限何でも使えますよ。あと、剣も使えます。」


「おっけい、じゃあこうしよう」


そう言って運転手は耳打ちし作戦の内容を伝えた。






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