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第五話 『罪深き者』

お待たせしました

「______騒々しい集団が来たかと思えば、人間か。何の用だ。」


紅い翼を広げ舞い降りた一体の巨大な龍。

飛行船と変わらない程巨大な龍は、覗き込むように僕に顔を近付ける。


「……随分良い物を身に付けているようだな……アダマンタイトか。」


フンと鼻息を鳴らし首をあげるその紅い龍は、僕から眼を離すと魔術師達を一瞥する。


「そこそこ____出来る奴が集まっているようだが……戦争でもしに来たつもりか?」


「いえっ!そんな事は無いです、僕たちはただ、『聖龍王』に会いに来ただけです!」


「『聖龍王』だと?…………ククッ」


聖龍王の名を出すと紅い龍は、まるでおかしなものでも見たかのように笑う。


「人間……良いことを教えてやろう____ お前達の言う聖龍王とやらは、ここには居ない。」


「……え!? 嘘だ。」


それは、完全に予想していない言葉だった。

予想外の事実に思わず逃避の言葉が漏れた。

それを聞いた紅い龍は険しい表情で息を吐く。

龍の代名詞とも言える『吐息ブレス』が目の前で小さく吐き出された。

本来なら一帯を焼き尽くすだろうその炎は、今はほんのり暖かな小さな炎で、僕の思考を一瞬止めた。


「嘘ではない。事実、王はここ数十年、一度も帰って来ていない。」


「そんな……」


「残念だが、無駄足だったな。人間。」


フンと鼻を鳴らすと紅い龍は翼を広げる。

日に照らされるその紅い翼は、まるで宝石の様な輝きを見せ、紅き龍は低く唸った。


「妙な動きを見せなければ、ここに滞在する事は認めよう。だが、長居は奨励しない。人間が棲むには些か険し過ぎる。」


そう言い残し、紅き龍は力強く翔び去る。その巨体は山奥へと消え、僕らは残された。


「……勇者様。これはまずいですな。なんの収穫も無しに、本国へ帰るなど、恥晒しと除け者にされてしまいます。」


「ああ……そうですね……。」


そうだ。国王陛下に誓った手前、なんの収穫も無しには帰れない。

しかし____聖龍王に逢う事と釣り合う成果などあるのだろうか。

何かないかと思考を巡らせていると大地を震わせる程の咆哮が大陸の奥地から響いてきた。


刹那に起こる衝撃。


大地が大きく揺れる。地震や地割れなどの自然現象ではない、絶大な力を以って発生させた振動。

その揺れに耐え切れず、片膝が地面についた。

揺れは治る事なく、それどころかその揺れが次第に強大に………否、近付いている事に気がついた。


「これは________っ!」


轟音と共に言葉が掻き消される。

眼前にあった筈の木々が一瞬のうちに吹き飛び、その余波で数十名の魔術師達が吹き飛ばされる。


その突然の事態に思考が追いつかない。


誰かが叫んだと同時に、飛行船の一隻が大爆発を起こす。

異常事態の連続。

だがしかし、その原因は直ぐに目の前に現れた。


一体は先程の紅い龍よりも一回り程小さな、エメラルドのような鱗を持った龍。その全身は魔術的な何かによって傷付けられ、鮮血がダラダラと溢れている。


そしてもう一方は、『天災級』アイラヴィタにも引けを取らない程の絶大な威圧を放つ龍の様な魔物。

古びた銀のような皮膚を持ち、龍とは違いどちらかといえば鳥にも見えるその巨大な魔物は、その脚からは噛み付かれたような深傷を負ってはいるが、対面する龍と比べると軽傷に見える。


その魔物は、こちらを一瞥すると興味すら抱かず、龍に向かって魔力の動きが変わった。


不味い____!


咄嗟に身体は動いていた、何故動いたのかは分からない。

その魔物が放つ何かを、防ぐ自信など無い。

だが事実、身体は龍を護ろうとして________


『創世の剣』を抜き放っていた。




まるで停止した風景。


目に入ってきた光景に、自身の鼓動が早くなっている事を感じる。



膨大な魔物の魔力は、『創世の剣』の前に前触れすらなく消え去り、その魔力の持ち主は呆気にとられた様子で固まっていた。

まるで時間が停止したような状況が、息を呑むような魔物の仕草で動き出す。


「______その剣は……」


流暢にその魔物の口から出た言葉は、明らかな動揺だった。

畏れるように一歩後ずさる魔物が、こちらを睨むように目線を合わせた。

そしてその数秒後、全身を完全に凍らせるようなプレッシャーが襲い掛かる。

その表情は、先程の動揺では無く明らかな怒りの表情。


「____何故人間が、その剣を持っている。」


全身が恐怖に震え、その魔物の敵意と殺意が混同する視線と共に、その魔物の全身の魔力が動きを変えた。


「っ____!?」


息が詰まる。呼吸が出来ない。まるで空気が無くなったように、息が出来ず、思考が鈍る。

周りの魔術師達がパタパタと泡を吹き倒れていくのが、ぼやけ始めた視界に入る。

まさか、呼吸を出来なくしている!?

飛びかける意識が、かろうじてその魔物の言葉を聞き取った。


「貴様程度が、手にして良い玩具では無い________ね。罪深き者・・・・よ。」




それを最期に、『ルイシュターゼ』。


と言う存在は死・・・・・・・んだのだろう・・・・・・

ども、最近久々になろうのランキングを覗いた所、上位ほぼ全てが『追い出された』系の内容で一人で笑っていたほねつきです。

なんなんですかね、『追い出された』がなろうでトレンド入りしてますね。笑

『追い出された』系か人気なら、僕も便乗してタイトル変えましょうかね、、、


『不死身の神官ー色々平均以下の俺が、勇者パーティから追い出されたー』


とか、どうでしょう。これで僕もランキング上位の仲間入りです笑


さて次回、『不死身の神官ー色々平均以下の俺が、勇者パーティから追い出されたー』をお楽しみに!(大嘘)


ではまた!

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