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第三話 『翔ぶ、勇者』

お待たせしました、

栄光あるアルグレイド大王国唯一無二の王、国王陛下の前に跪いた。


巨大な黄金の玉座に身体を埋める国王陛下は、その威厳溢れる表情をそのままに、煌めく巨大な黄金の宝石が埋め込まれた杖を突く。

国王陛下は世界の三本の指に数えられる国土を統一する王の中の王だ。

その威光を体現した宝物庫の宝石のように煌めく白金の髪は短く切り揃えられ、宝石が埋め込まれたような美しい青い瞳がこちらを見据る。


「『勇者』よ、此度の功績、誠に大義である。」


「はっ、身に余る光栄であります。」


考えてきた台詞をそのまま国王陛下に進言する。

国王陛下は僕の返答を予想していたのか、すかさず別の問いを投げかけてきた。


「して、勇者よ。此度の功績に応じて、とある事を頼みたい。」


「はっ、陛下のお言葉なら何なりと」


その言葉に、姿勢を正し、頭を垂れる。

なんと名誉な事だろうか、国王陛下より直々に、命を受ける事があろうとは……


「『破滅を導く者来たりし時、創世を創りし者もまた来たる』……貴公もよく知っているであろう、予言についてだ。」


神話時代の予言……

自然と、腰に装備した『創世の剣』に触れた。

国王陛下のお考えが分からない。思考が一時停止し、すぐに国王陛下の紡ぐ言葉を待った。


「創世を創りし者とは、『創世の剣に選ばれし者』を指す。……つまり、この世界のどこかに、破滅を導く者が既に現れている……という事だ。」


「!? ……なんと。」


一体どういう事だろうか。

国王陛下の仰る通りだ。そうだ。言われてみればその通りなのだ。

創世の剣は既に抜かれている、しかし、予言通りならば、既に破滅を導く者が居てもおかしくはない。

固まっていた思考が理解と共に、新たな疑問を生み出す、新たな疑問を解決に向けようとした思考を戻し、すぐに跪いた。

国王陛下は、苦虫でも潰したような険しい表情で呟いた。


「既に世界のどこかで、ゆっくりと破滅が訪れているのかもしれん……もちろん予言が外れている可能性もあるが___勇者よ、念の為だ。」


「……ハッ。仰せの通りに。」


突然感情の篭る、宝石のような双眸と視線が交わり、慌てて姿勢を正し、顔を伏せる。


「勇者よ、空挺魔術団一個大隊を貸し与える、『聖龍王』の元へ行け。神話時代より生ける、かの王ならば何か知っている筈だ。」


「ハッ。必ずや国王陛下のご期待に添えるよう、全力を尽くします。」


神話時代から生きる、伝説の龍。

そんなあまりにも大き過ぎる存在に謁見する。

事の大きさに手が震えていた。見えないプレッシャーが胸を抑えつける。


「よし。ならばゆけ。勇者よ、この私の考えが、杞憂に終われば良いが、場合によっては、世界が狂うぞ。」


「ハッ……必ずや。」


国王陛下の仰る通り、杞憂に終われば良いが、楽観的にはいられない。


深く頭を下げ、扉から出ると、まるで追い出されたように扉が閉まる。

謁見の間を守る二人の近衛兵が、無表情のまま、警戒を続ける視線と眼があった。会釈して歩みを進める。


全ては、『聖龍王』の話を聞いてからだ。


これかれ会うであろう伝説の存在に胸を躍らせると同時に、肩にのしかかる緊張がせめぎ合う中、王宮の長い廊下を一人、歩んで行った。



& & &



空挺魔術団


その名の通り、魔術団が飛行船を用いて行動する軍隊の事だ。

元々優秀である魔術師の中から、より選りすぐりの魔術師の団体。

それは彼らの戦場が、陸ではなく空だということ。


地面に足をつけて生きる地上の人間とは、大きく違う。

翼の無い人間は飛ぶことなど出来ない。

しかし、彼らは違う。


魔術で空を飛べるのだ。

故に、陸上で生きる魔術師とは考え方がまるで違う。

スペックが高過ぎるのだ。


僕は、マグナ教立魔術学園のSクラスに在籍していたが、ここではそんなもの、差異に過ぎない。


「お待ちしておりました。勇者様。……我ら空挺魔術団はいつでも離陸可能です。」


「そうですか。準備が良いんですね。」


王宮の周辺に広がる、広大な緑地の一角に数十隻もの巨大な飛行船が、既に浮遊の準備が整えられ、その乗組員である魔術師達が早くしろとでもいうかのような視線を浴びせてくる。


「勇者様。本日は絶好の飛行日和です。さぁ、行きましょう。」


「えっ、あっ……あのっ」


有無を言わさず飛行船のゴンドラに乗せられ、魔術師達が嬉々として出航の合図を送ると、一斉に風の魔術と炎の魔術を駆使して、機体を上昇させる。


ゴンドラには百人程の魔術師がそれぞれの魔術を用いて飛行の調整を行なっている。

数十秒もしない内に、飛行船は雲を抜け、眼下の王宮が小さく見える。


空を飛んでいる。


雲の上には太陽があると、聞いてはいたが、太陽はさらに雲よりも遠い。

太陽を見上げようと、ゴンドラの端へよると、船員の方に止められた。


「勇者様。太陽を直接見る事はおやめ下さい。ここから見る太陽は、お眼を一瞬にして焼いてしまいます。」


「えぇ、そうなんですか。怖いですね。」


「我らの中にも直接太陽を見て、眼を失った者が何名もおります。興味は湧くでしょうが、どうかおやめください。」


なんと、恐ろしいのだろう。

太陽とは、僕たちに光を与えると同時に、その光は人に害を及ぼすのか。

きっとおそらく、あれは超強力な光の魔術なのだろう。

神話時代にも存在する太陽は、一体どのようにして作られたのか、考えてみたけど、それらしいのは何も浮かばない。


きっとこれは、人智の及ばない神の身技なのだろう。


まるで海のように広がる白い雲の上を、飛行船はゆったりと進んで行く。



& & &



雲の上を旅して数週間。

途方も無く広い雲の海は、遂にその終わりを迎えた。


青く光る美しい海の中に聳える絶壁、近づけば近づくほど、そこから感じる魔力の大きさに、思わず息を呑んだ。


「______アレが」


「そうです。聖龍達の住まう、聖なる大陸です。」


そう言った魔術師が、飛行船全体に合図を送る。

光信号だ。


特殊な光魔術を用いて、軍独自の暗号を全体に伝える。

その規律整った動きは、人間らしさというものが欠けていると感じるがしかし、まるで一人一人が歯車のように噛み合って、飛行船が動く様は、美しいと感じた。


「聖龍との交渉成立。着陸可能です。」


「了解。これより着陸態勢に入る、全船着陸用意。」


「了解。着陸用意!」


駆け足で魔術師達はゴンドラ内を移動し、頭上にある高度を取るための楕円形の装置に魔術を唱える。


一体この装置は何なのか、この数週間で聞いてはみたが、機密ですと、頑なに教えてはくれなかった。

きっと凄い魔術が重なりあっているのだろう。そして何らかの作用によって、この巨大なゴンドラが浮く仕組みになっているのだと、勝手に考えてみたけど、どうして浮くのか分からない。


いつか教えてくれないかなぁ。


そんな事を胸にしまい、僕は聖龍達の住まう聖なる大陸に脚を降ろした。



ども、ほねつきです。

先日、ラノベ好きの友人より、「ほねつき、お前って、不死身の神官って書いてる?」と言われ、何をいきなりと。問いかけると友人は「いやー、webラノベ漁ってたら、ヤ○ーの知恵袋に不死身の神官をオススメするってのがあってさ、読んだら結構面白かったわけよ、それで作者見てみたら『ほねつき』でさ、お前じゃないかなと、聞いてみたわけよ。」……と、、、自分自信、まさか某知恵袋さんに不死身の神官をオススメするクレイジーな方がいたことに、驚きと感謝をしつつ、世間の狭さを実感した僕でした。笑


因みにその友人に対する僕の返答は、「フハッ!」でした。(意味不明

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