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不死身の神官〜色々平均以下の俺が転生して不死身になった〜  作者: ほねつき
第2章ーリムサン大陸ー 神官修行編
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新編プロローグ 『神官修行』

俺は、いつものローブを纏い木で出来た便器を掃除していた。

水は流れない、ボットン式の便所だ。


便器の穴の下には壺がありその中にはブツやら何やらが入っている……


「くっせ!!」


俺はその壺に素早く蓋をして取り出し新しい空の壺をセットする。

ブツが入った壺は捨てずに村の農家に渡す。


え?村の農家って何だって?


……何と俺は今、人族領の海の村、アバナ村という所にいる、そしてそこの教会で『神官』になる為に修行をしている。


俺がお世話になっている此処の神官はガードラ・トトフと言う89歳のおじいさんだ。俺はこの人の指導の元、修行をしている。



「ディラさん…それが終わったらお昼にしましょう」



俺に突然声を掛けてきたのはシスターのマリサさんだった。この人も87歳のおば…お姉さんだ。


「はい!分かりました!」


マリサさんはニッコリと微笑むとゆっくりキッチンの方へ歩いて行った。


危ねえ……殺されるとこだった……死なないけど…



さて、そもそも俺が何故こんな所に居るのか教えよう…



時は遡り三年前……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




初歴480年の時の事……



それは突然だった。おっさんが俺の地下秘密基地を勝手に改造して鍛冶屋にしてしまい、占領され1年ほど経った日だった。


おっさんは毎朝俺の部屋を開けて寝ている俺に一声掛けてから地下に潜る。

そんな毎日だったのにその日は違った。



「バンシィよ。一つ頼みたい事があるのだが……」


「…………何だよ…」


俺は眠い身体を起こしおっさんの話を取り敢えず聞いてやった。


「…実はだな…バンシィよ。お主に人族領に行ってもらいたいのだが……」


俺はその時思った、此奴そう言えば『大魔王』だった事に…これは敵の領土を観察して教える。スパイをやれとおっさんは俺に言ったのだと思った。


「……ほぅ……貴様、俺にスパイをやれ、そう言っているのだな?」


取り敢えず俺はガリレオ的なポーズをとっておっさんを見つめる。


「すぱい?何だそれ?………間者の事か?それなら違うぞ、我はただ、人族の武器を見てみたいと思うてな。」


あれ?違った……


俺は取り敢えず話を聞く事にした。


「……ただ我って呪があるじゃろ?だからバンシィに面白い武器を入手して貰いたいのじゃ……ついでに解呪を得る為に神官修行でもやってきてはどうだ?」


「神官修行?何だそれ?」


「文字通り神官になる為の修行じゃよ。神官になる事が出来たら解呪を得ることが出来るようになるのじゃ…我?我は『大魔王』の特権で解呪を得たのだよ。」


チートかよ…糞が……

………でも、面白そうだな……時間なら沢山あるし…


「良いぜ!それ受けてやるよ!」


「おお!ありがとうな!期限は何年掛かっても構わん、時間はあるからな!」


ほぅ……良いんだな……俺の頭じゃ何年掛かるか分からないけど良いね。冒険って感じだよ


「そうだ!これをやろう」


そう言っておっさんが俺に渡したのは小汚い茶色の革袋だった。


「……これは?」


「それは『アイテムボックス』と言って物を持ち主の魔力の限り入れる事が出来るものじゃ、お主の場合は魔力が馬鹿みたいにあるからな、いくらでも入るだろう。」


RPG感キタコレ!!


「やったね!ありがとな!」


俺は早速それをローブの下の腰ベルトに付ける。


「……ついでにこれを飲むが良い。」


今度は緑茶の様なものを渡された。


「なにこれ?」


「翻訳ドリンク…とでも言うのかの…」


翻訳………そのまんまの意味だよな……


「それを飲むと人族の言葉を魔族語に変換し聞こえる様になる。効力は魔力がある限りじゃ………つまり死ぬまでじゃな。」


ほんやくこん◯ゃく〜【長期継続型】みたいな?……すげーな!異世界!!コレあったら俺、英語100点やん!


と言う訳で一気にゴクッと飲んだ。



「あ!」


おっさんがちょっと慌てた。


すると俺の口の中にもわっと苦味が伝わった。


「にっげぇぇぇぇぇ!!!!」


「……それ言おうと思ったのに……」



さっさと言えよ!!



「……まあいい…では早速行ってもらうかの……」


そう言っておっさんが俺の肩を触り魔法を唱えた。


「吹き飛べ……《強制転移》!!」


その瞬間俺の視界は真っ白になった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



気付くと俺は倒れていた。

立ち上がり俺は辺りを見回す。海と森が見えた、と言うかすぐ真背後が海で目の前が森だった。


すると、海辺の向こう側から二人の白髪のおじいさんとおばあさんが歩いてきた。



「……迷える子羊よ、大丈夫か?」


それが、神官ガードラ様との出会いだった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




と、こんな感じだよ。




……さて、壺を捨てに行きますかな……



振り返るとマリサさんが仁王立ちしていた。



「……ディラさん?随分と掃除が遅いのねぇ?」



ま……魔王だ………魔王が見える!!



「も、申し訳ありません!直ぐに棄てて参ります!!」


「捨てちゃダメでしょう!!」


「そうでした!!すみません!!」



そう言って俺は壺を持って教会を飛び出し近くの農場へと走るのだった。

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