ー第3話ー 『英雄』
俺つえーとか言ったけど、よく考えたら俺、人、絶対殺したよね…………
何でだろう……何とも思わないんだけど……え、何これ、怖い………
………取り敢えず、気を取り直してドラグでも探そうかな……
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と言ってもドラグのいる洞穴って岩山の頂上にあるから分かりやすいんだよな………
と言う訳で俺は今絶賛ロッククライミング中だ!
いやさ、いつもなら空飛んで頂上まで行ってるからさ、そんな心配なかったんだけど、よく考えたらドラグの岩山って直角の崖の上だったのを忘れていたよ………
クッソ……まじクッソ……
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ふぅ……
やっと着いた………
だるかった………
俺は近くの洞穴の中に入りドラグを呼んだ。
「おい!ドラグ?いるか?」
「………こっちだ……」
弱々しいドラグの声が奥から聞こえて来た。俺は声の元をたどりドラグの近くまで移動した。
ここの洞穴は洞穴って言う割には明るい、ドラグ曰く壁に魔法を掛けているかららしい……詳しい事は聞く気は無いけどな。
と、そんな事を考えていたらドラグがグッタリして倒れていた。
「ドラグ?大丈夫か?」
「………大丈夫に見えるのかお前には……」
ドラグは目線を上げるだけで動こうとはしなかった。
「どうしたん?てか、あの船なに?」
「………帝国だ…性懲りも無く攻めてきやがった……」
あ、やっぱ帝国さんなんだ……
「………で、ドラグ、お前はどうしたの?」
「…………魔力大樹…それと拘束魔法だ……」
うーんと、つまり動けないって事かな?
「動けないの?」
「………少しは動けるが戦う事は多分出来ん……」
やっぱ戦う気満々なんだ……あ、俺が回復させてやれば良くね?
そういう訳で俺は魔力を練って回復の準備をする
するとドラグが
「……待て…俺には回復魔法はきかん……」
は?なに言ってんの、コイツ……
「………俺の『族王』の能力で他者からの回復を受け付けない効果があるのだ……」
何その残念な能力は……
「…だからすまん……バンシィ、俺の代わりに帝国を撃退して来てくれ……少しは残せよ…敵に恐怖を植え付けなければならんからな……」
何ですかこほクエストみたいな流れは……ここはゲームか何かですか?流石にここまで来て実はゲームの世界でした〜とか嫌だぞ?
「わかった、けど、相手は空に居るじゃん?俺飛べないけど?」
「……心配するな…」
そう言ってドラグはサッと立ち上がった………
おいッ!!なに普通に立ってんだよ!?動けない設定はどうしたっ!?絶対動けるだろっ?
「……魔法の拘束がされている……」
おいっ!?なにサラッと訂正している!?何だよお前!?ふざけてんのかっ!?
「で、どうすんだよ?」
「こうするのだ……」
俺はドラグに掴まれ投げられるような構えをドラグはとった
そして俺は天上に向け思いっきり投げられた。
俺は目を閉じ手で頭を守った。
俺の手に岩のような固いものがぶつかるが俺の勢いは止まらず岩を壊し空へと突き抜けた。
気づくと俺は雲の上まで飛ばされていた……
あのドラゴンどんだけだよ………
下には小さく見える岩山と幾つもの飛行船が見えた
俺は重力によって俺は落下する。落ちながら身体を捻って落下位置を移動させる。
俺が狙った位置は飛行船の真上だ。
俺は勢い良く落下し飛行船の風船の部分を貫通し甲板に着地した……
スゲー…突き抜けなかったぞ……
周りを見るとポケーとしている奴が何人か居たが船には既に穴が空いているため俺は急いで船の端に行き隣の船に向かってジャンプする。
その距離わずか5メートル……
無理!!落ちる!!
なーんてね!
俺は魔力樹を取り出し長い鎌的なものに変形させ飛び移ろうとしていた船の横にブッ刺し俺は登り棒的な感覚で船の上に乗り込んだ!
フハハハハハ!!まるで漫画だろう?だが此処は異世界だぁ!地球とは違うのだよ地球とはッ!!
ちょっと調子に乗っていたらいつの間にか鎧ズに取り囲まれていた………
「…フハハハハハハ!!!!!我こそはバンシィ=ディラデイルなリィィィ!!俺と殺り合う覚『々+$#<|÷*!!!』
うおっ!こいつらいきなり切りつけてきやがった!!まだ台詞言ってねぇぞコラ!!
決めゼリフくらい言わせろやッ!!
それから数分の打ち合いでバンシィは迷っていた。
クソォう!流石に言葉は通じ無いけど同じ人間だから殺したく無いんだけどッ!?
そんな事を思っても相手は全然関係無しに斬りつけて来る……
良いんだな!?
「此処には法律は無いんだぞぉぉぉ!!!」
俺は剣を抜き魔法で身体能力を向上させ斬り掛かる奴らの脇をすり抜けすれ違い様に相手の腹を斬る。
ぶにゅっとした感覚と硬いものを斬った、食べ物で例えるなら骨つきの鶏の肉を思いっきり叩き斬った感じ……
………分からんか……兎に角ちょっとよく分からんものを斬った感覚を覚えた……何も考えるな…人はいつかは死ぬんだ……
俺は甲板の上を走り回り鎧ズを斬って行く……
此処まで無抵抗だと…少し罪悪感があるが……ドラグの頼みだしな……
俺はある程度敵を倒し今度は別の船にまた飛び移った…
此処でも人を斬り何人も殺した…………と思う……
血が飛び散り俺のローブは何時しか真っ赤に染まっていた
そして何十隻もの船に飛び移り殺しに掛かる俺はもう…………
人の心を持っていないかもしれない……
自分でもよく分からないこの感覚は人を殺す事に躊躇しない様な感覚であっていると思う……
また一つ……………また一つと船に飛び移っては殺しを行なった……
ただひたすらに……そんな事をしていると何時しか空には数々のドラゴンが空を飛んでいた。
そしてその中から黒いドラゴンが一匹俺の元へとやって来た……
それは、間違える事はないドラグの姿だった
「おい、バンシィ……やり過ぎだ……」
そう言われ俺は周りの船を見てみると真っ赤に染まり生きている人を見つける事が出来ない様な状態だった……
落ち着いた俺は手が震えていた……
「………バンシィ……お前はもう良い……休んでいろ……後は俺たち天龍族の問題だ……」
そう言われ俺はドラグに何かの魔法を掛けられた………
視界がボヤけ何も考えれなくなり俺は倒れた。
《条件を満たしました。称号『一騎当千』を入手しました。》
《条件を満たしました。称号『恐怖の王』を入手しました。》
《称号『恐怖の王』が称号『SS魔物の首領』に影響を与えました。称号『SS魔物の首領』は称号『魔物王』に変化しました。これにより称号『恐怖の王』が『魔物王』に統合されました。》ーーーーーーーーーーーー
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………寝たな…
よし…
「魔力解放!………行くぞ!我ら天龍族の力を見せてやれぇ!!」
「おおぉぉぉ!!!」
ドラグの少しの号令と共にドラゴン達が帝国の船に向かって突撃する。
一つ、また一つと船は落とされていった……
帝国は危機を感じたのかまだ生きている飛行船に合図をし、撤退を始めた。
ドラグがその動きに気付くと
「深追いはするな!全員、命を大事にしろぉ!!」
その言葉で無我夢中で暴れ回っていたドラゴンは動きを止め冷静に船を落としていった……
船は無抵抗のまま落とされる船が多かった…………
この事から後に帝国ではこの戦いを第二次天帝大戦と呼びまた、『裏世界の悪夢』として恐れられるのであった……
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ドラゴン達は眠るバンシィの周りに集まっていた。
「良いかお前達!!」
ドラグは空を飛びドラゴン達に言い聞かせる。
「その者は俺の友のバンシィ=ディラデイルだ!!この戦いの『英雄』である!!…………皆の者!その者に『英雄』としての栄光を与えよ!!」
その合図と共に天龍族は一斉に目を閉じ身体から小さな光を発した。
その光は眠るバンシィの身体を包み込み消えた。
「………ありがとう!皆の者!!我々の勝利だ!!」
「「「「「オオォォォォォ!!!!!」」」」」