ー閑話ー 『ダンジョンブレイカー』
(言えない……PV稼ぎたかったからやってみたなんて言えない……)
『ダンジョンブレイカー』
それは、とあるSランク冒険者の異名。
その男、名をジャンと語り、それ以外の経歴は一切不明の男である。
これは、そんな男の冒険の1日を描いた物語である____________________________
『ダンジョンブレイカー』の朝は遅い。
大きな欠伸をしながら、宿の昼食をとり、黒いローブに身を包むと何も持たずに宿を出た。
向かった先は街で一番目に付く大きな冒険者ギルドである。
ダンジョンブレイカーが入る頃には、冒険者ギルドに冒険者は数人しかおらず、クエストも殆ど出ていない時間であった。
しかし、その日は違い数人の中年冒険者達が彼がやって来るのを待っていた。
「おせーぞ。『ダンジョンブレイカー』集合は朝だって言ったじゃねーか!」
「いやいや、彼が遅れるのはいつもの事、だから俺たちも集合時間を遅らせようと話をしたじゃないか。」
「そうだ。全てジャックが悪い。」
「何でだよ!」
ダンジョンブレイカーがジャックと言うモヒカンの男の所為にすると、ジャックは大きな溜息を吐きながら、自慢の大剣を背中にかけて声を張った。
「よし!全員揃った事だしな!早速だが、ダンジョンに現れたって言う、『腐蝕龍』を討伐しに行こうじゃねーか!」
「「「おお!!」」」
「おー!」
遅れて声を上げるダンジョンブレイカー。ジャックを筆頭に彼ら中年冒険者五人はダンジョンへと向かった。
ダンジョンへ向かう道中、彼らは今回討伐対象の『腐蝕龍』について話し合っていた。
「食えるのか?」
「食えねーよ!ちゃんと話し聞いてたのか?ダンジョンブレイカー!」
ジャックが声を上げるも、周りの中年共がまぁまぁと宥めに入る。
「ったく……クラント、もう一度説明してやっくれ……」
そう言われ紺青色の髪をした、中年冒険者が声を出した。
「ああ、良いか?ダンジョンブレイカー。『腐蝕龍』はな、アンデットだ。この世に未練を残し、その未練の執着心のみで動いている。所謂幽霊みたいなものだ。……分かるな?」
「うん。」
「よし、でそのアンデットから放たれる腐敗液という液体に触れれば、武器や防具など関係なく、全てを溶かされる。倒す為には魔物の唯一の弱点である核をだな、破壊しなければならない。『腐蝕龍』と出会ったら、回避行動をとりながら、その核を探し破壊するんだ。分かったか?」
「うーん、要するに倒せば良いんでしょ?」
「…………まぁ、そうだな。違うけど……」
説明はした、それで死んでしまったらそいつの責任だとばかりに、クラントは説明を投げた。
こうして冒険者を乗せた馬車は、ダンジョンへと到着した。
「さーて!やるぞー!」
「ダンジョンからは、ダンジョンブレイカーの土俵だからな、心配しかねーが、信じるしかねぇな。」
ダンジョンブレイカーを先頭に、中年冒険者達はダンジョンの入り口である小さな穴へと入って行った。
「『ライト』」
ジャックが放った魔法によって中年達の辺りが照らされる。
「何もねぇな。本当にダンジョンか?」
「んー、あっ!こっちだ!」
「おっ、おい!ダンジョンブレイカー!?待てよ!」
一人、なにかを見つけて進み始めたダンジョンブレイカーを追って中年達は走り出した。
「……はぁ……はぁ……速ぇな………流石にSランク冒険者と言ったところか………」
「………あぁ………」
走り続けて15分程で、下層に降りる階段をダンジョンブレイカーが発見し、全員が息を整えた所で下へ降りた。
「流石、ダンジョンブレイカーだな。こんな簡単に階段を見つけるとは……」
「あぁ……『迷宮の破壊者』は伊達では無いな。」
「んー!みんな、居たよ。何とかりゅう。」
「げっ!」
「うわっ!」
二階層へ降りた途端にメインモンスターと出くわす事が有るだろうか?
現に今起こっている。
目の前には人とは比べ物にならない程に巨大な、四足のドラゴン。
長い首と尻尾に、巨大な頭を持ち、その眼光は紅く光っている。
『グォォォォォォォ!!!!』
地面が震えるほどの咆哮。
思わず足が竦んだ。
だがしかし、ダンジョンブレイカーは一人駆けた。
「おっ、おい!ダンジョンブレイカー!そいつには腐敗液が!!」
まるでボールを投げて取りに行く子供のような無邪気さで、腐蝕龍へ突撃して行くダンジョンブレイカー。
それを出迎える様に、腐蝕龍から放たれる腐敗液と呼ばれる黒い液体が、ダンジョンブレイカーに襲いかかった。
「わぁ!『魔防壁』!!」
ダンジョンブレイカーの周りを囲う様に、半透明の結界が展開され、腐敗液の中を通り抜けた。
そして腐蝕龍に接触した瞬間。ダンジョンブレイカーが、その独特な魔法を発動した。
「『八重の頭』」
発動と同時に腐蝕龍は、その身体を大きく破壊された。
まるで獣に噛みちぎられたかの様に抉られた腐蝕龍は、身体を支えきれずに倒れ、その腹の中心に紅く染まる核を見つけた。
「ダンジョンブレイカー!その腹の中にある紅いのが核だ!壊してくれ!」
「んー!りゃぁー!」
剥き出しになった核は、ダンジョンブレイカーによってあっさりと拳で破壊され、腐蝕龍は世に出回り害を振り撒く前に、討伐された。
こうしてダンジョンブレイカーと中年共は、ダンジョンブレイカーの活躍により、中年達の見せ場なくその日のクエストを終えたのだった。
「流石です!ダンジョンブレイカーさん!予定時間一ヶ月の討伐期間を、僅か四時間で終わらせるなんて!勇者ですか!?貴方が勇者なのですか!?」
と、受付嬢がハイテンションでクエスト報酬を払い、それを受け取ると「おやすみー!」と、まだ日が昇っているにもかかわらず、去って行ったダンジョンブレイカーを見送った受付嬢は、再び自分の仕事に戻り、街は平和なまま、日常が続いて行くのだった。
「バンシィさまー!いっぱいお金貰ってきましたー!」
「うむ。ご苦労。ナデナデしてやろう。」
「わーい!」
ダンジョンブレイカーが手に入れた報酬金が、全て教会の資金となっている事は、世界中の誰も知らない。
おわり。
ども、ほねつきです。
はい。皆様の言いたいことは分かります。
はい?何ですか……俺(私)のガッカリを返せと?
……申し訳ないですが、返せません。
………いや、正直投稿して直ぐに感想が来て、悲しいですなんてコメントが来るとは思ってもいませんでした。ハイ。
皆様の心を弄んだ事を申し訳ないと思っております。
同時に、『不死身の神官』を楽しいと、言って頂き本当にありがとうございます。
自分でやっといて、自分の心が痛いです。
マジで皆さんありがとうございます。
コレを燃料に何とか頑張りたいと思っています!
ありがとうございます。
では、また!……あ、今日の投稿はこれで終わりです。次回からは安定の不定期です。(謎)