表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/252

ー第22話ー 『『禁足地』攻略-4』

お待たせしました。


『スミマセン。ユルシテクダサイ。』


…………喋った……


突然の事に驚いたアイナちゃんは、口をあんぐり開けて、ただ、ゴーレムを見つめている。


ああ、そう言えば、Sランク以上の魔物は喋れたな。大体の場合は喋らずに終わるが。

その設定、完全に忘れていたぞ。


「……貴様、喋れたのか?」


『ハイ。スミマセン。シャベレマシタ。』


なんだ、喋れたなら初めから平和的な交渉が出来たじゃないか。

こいつの所為で少し魔力を消費してしまったじゃないか。


「ほう、ならば聞きたい事がある。」


一応、このゴーレムを拘束してある魔法は解除しない。油断して不意打ち喰らうのは面倒だからな。


『ハイ。ナンデモシャベルノデ、ユルシテクダサイ。』


「そうか。ではまず初めに、このダンジョンは何故、ここまで何もないのだ?」


ちょっと気になっていた。このゴーレムが知っているのならば、謎が解決できて、今後のダンジョン攻略に後味を悪くする要素はなくなる。


『ハイ。ソレハ、ダイタイヨンヒャクネンホド、ムカシニナリマス。』


400年……そんなに遡るのね……


ゴーレムは俺の顔を伺う様に此方を見つめ……と言っても、目がどこにあるのかは分からんが。

俺の機嫌を伺っている様に感じた。


「構わん。続けたまえ。」


『ハイ。ソレハ、ジャシンノ、クソヤロウガ、『ダイエイユウ』ト『シテンシ』ニヨッテ、ズタボロニサレタ、スウジツゴマデ、サカノボリマス。』


ええ、と。『邪神』のクソ野郎が、『大英雄』、つまりチール・ロトムス・ハンバードさんと、『熾天使』バンバーンに封印された数日後まで、遡るらしい。


………なんで通訳してるんだ?俺は……


いや、こいつがわざわざ、カタカナで話すから悪い。

え?お前は耳で聞くだろう?って?


…………俺なりの配慮だよ!察しろ!


『ジャシンノ、クソヤロウガ、キエテ、コノダンジョンモ、モトドオリノ、ヘイワナダンジョンニモドル、ソウオモッテイタラ、イッカイソウノ、クソスライムガ、クソミタイナ、シンカヲ、シヤガッテ、ワタシノイタ、キュウカイソウマデ、スベテヲ、クソクラッテイキヤガッタカラ。』


長い長い長い!カタカナばっかり書くんじゃねぇーよ!ボケ!


ええ……と。つまり。


『邪神』のウ◯コ野郎が、封印されて、このダンジョンも平和になると思っていたら、一階層のウ◯コスライムが、ウ◯コの様な進化をしやがって、私のいた九階層までを、全てウ◯コ喰らっていきやがったから。


だとよ。


……このゴーレム、口が悪い上に、汚ねえ言葉しか吐かねぇな。

あ?通訳に問題があるって?


知ったことか!こっちは、通訳してやってんだよ!感謝しやがれ!


………だがまぁ、大体の事情は察した。

つまり、アイナちゃんのスライムがみんな食べちゃったんじゃないか説が、正解だった様だな。


成る程、スッキリしたな。


……あ?ウ◯コじゃねぇーよ!大体俺はウ◯コ出ねーよ!


「成る程、だが何故お前は生きているのだ?食べられなかったのか?」


岩だから、とかそんな理由では無いだろう。スライム雑食だし、悪食だし。


『ワタシハ、ダンジョンノカベニ、ギタイ、シタカラ、クワレナカッタ。』


ん?ダンジョンの壁に擬態して、食べられなかったのか?

ダンジョンの壁なら、喰われると思うのだが……


「何故だ?このダンジョン、見た限り、壁もスライムに食われている様だが?」


『アア、ソレハカベデハナイ。カベハ、ダンジョンヲ、トリカコンデイルモノノミヲ、カベトイウ、アナタガ、イッテイルノハ、カベデハナク、シキリダ。』


うーん?いまいち、理解し難いが。


つまりは、俺の想像する壁の定義と、このゴーレム、魔物達の壁の定義は違うのかな?


よく分からんが、多分。


迷路にある様な中に設置されるグチャグチャな壁は、壁では無く、仕切りであって、その仕切りを設置する為の決まった範囲の囲いの事を、壁。とでも言うのかな?


………うん。自分でも何言ってるのか、分からんな。


「成る程、だが、その貴様の言うダンジョンの壁とやらは、スライムに喰われることは無いのか?」


『カベハ、ワレワレ、ダンジョンウマレノモノヲ、フウジルタメノモノ。ワタシモフクメ、クソスライムモ、ダンジョンウマレノモノハ、ダンジョンノカベヲハカイスルコトハ、フカノウ。』


ダンジョンで、生まれた魔物はその壁を壊す事が出来ないみたいな?


なんか、呪いみたいだな。


まぁ、ダンジョンが何も無いのは、スライムの所為だって事が分かっただけでも充分だ。


「成る程、分かった。ありがとう。」


『ソ……ソレデハ、カイホウ、シテクレマスカ?』


「え?許してやるが、解放はしないぞ。貴様にはまだまだ、使い道がありそうだからな。」


そう言って俺は、このゴーレムに魔法や魔術を無力化する、『魔破』の魔力で生成した腕輪と足枷を装着させ、鎖から解き放つ。


『エエト、イッタイ、ワタシハ、ナニヲ、サセラレルノデスカ?』


「ダンジョンについて詳しそうだからな、付いて来い。」


『ハ、ハイ……』


こうして俺は、ゴーレムを従えた。


「お前は、名前はあるのか?」


無いだろうが、一様聞いておこう。


『……ナイデス。』


「そうか。」


じゃあ、どうしような………


「『ゴーちゃん』ってのはどうですか?」


やっと復活したアイナちゃんが、ありきたりな名前を提案してきた。


「ありきたりだな。却下。」


「えー、じゃ、じゃあ!『レム』ちゃんはどうですか?」


レム………駄目だ。なんかよく分からないが、凄い誰かから反感を買う気がする……


「却下。」


「えー!」


うんと、そうだな………ガンマ、ダルク、ベータ、シャン……………『フォルテ』?

いいな!『フォルテ』にしよう!なんかちょっとかっこよくね!?


「良し、今から貴様の名は『フォルテ』だ。」


「『フォルテ』……ディラ先生、意味は何かあるのですか?」


「無い。」


「えぇぇ……」


『フォルテ……ワカリマシタ。ワタシハ、フォルテデス!』


ふっ、これでフォルテは俺の言いなりだ。

では早速こき使ってやるとしよう。


「では、フォルテ。早速だが、この穴に飛び込め。」


俺は、ポッカリと空いた穴に指をさしそう命令した。


『エ?ナゼデスカ?』


「どこまで続いているか、分からないだろう?」


それだけ言って俺は「早くしろ」と急かす。


『ワ、ワカリマシタ。………』


無言でフォルテが穴の中にすっぽり落ちて、少しするとフォルテの悲鳴が聞こえた。


「大丈夫かー?」


「ディラ先生って………いえ、なんでも無いです。」


アイナちゃんが何か言いたげだが、別に大した事では無い様なので、深くはつっこまないようにする。


『………ダイジョウブデス!!キュウカイソウマデ、ツナガッテイマシタ!!』


「そうか。」


良し。行こう。


俺も、作り出した穴に飛び込み、重力に任せ飛び降りた。



視界が一気に切り替わり、着地する寸前に魔法で風を生み出し、重力に逆らってゆっくりと着地する。


うん。少し穴が小さかったな。もう少しで顎ぶつけるかと思ったぞ。


「おーい!アイナちゃん!早く飛び降りろー!」


「え、わ、わかりました!!………キャァァァァァァ!!!」


アイナちゃんが落ちてきたことを確認して、落下地点に風のクッションを設置する。


モフッ……


アイナちゃんは、見事モフモフエアクッションに落下し、怪我ひとつない。


「よし、この調子で下に降りるか。」


『デスガ、コノシタハ、カイソウヌシガ、スンデイマス、カンタンニハ、トウシテモラエナイカト。』


そう言われれば、そうだ。十階層毎に、階層主とか呼ばれる魔物が縄張り張っていたのだったな。


ふむ、面倒だがここは、俺が本気を出すとしようか。


「構わん。その階層主とやら諸共、吹き飛ばせば良いだろう?」


『エエ?』


「はい?」


次はもう少し大きな穴を開けるか。


「お前ら、俺の後ろから10歩下がれ。」


本当にできるのか?みたいな半信半疑の顔で、アイナちゃんとフォルテは、俺の後ろに下がり、無言で俺の背中を見つめている。


よーし。


面倒だが、魔力も有りっ丈使って吹き飛ばすか。


普段、魔眼の力を弱体化させている仮面を外し、『魔力眼』を発動する。

ついでに、俺の周りに存在する魔力を全て取り込み、俺の魔力に変換させ、大掛かりな魔法を生成する。


「………………」


おっさんの使う『永久の終わりエタニティ・エンド』は《爆発系の魔法》、《放散系の魔法》、《収縮系の魔法》、《複製系の魔法》、《火力倍加の魔法》が組み合わさった超高等魔法だ。

さらに細かい事を言えば、実は『永久の終わりエタニティ・エンド』はただの魔法ではなく、魔法と魔術が合わさった、分類がよく分からん魔法なのだ!


だが、おっさんが言うには、この魔法と魔術を組み合わせて発動させる事で、魔法の威力が桁違いに上がるらしい。


魔法の発動は『詠唱』つまりは『声』、魔術の場合は『詠唱』ではなく『陣』つまり、『魔法陣』といえば分かるだろう。『魔法陣』に魔力を流す事で発動する。


分かるか?『永久の終わりエタニティ・エンド』は『詠唱』と同時に『魔法陣』が展開されるだろう?あれは実は『魔法』と『魔術』を組み合わせて発動しているからああなる。

つまり、別に『魔法陣』を展開しなくても『永久の終わりエタニティ・エンド』は発動できるのだ。まぁ、『魔術』を発動しない分、かなり威力が落ちるがな。


さて、なぜこんなにも長ったらしく説明を始めたのか、それを原理に俺は再び『永久の終わりエタニティ・バスター』をぶっ放す。



「………穿て。破滅魔法。」


魔法起動の合図を発声。


『詠唱』という名の『声』に合わせて、魔法は発動準備に取り掛かる。

それと同時に、準備している『魔法』と全く同じ現象が起きる『魔術』を描く。

ついでに魔法陣の中に『威力倍加』を付け加える。


『魔法』のみの場合の『エタニティ・エンド』の威力を100として、全く同じ威力を持つ『魔術』の『エタニティ・エンド』を、『威力倍加』の魔術式を書き加える事で威力が200になり、『魔法』と『魔術』その二つを合わせる事で威力は300になる。だがしかし、未だにおっさんも解明できてはいないが、『魔法』と『魔術』は二つを合わせることによって、その威力に変化を来し、威力は更に跳ね上がり、300の倍、600の威力にまで跳ね上がるらしい。


だから、この原理を用いて、バカみたいな火力の『魔法』と『魔術』を組み合わせたら、星の破壊も夢では無くなる。とか、ドヤ顔で語れるようになる訳だ。


もっとも、それは一つの魔法陣と魔法、単体のみでの場合だ。

この、『永久の終わりエタニティ・エンド』が、最強の破滅魔法と言われる理由は、その単体でも強い魔法陣が、何個も展開される事が理由にある!


既に俺の背後には、もう展開した俺ですら分からない程に、展開した魔法陣の数。


そしてそれを俺は、捻りを利かせ、何千近くの魔法陣を一点に集中させる。

全ての威力を一点に集中させる事によって、さらに威力は上がる。


全ては、この一発で終わる。永久に。




そう、これこそが………




「『永久の終わりエタニティ・バスター』!!」





視界が無くなるほどの大爆発と、鼓膜が裂けそうな程の爆音が、その後数分を支配した。

階層主『プギャ』




はい。ども、ほねつきです。

最終的に魔物との戦いじゃなく、ただ地面にむかって魔法をぶっ放す、完全にイカれたディラです。いや、元からイカれてましたね。ハイ。

時に、今更気付いたのですが、『HJ大賞』!見事、一次考査通過しませんでした!!イェーイ!

やはり、締め切り30分前に参加するのは、阿保でしたかね?笑笑


さて、そんな事はどうでも良いでしょう。あと少しで、物語のクライマックスに入って行きます!

そして、皆様に絶大な人気を誇る勇者(笑)も、あと3話程で登場します!(予定)


それから、ブクマ登録して下さった方々、ありがとうございます!ついでに評価もして頂けると嬉しいですー。


それでは、また。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ