ー第3話ー 『俺、最強』
グリムの宣言から4カ月が経った。バンシィはまだ帰ってこない。なので我はこの我の支配(笑)する大陸、ブゥルムンドの書店、図書館を駆け回り(嘘)様々なジャンルの本を手に入れバンシィの研究室?秘密基地?に本を置いていってやっておる。
因みに我は300年引きこもりをやって本などろくに読んではおらんかったでの……これはこれで新鮮じゃ。
「ほらほら、そこ、立ち読みしないでよ。」
おっと、立ち読みしておったらおばさんに怒られてしまった。……ふむ、この本も良いかもしれんの…
「ああ、すまぬ。……ではコレを頂こうか幾らだ?」
「へー、あんたこんなの読むんかい?かなり難しいと思うけどねぇ〜」
因みに我が今買おうとしておる本は『ー破滅魔法攻略ー作成魔術編』と言う本じゃ、これはなかなり魔力の扱いが大雑把な破滅魔法を繊細に扱う為の魔道書的な本でな、それの作る系の魔法のコツが書いておる。
べ、別に、我が読みたいからとかでは無いぞ!決して作る系の魔法が使いたいとかでは無いからな!バンシィの為じゃよ、バンシィの!!
「いや、ちょっと知り合いにな……」
「あらぁ、そうなの〜それじゃあ、その子きっと将来は『賢者』かしらね?」
『賢者』と言うのは魔法を極めたものとか、才能が溢れ出てる者が手に入れたりする称号じゃの、大抵はジジイババア位になると手に入れたりする者が多いかの……それでも一握り程だがの…
「フフフ、そうかも知れんな。……して幾らなのだ?」
因みにこの手の本は高い。なにせ一冊一冊が手書きだったりするからの、最近では人族のバラギル帝国が『魔術印刷』なる魔道具を開発した事により童話や、物語などの本は大量に生産されておるが何故か魔法関係の事を記す本は『印刷』なる事が出来んらしくての魔道書などは手書きなのだ。
それでも魔道書は書く者がまだおるからこうして街の本屋にも置いてあるのであろう。
「ああ!済まないねぇ、其奴は190ルムンドなんだよ……大丈夫かい?」
おばさんが心配そうに見てくる。
我々魔族は通貨で対価を支払っている。
そもそも、通貨は魔金貨、金貨、魔銀貨、銀貨、大銅貨、中銅貨、小銅貨と存在する。
魔金貨は300ルムンド、金貨は150ルムンド、魔銀貨は100ルムンド、銀貨は35ルムンド、大銅貨は25ルムンド、中銅貨は15ルムンド、小銅貨は1ルムンドとなっていて魔金貨はお偉い様方が使う位でつまり190ルムンドはかなり高い。とゆうか、書店に普通に置いて置いて良いものでは無い。
まあ、我は大魔王なので、金ならあるがな、この場合は金貨1枚と大銅貨、中銅貨1枚ずつ渡せば良いの。
「はい。これで良いな?」
「あらぁ!たまげたね。金貨じゃないかい……久しぶりに見たねぇ……まさか、あんた何処かのお偉いさんかい?」
正解かの?
「いや、ただの引きこもりだよ。じゃあな、また来るぞ。」
「ありがとね!またおいで〜」
一瞬おばさんは顔を顰めたがそこはおばさん、直ぐに切り替えたの……
まあ、さっきからおばさんの事をおばさんおばさん言うておるが我の方が200歳程年上何だがの…
大魔王は人通りの多い大通りを避け路地に入ると転移をした。
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フフフ……ハハハハハハハハハ!!!
やったぞ!!遂に覚えたぞ!!
「さあドラグ!!思いっきりやれ!!」
「ああ!!」
俺は新たに覚えた魔法を試す為ドラグに1発全力の攻撃を撃ってもらう。
ドラグが手足を地面にしっかりつけ口を開く。ドラグの口元から紫色の球体が現れ収縮し一気に俺に向かって一直線で放たれた。
いくぜ!!
ディパル!!
俺の周りに青っぽいオーラ的なものが纏われる
その瞬間ドラグのビームを全身に受ける。
「ぬぉぉ……」
俺は両手で何とか受け止め最後に力いっぱい手を払いビームを吹き飛ばす。
うわぁ……両腕火傷と、腹に傷が……ハハハ!!ここが見せ所!!はぁ!!
俺を緑色のオーラのようなものが包み込みみるみるうちに傷や火傷を回復してゆく。
「キタコレ!!」
「おお!!凄いぞ!!バンシィ!成功だな!!」
俺とドラグは喜びを分かち合った。
苦節4カ月……大変苦労しました……回復魔法を覚えるにはまず補助魔法を覚えなくてはならなくてそれを頑張って出来るようになってから回復魔法を練習し始めたからかなり苦労したわ……
因みに俺がさっきビーム受ける時に使った【ディパル】は補助魔法の防御系の魔法で自身の防御力強化の魔法なのだ!
俺、強くね?
「という訳でさ、もう勉強しなくて良いよね?」
「何を言っている?まだ計画は終わってないぞ?そもそも、お前が浮遊魔法だ、回復魔法だ言ってた所為で勉強全くしておらんでは無いか、それにお前の頭では全然理解をしてくれんからな、あと8カ月は必要だな。」
「ノォウ!!」
くそう!!浮遊魔法があれば空飛んで逃げれるのに!!
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何処かの研究室。
「実験成功だ!!」
「「「うおぉぉ!!」」」
ガラスで仕切られた部屋に白衣を着た研究者らしき人間達が反対に眠っている様なドラゴンを見て歓喜に包まれていた。
「では、このレシピを基本に大量生産を開始しろ!私はこの事を報告しに行く。」
「はっ!」
白衣を着た研究者たちの一人がそう言って研究室を出て行く。
他の研究者達は出て行った研究者の資料を見つめ同じ様に作り始めた。
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宝石などで装飾された王宮の玉座に一人の男が入ってきた。
男は銀色の鎧を着ていて玉座に座る少し筋肉質の男に膝を着き平伏した。
「バラギル陛下。先程、新兵器『封魔』が完成したと報告が入り只今大量生産に取り掛かっております。」
鎧を着る男は玉座に座る男にそう伝えるとその男はニタリと笑った
「そうか、では、飛行船800隻の準備それとそれに見合った兵の用意と2カ月分の食糧を用意しておけ。8カ月後今一度天龍大陸へ進出するぞ。」
「ははっ!!」
鎧の男は深く頭を下げるとそのまま退出していった。
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「バンシィ。今日は何年何月何日だ?」
「初歴476年13月35日だろ?それがどうした?」
俺が回復魔法を会得してから4カ月が経った。以来ずっと俺は浮遊魔法が使えない。
そんなとこより明日で年が変わるらしい。えっと、日本で言うと元旦…違う、大みそかだ。
だけど特にこの世界は祝う事とかはしないらしい。
「今日は特別に休みにしてやろう。」
うっそ!マジで!!
「本当かよ!?」
「ああ、本当だ少し俺は行きたい所があるのでな。」
「そうか!良いぜ!じゃあ今日は休みな!」
そう俺が言うとドラグは嬉しそうな顔をして
「そうか、済まんな。では行ってくる。」
そう言って空に飛んで行ってしまった。
よっしゃ〜じゃあ、帰るか!
……………しまった!ドラグが居ねえと帰れねえ!!
「ドラグ!!図ったな!!」
俺の叫びは虚しく散った。
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暇なので久しぶりにステータスを確認しようと思う。一応これステータスで成り立ってる世界だからな。
兎にも角にもステータス!!
…………
でよ!ステータス!!
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name…バンシィ=ディラデイル
status…『不死身』 『相棒』 『SS魔物の首領』 『創造魔法使い』 『神聖級回復士』 『天龍魔法使い』
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……ほう、初めて見るのが沢山あるな……不死身、相棒は置いといて、SS魔物の首領?しゅりょうであってるか、
これは心当たりあるぞ、ダルクとベータとシャンを手下にしたからじゃね?首領ってボスって事だろ?
次!!
創造魔法使い、これは俺の元々持ってたやつだろ?
次!!
神聖級回復士?そのまんま回復する人だろ?神聖級ってのは、確か魔法の階級だった気がする……
確か、神聖級、帝國級、王級、上級、中級、下級、初級ってあるやつの一番上じゃね?
おー!俺、強いじゃん!!他人を見てないからそんな知らんけど。
はいつぎ!
天龍魔法使い………これ絶対ドラグに魔法教えてもらったからだろ……
はい、暇になった!!どうしましょうかね!!
俺は取り敢えず仰向けになって転がる。石がゴツゴツして痛い様な感覚、俺、不死身だからノーダメなんだよな…
ん?
空高くに鳥の様な生き物が飛んでいた。その鳥の様な生き物はこの大陸の中心の方に向かって飛んでいた。
鳥はこの大陸に来て初めて見たな……ドラゴンなら幾らでも見た事あるんだけど……
俺は好奇心に誘われその鳥の影を追った。
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俺は鳥を追いかけ1時間ほど、鳥は川の流れる岩山に降り立った
俺は近くの岩陰に隠れる、大きさは3メートルくらい、よく見るとその鳥は鳥と言うよりも恐竜のプテラノドンの様な生き物だった。多分魔物。
プテラノドンは頭が黄色で他の部分は暗い青色をしていた。羽毛?は生えてなくてドラゴン的な翼だった。
そのプテラノドンは川の水を少しずつ飲んでいた。
よし、コンタクトを取ろう。分かんないけど何かいけそうな気がする。
俺は背後からプテラノドンに近づく。
プテラノドンは川の水を飲みながら此方を見ると振り向いた。
「お前は人間か?魔族か?」
しゃ!喋ったぁぁ!!!!
……さて、お決まりをやった所で、ほらな、なんとかなっただろ?てかさ魔物ってみんな天龍語もとい日本語使うんだな……
「人間だよ。」
そう言うとプテラノドンの目が鋭くなった
「そうか人間か、と言う事はお前は俺の素材を手に入れに来たのだろう……そうはさせんよ人間!!死ね!!」
そう言うとプテラノドンは翼を羽ばたかせかまいたち的な斬撃を飛ばしてきた。
ファッ!?
俺は咄嗟に横に飛んで回避する。
俺の背後にあった大きな岩が綺麗に切れた。
ファッ!?
「ほう…この不意打ちを避けるか…ならばこれはどうだ!!」
「ちょっま!!」
プテラノドンが連続で斬撃を飛ばしてくる俺はそれを走り回って回避し続ける。
「オラオラオラ!!!」
なんだよ!この遠距離攻撃!チキンかよ!!
それだったらこっちにも考えがあるぞ!!
俺は逃げ回りながら地面の砂を引っ掴む。俺はそれに俺は魔力を流す。フッ…伊達に8カ月も勉強しておらんのだよ。
「くらえ!!ファ◯ネル!!」
俺は掴んだ砂を投げつける。
その砂は重力によって地面に落ちる事は無く浮遊した。その砂に斬撃はぶつかり消えた。
「土系の魔法使いか!」
プテラノドンがそう叫ぶ。
違う、ただの創造魔法です。確かに魔法は攻撃魔法の中から更に細かく分けていくと色々な属性の魔法があるらしい。火や水、土、雷とか色々だが俺は違う。俺の場合全部その手の属性使えるしただの創造魔法の応用なのさ。
と言う分けて少し驚かしてやろう……
「スキあり!!くらえ!!」
俺は練りに練った魔力を空気中に流しフ◯ンネル(砂)に魔力を当てる。
そして魔力にぶつかった俺のファ◯ネルは電気の様なものを纏う。
そして俺はその魔力を放出する様に力を込める。ファン◯ルの纏った電気はプテラノドンに向かって放たれる
これぞ移動式砲台ファ◯ネル・ビ◯ト!!
「ぐああああ!!」
やった!!プテラノドンはこんがりプテラノドンに進化した!!
プテラノドンは真っ黒焦げになり倒れる。
ちょっとやり過ぎたかな……そうだ!回復してあげよう!記念すべき一人目の患者だ!!
俺はこんがりプテラノドンに両手をかざす。
えぇ…と何だっけな、そうだ!【レイト】だ!
ふぅ……
魔力を両手に集中させる。
レイト!!
その瞬間にプテラノドンの身体を緑色のオーラ的なものが包み込み黒焦げの身体を治してゆく。
「…………だ、……」
ん?
「何故俺を回復させる……素材が目的では無いのか?」
さっきから此奴、素材、素材って何なんだよ…
「しらねぇーよ興味無いからな。大体俺は興味本位で見に来ただけだよ。」
「……そうなのか…すまんな、勘違いしてしまって…」
プテラノドンの傷が完全に癒えプテラノドンは立ち上がる。
「良いって事よ。」
「…俺は旅をしていたがお前の様な人間は初めてだ。」
「旅してたの?すげーなそれは!」
そう言うとプテラノドンは笑顔になり嬉しそうに話し始めた。
「そうだ、俺は人族の住む大陸で産まれ戦いながら今まで生きていた、今更だが俺の種名はオーバーフィトクスと言う。宜しく頼むぞ我が主人よ。」
あ?あるじ?
なに?どゆこと?
「知らないのか?俺たちの様な知性を持つ魔物は戦い負ければその者の部下となるのだ」
へー知らなかったー初めて知ったわそんなルール
「そうなんだな、初めて知ったわ」
「だろうな、俺がいま適当に言ったんだからな。」
違うんかい!!騙されたじゃねぇーか!前例があったから本当にそうなんだと思ったわ!!
「じゃあ、俺の部下にはならないんだな?」
「いや、それはなるぞ。」
いや何でだよ!!
「俺は強い奴が好きだからな!」
「そんな理由かよ!!……じゃあ、俺が名前を決めてやろう…」
「まじで?やったね!」
ふむ、実に嬉しそうだな…
そうだな…カッコ良い名前が良いな……
………
「決めた!お前の名前はガンマな!!」
いや決して思いつかなかったわけでは無いんだよ?
「ガンマ!わかった!今日から俺の名前はガンマだ!!」
実に嬉しそうで何よりだ……