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ーエピローグー 『不敵な笑み』


「……やっと帰って来れましたねー!」


「そうだな。」


天にも届きそうな巨大なタワーを眼の前に、イグザは体を伸ばす。NNは終始無言だ。


2ヶ月、それだけの期間を、俺たちは船の上で過ごした。移動に2ヶ月、仕事に一週間、これほどまでに移動が長いと大変だな。通信機でも発達しないかな?いや、一様通信機はあるが、建物内だけだもんな。


「このタワーが、懐かしく感じますよ。」


「懐かしい?お前は王都サンに住んでるじゃないか。」


イグザは『マギア』に住んでいる訳じゃない。王都サンだ。別にこのタワーが懐かしいとは思わんだろ。


「そうですけど、私達が旅をした始まりの地じゃないですか!」


はぁ?何いってんだ此奴。


「そうか。」


「そうです!」


「………行くぞ。バズズ様がお待ちだ。」


「はい!」


相変わらずのザル警備を、特に何の検問もなくあっさりと通過し、『上昇箱』と言う名のエレベーターに乗り込み、教会本部のある階層まで上がる。


『上昇箱』から観られるマギアの都市は、俺がいた2ヶ月前よりも建物が建ち並び、さらなる発展を遂げていた。


今は仮設の道路が設置され、積み荷を積んだ馬車が、引っ切り無しに行き交う事になっている。


チン!と言う音を合図に『上昇箱』の扉が開いた。


「ひぇぇぇぇ………あれ?イグザ様にNN様………ひぇぇ………それと………もしかして、『高位聖神官』様ですかぁ………?」


乗り込んで来たのは秘書の青年。名前は知らん。なんか色々な書類を両手に抱え、忙しそうに働いていた。


「そうだ。」


「お久しぶりですね、ビービさん。」


「ひぇぇぇぇ………お久しぶりですぅぅ…………」


へー、この青年、ビービって名前なんだー、覚えとこーっと。


そんな事を考えていたら、『上昇箱』の扉が開いた。着いたか。

一番に『上昇箱』から降り、バズズ様のいるであろう執務室へとさっさと足を運ぶ。


「ひぇぇぇぇ………高位聖神官様、バズズ様にご用ですかぁぁ……?」


「ああ。」


「ひぇぇ………そうですかぁ………」


え?なに。それだけ?バズズ様居ないとかそんなんじゃなくて、ただ聞いただけ?

まぁいいか。

律儀にも執務室と書かれた両扉を、ノックをして返事を待たずに入る。


「バズズ様。ただ今帰還いたしました。」


「ふ……む?」


中に入るとデスクいっぱいに、ケーキやお菓子が並び、それをひたすら頬張るバズズ様の姿があった。


「…………相変わらず、凄い食べっぷりの様で……」


「…………うむ、その様子だと、どうやら『五王』に協力を取り付けた様じゃな。良くやった。」


「はい。ありがとうございます。」


「あ!バズズ様またですか!?あれ程お菓子は程々にって言ったではありませんか!!」


「む……すまぬ。」


入って早々にバズズ様を叱りつけるイグザ。そう言うとこだけは、しっかりしてるよな、お前は。

もう諦めろよ、注意してもまた食べるぞ、その人は……ほら食べた。イグザ、お前の目には、きっと、反省しているバズズ様が見えているかもしれんが、お前が少し目を逸らした瞬間、お菓子が転移して口に運び込まれているからな。お前じゃ気付かないだろうが……


「バズズ様。『五王』との約束は取り付けられました。此方では何か変わった事はありませんでしたか?」


バズズ様のお菓子を食べる手が止まり、真剣な顔つきに変わる。


「うむ、『邪神』の噂じゃな。実に喜ばしい事に、『邪神』について調べ始めた者が現れた。」


ほぅ、ただの噂を調べる物好きがいたのか、余程の暇人か、それに近い何かだろうな。


「成る程、順調そうで、なによりです。」


「うむ。その者達はどうやら、相当な情報通のようでな。王国連合の諜報部も一目置く存在じゃ。」


それは凄い、ただの物好きは、ただの物好きではなく、頭のネジが飛んだ、ただの物好きの様だな。………例えが悪いな。


「一体どの様な、人物でしょうか?」


「うむ、その者達は、王都ロトムスを拠点に活動している、『探偵』じゃ。」


「『探偵』……ですか?」


「左様。その『探偵』は、頭脳だけでなく、腕もきくという。推定じゃが、冒険者ランクでいくとAランクは確実も聞く。」


凄いな……頭も良くて、戦闘能力も高い。完璧か?それでイケメン、美女、とかならもう、なんとも言えない程、完璧だな。………何言ってんだ、俺は。


「それは凄い。名前は分かっておりますか?」


「うむ。その『探偵』は男女の二人組。男の名はランバ・ウェーテェフ。女の名はメル・キューリフ。出身は王都サン。歳は22。特徴は黒いローブを身に付け、探偵稼業を営んでおる。」


…………………え?


ランバ・ウェーテェフと、メル・キューリフ?………え?


ランバとメル?なんで?


ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー


「ニーナ知ってるー!あのねー!探偵っていうお仕事なんだってー!」



「馬鹿ニーナ。静かにしてろ。」


「エヘヘー、ザンバー♡」


「ば……馬鹿ニーナ……♡」


ーーーー

ーーー

ーー



殺ス!!


って違う違う!


大体、あの二人は此処までイチャイチャしてなかった……いや違う!そうじゃない。


……そうだ。ランバとメルは探偵をしているって言ってたな………本当だったのか……ニーナの言う事だから適当だと思っていた……


「ディラ?どうした?なにか思い当たる節でもあったか?」


バズズ様の声によって、現実に戻された。いかんな、ザンバとニーナは、イチャイチャしている所ばかり、思い出してしまう………


「ああ……いえ、特には何も。………その『探偵』は、今何をしているか分かりますか?」


「勿論じゃ、既に諜報部の連中を数名張らせておる。そして今はこの、『マギア』におる。」


なにっ!?


居たの!?『上昇箱』からは何も見えなかったぞ!?……当たり前か。


「確かですか?」


「うむ、この『探偵』、何処から嗅ぎつけたのかは分からぬが、噂の発生元がこのマギアだと、推測しておる。もしかすると、その内、このタワーに乗り込んで来るやもしれんぞ?」


「その時は、どうなさるおつもりですか?」


ランバとメルには、少し会ってみたい気もするが、この姿では駄目だな、流石に高位聖神官の俺が、此処に滞在している事が知られるのは不味い、さっさとイリアルに変身しようかな?


「『邪神』について、その調べが、真実に近いものならば、我々に協力して貰うつもりじゃ。」


うっわー。まじかよ、頼むぞー……真実から遠ざかった推測でも立ててくれよ……嫌だぞ?俺は感動の再会とやらをお前達に果たすのは……


「左様ですか。彼らが協力してくれると良いですね。」


「協力するのじゃよ。必ずの。」


不敵に笑ったバズズ様を見て、俺もノリで笑っておいた。



エピローグです。

間違いではないです。

唐突に終わった感じですけど、最高聖神官編はこれで終わりです。

次編からは勇者とかも出て来る予定です……

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