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ー第30話ー 『チョロい』


「えっ……と。冗談ですよね?」


「冗談?なにが冗談だ?」


「ディラデイル様……」


困った時に俺を見るな。


「知らん。ドラゴンなのだ、400年くらい生きててもおかしくはないだろう?」


この際はドラグが、『邪神』と闘った事が有ろうが無かろうが、どちらでも良いだろう。真面目な話、とりあえず『五王』の『邪神』討伐参加に取り付ければ良いだけなのだ。だから、ドラグの話はどうでもいい。


「おかしいですよ!ドラゴンっていったら、長くても300年しか生きられない生物なのですよ!?」


え?そうなの?千年単位で生きてるものだと思っていたのだが。違うんだな。へーそれは知らなかった。あ?じゃあなんでドラグ生きてんだよ?


「クックックッ………俺は特別だからな。ちょっとした『族王』の力だったりする。」


へー。そうなんだー。どうでもいいわー。


「イグザ。そんな事はどうでも良いだろう?お前、『五王』に協力を仰ぐのでは無かったのか?綺麗に流されてるぞ。」


「はっ!そうでした!………皆さんお願いします!世界の危機なんです!」


「「「断る」」」


おぉ。ハモった。


「何故ですか!?何故闘ってくらないんです!?」


「何故って言われてもねぇ……」


『賢王』ネルが、カシスリキュールを飲みながら、そして『武王』に肩を寄せながら、そう呟いた。リア充ウザい。ムカつくわ……


「そうだね、俺はネルを危険に晒したくは無いからな。」


「もぅ♡サリフったら♡照れちゃうじゃない♡」


ウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザい。

なんだ?俺への当て付けか?喧嘩売ってんのか?こちとら真面目に話をしようと、してんだろうが?ブッ殺されたいのか?

仲良く壁に顔面、埋めてやろうか!?


「呪い殺すぞ貴様ら。」


それについては同意見だ、行き遅れBBAよ。


「なぁ、オレンジジュースお代わり!」


「あぁ!?もう勝手に注いでいやがれ!」


樽をカウンターに置き、カイトに注ぎ方を教えるドラグの姿を横目に、イグザが訴えかけてきた。


「無理ですディラデイル様!この人達、キャラが濃過ぎます!!」


お前がそれを言うな。


………しかし、協力を取り付けれないのは、此方としては問題だ。取り敢えず、協力して貰えるようにはしないと、帰れない。

………仕方ない、この俺が、天才的なこの俺が、交渉という物が何か、教えてやろう。


俺は仮面の下から『記憶眼』を発動させ、取り敢えずは、一番簡単そうなリア充の『賢王』の攻略に臨む。

交渉において、相手の情報を集めることは、重要不可欠だ。相手の弱みを掴むことで、此方の有利に話を進められる。その為に、『記憶眼』は素晴らしい成果を上げてくれる。

まぁ、見ていろ。


「『賢王』ネル。悪いが此方は仕事でな、『邪神』の討伐に参加を表明してくれればいい。してはくれないか?」


「はぁ……何度言えば良いのかしら、嫌だと言っているでしょう?」


「………『リムサン大陸温泉旅行』に行けるとしてもか?」


その時、『賢王』ネルの顔が変わった。


「………何故、知っているの?」


「さぁな。だがしかし、『邪神』討伐に参加してくれるのであれば、報酬として『リムサン大陸温泉旅行』に行く事も可能だろうな。」


「な、に………」


「更にだ、もしも『邪神』を討伐でもすれば、その功績は讃えられ、リムサン大陸の温泉どころか、『世界温泉旅行』にも行けるだろうな……しかし、嫌だと言うならば、仕方ない。この話は無かった事に………「待ちなさい!」


フッ……チョロい。


「せ、世界の危機なら仕方ないわ!私達は勿論、世界の為に・・・・・戦うわ!」


その理由だと、無理があるな。まぁ、良いが。


「え?ちょっと……ネル?」


「ねぇ?サリフ♡私……サリフと一緒に温泉旅行に行きたいのぉ……お願い♡一緒に戦って♡」


う……ぜぇぇぇぇぇ………


ネルは、猫撫で声でサリフにもたれ掛かり、上目遣いでそうねだる。


それ、俺がもしやられたら、殴っちゃうやつだ。何様だテメーは?みたいな感じで俺だったら殴るわ。

誰だ今、モテない男の嫉みって言った奴!何様だテメーは!?壁に顔面埋めてやろうか!?


「仕方ないなぁ♡ネルは俺が守るからな♡」


「ありがとう♡サリフ♡」


「ネル♡」


死ね。


「呪い殺すぞ貴様ら?」


それについては、同意見だBBAよ。


さて、俺が記憶眼で何をしたか、分かったか?俺はただ、相手の記憶を探ってちょっと付け込めそうなとこが有ったから、それを言ってみただけだ。

つまり、この『賢王』は、どうも、金銭的な面で、『リムサン大陸温泉旅行』とやらに行きたくても行けなかったが、それを俺が行ける様な事をチラつかせる事で、協力を取り付けた。ただそれだけの簡単なお仕事だ。チョロい。


「え?なんで……」


「良いかイグザ。人を手伝わせるには、情熱だけでは駄目な時があるのだ。そんな時はいつでも『金』だよ。」


ちょっとカッケーな、俺。


まぁ、実際、金だな。『温泉旅行』とか、金出せばなんとかなる問題だ。あー、超簡単な問題で良かった。もしこれが、ややこしい人間関係の所為で駄目とかだったら諦めてた。


……さて、次はBBAだな。


俺は、BBAの元へと寄り、目を合わせた。


「『呪王』シロン。貴様も手伝ってはくれないか?」


「嫌よ。よりにも寄ってあの二人が居るのは、嫌よ。」


指さす先にはリア充の二人……確かにそれは、否定出来ない。……だが……


「ほぅ……貴様が好意を抱いている男と、少しだけ仲良くなれる方法がある。と言ってもか?」


「話を聞きましょう。」


チョロい。


「ほぅ、では『邪神』と戦ってくれると?」


「先ずは仲良くなる方法からよ、それを聞いたら考えなくもないわ。」


フン、まぁいいか。


「良いだろう。それは、非常に簡単な事だ。」


「何?早く言いなさい。」


凄い近いです。それ以上近づくな。BBA。どんだけ必死なんだよ。


「簡単だ。その男の時だけ、あえて高いメニューを頼むだけだ。」


「何?高いメニューを頼む?」


「そうだ。そうすれば、貴様は、雑な扱いをされなくなる。」


「それは本当なのね?」


「ああ。勿論だ。」


だって俺が態度を改めれば、良いだけだもん、そして俺にお金がたんまりと入って一石二鳥って訳だ。


「よし、なら試してみる価値はあるわね……」


「もし、それが成功すれば『邪神』討伐に参加してくれるか?」


「ええ、良いわ。もし成功しなければ、参加しなければ良いもの。」


「まぁ、どの道、成功するがな。……ついでに、それが成功したら今度は欲しい物があるか聞いてみれば良い。そしてその通りの物をプレゼントしてみると、貴様はその内、下の名前で呼ばれるようになるかもな。」


「本当に!?」


本当だよ。本人が言ってんだから間違いねぇよ。


「分かったわ。成功したら参加してあげる。」


「それで良い。」


「えぇ………なんで……」


よっしゃ。これで完璧だ。

後は、カイトだけか。此奴はよく分からんからな。記憶眼を使わんでもなんとかなる。


「カイト。強い奴と戦いたいか?」


「勿論だ!」


「よし、なら戦える時になったら戦ってくれるな?」


「勿論だ!」


はい。チョロい。


「イグザ。分かったか?交渉ってのはこうやるんだ。」


「えっ……でもまだ、『族王』さんが……」


「あ?」


振り返り、何かを待ちわびているかの様なワクワクした目で、此方を見るドラグを一瞥し。


「大丈夫だ。此奴は絶対参加する。」


「ちょっ!待てい!バンシィ!!」


「あ、やっぱりですか、薄々そんな気はしていました。」


「えぇ!?……確かに、呼ばれてなくても行ったが……」


うわ、呼ばれてなくても行くとか……完全にヤバイやつじゃん。


「さて、仕事は済んだ。イグザ。食いたい物があるなら食っとけよ。ここにあるのは、滅多にお目にかかれない物ばかりだからな。」


自分で言うのもなんだがな。


「はい!『族王』さん!クリームパスタ下さい!」


「え?あ、おう。」


え?なんでこっち見んの?ドラグ?


俺は元いた席に戻って、牛乳を飲もうとすると、おっさんが耳打ちしてきた。


「ドラグは、あの肉丼しか作れんぞ。」


「あ、そうなの?」


「どうするのじゃ、流石に無理とは言えんじゃろ?」


んー。どうしよう。取り敢えず、トイレ行くとか言って、俺が厨房で作るか?


そんな事を実行に移そうと、考えたその時、店のドアの鈴が、店内に響いた。


「ギャハハハ!!おーい!バイトの兄ちゃん!ビールとつまみなー!」


「勿論、二つな!」


下品な笑い声で店に入ってきたのは、金髪モヒカンのジャックと、紺青色の髪したおじさん。


そう言えば、此奴らも常連だった。相変わらず、紺青色の髪したおじさんの名前は知らんけど。


ズカズカと店の中に入り、『五王』に気づくと声を上げた。


「よーう!カイト!今日もオレンジかー?」


「たりめーだ!クラント!俺は、オレンジジュースしか飲まねぇ!」


へー、あの紺青色の髪したおじさんってクラントって、言うんだー覚えとこーと。


「おぉう!相変わらずラブラブなお二人さんに、相変わらずなシロンの姉貴!」


「姉貴言うな、呪うぞ?」


ジャックも乗りに乗って、入り口の方で何かやってる。


「んで、新しいのが、若い姉ちゃんと兄ちゃんで、おっ!アムリタさん・・もいるのか!なんだ?全員揃ってんだな!」


え?おっさんだけ、さん付け?


『賢王』ネルと言い、『呪王』シロンといい……なんでおっさん、こんなに慕われてんだよ。


ジャックがそう言い、未だ俺には気づかない。


「あれ!?まだ新しいのがいたのか!えーと!仮面の兄ちゃ………………え?」


ジャックが俺を見て、まるで死んだ人を見たかの様な目で見てくる。


「久しぶりだな。ジャック。」


ニヤリと笑い俺はそう言った。

正確には久しぶりでも、何でもないがな。


「………嘘だろ?」


「何が嘘だ?俺は本当だ。」


「死んだ筈じゃ……」


「ああ、それか、色々訳あってな。実は生きている。」


「うぉぉぉぉぉぉぉん!!!まじかよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!生きてたのかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!良かっだァァァァ!!!」


うっわ………何こいつ……いきなり泣き崩れたよ……


流石に、この状況は全員が、ドン引きせざるを得なかった。


ども、ほねつきです。

カオスな状況に陥ってます。自分から持って行った癖に、自分でカオスとか言っちゃうヤバ人です。

ただ、このカオス。これが無いと後々僕が困るのでカオスなのですがね。

ではまた。カオスでお会いしましょう。

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