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ー第23話ー 『それぞれの思い』

タイトル詐欺感が凄い……

「ディラデイル様凄かったです!ディラデイル様って、凄くお強いんですね!」


「そうでもない。」


運転手の逃げた馬車の運転をしながら、隣に座るイグザが嫌がらせかと思うくらいに褒めてくる。ここまで来るともう、鬱陶しい。


今度は、馬車の周りに魔物が近づかない様に、周囲に威圧を放って圧をかけておく。

これで近づく魔物は居ないはずだ。いたらめんど臭い。


「凄いですよ!Aランク中位ですよ?それを倒してしまうなんて!それにお二人のあの武器に魔法を纏わせる技って、あの英雄『雷剣』のタリウスが扱う技と同じですよね!?」


ああそうか、世間一般ではタリウスが開発した技。みたいな認識があるもんな。


「ああ。タリウスには俺が教えた。名を『魔天』と言う。」


「ええっ!本当ですか!?ディラデイル様ってあの『雷剣』タリウスのお師匠様なんですか!?」


本当はお前もだよ。そう言いたいが言えない。だけど、どうにもイグザがタリウスの事を、他の子の事を忘れているのは本当に………悲しい。本当に何とかして治せないのか………


「……タリウス?………タリウス…………」


うおっ!びっくりした!

いつの間にか隣にいたNNが、タリウスの名前を口ずさむ。

…………まぁいい、深くはつっこまない。


「あれ?NNは『雷剣』のタリウスを知らないんですか?」


「知ってる。………いや、知らない?」


「どっちなんですかそれ……」


イグザとNNが何故か俺を挟んで会話を始めた。後ろでやれよお前ら。何故、俺を間に挟む!?


「私は、タリウスを知っている?」


「私に聞かないで下さいよ。有名ですから知ってるのではないですか?」


「タリウス……イグザ……?」


「ええ……と、はい?」


「私は知ってる。タリウスの事、イグザの事を……」


「あの……どうしたんですか?」


……………お前ら後ろでやれよ。


運転中なんだが?


しかし、二人の話は聞いていて面白い。まるで話が噛み合っていない。

口に出す言葉の八割が独り言のNNに対し、しっかり聞き取り、それに応じた返答をしようとするイグザ。なんだ、こいつら面白いな。


だが、俺を間に挟んでやるな。


「おい、もうすぐ船着場に着くぞ。」


「あ!本当ですね!」


「…………タリウス……」


「NNはさっきからタリウス、タリウスって、タリウス大好きなんですか?」


「タリウス………私の大事な人………大好き……かもしれない。」


…………後ろでやれよ。




____________________________________________________________





私は一体誰なのだろう………


突然、先生の元に現れた先生よりも偉い人。前最高聖神官バズズ・キンダム・サン。その人と一緒に現れた執事の人。


イグザ。


私は彼を知っている。


だれ?


ワカラナイ。


でも彼は私の事を知らないと言った。だから私も、知らないのだろう。彼が知らないのなら、私は彼と始めて出会った。



ジュジュバンドと言う大きな蛇の魔物に出会った時、イグザは怯えていた。


分からないけど、何か違和感があった。


私の心の何処かで、イグザはこんな人じゃない……って言っているような気がした。


ジュジュバンドを倒した後、ディラ先生から教えてもらった武器に魔法を纏わせる技。


それをイグザは『雷剣』タリウスの技。って言った。


タリウス……タリウス・カリア。


私はタリウスを知っている。


じゃあ誰?


分からない。


『雷剣』……魔王グリムを討伐した『勇者』ナガトの右腕。とても誇らしいと思っていた。


同時に悲しいとも思っていた。


心の何処かで?


そう、心の何処かで。


どうしてそう、思ったの?


ワカラナイ。思い出せない。


私が思い出そうとすると、いつも私が邪魔をする。


私は、一体誰なの………?



私はNN。


そう、私はNN……?


タリウスは大事な人。


イグザは大切な人。


先生も大切な人。


どれが正しくて、何が間違っている?


今の私は一体誰?


私はNN。


違う、何かが違う………


でもそれが、ワカラナイ。



___________________________________________________________________




僕が気づいた時には、そこは王室の一部屋だった。


「ふむ、気づいたの。どうじゃイグザ、調子の方は?」


直ぐ隣に居たのは、お菓子を頬張りながら語りかけるパジャマを着た、大きな人だった。


「え……と、あの、失礼ですが貴方は……?」


僕がそう聞くと、大きな人は困った様な顔をして、


「ふむ?イグザよ。我の顔を忘れたのか?」


「すみません、思い出せないです。」


「ふむ、イグザよ。その様子じゃと、自分の名前は覚えている様じゃな。」


「ええ、イグザ……でしたよね?上の名前は思い出せませんけど……」


僕が一体、何をしていたのか、それすら思い出せない。覚えていたのは自分の名前だけ……


「ふむ、やはり魔物に襲われた時、記憶を忘れてしまったか。」


「あの……僕は一体誰なのでしょうか?」


「ふむ、仕方ない。イグザよ。お前は我の執事じゃった。じゃが、この王都サンを襲った魔物によってお主は襲われ、今に至るわけじゃな。」


「え……と。僕は、貴方の執事だったのですか?」


「左様。どうじゃイグザよ。失ってしまった記憶は徐々に取り戻せば良い。今までの様に我の元で働くかの?」


「はい。お願いします。」


そして僕は、バズズ様の執事として生きることになったのだ。




それから5年の歳月が経ち、今僕はディラデイル様とNNと一緒に、バズズ様の命令により、『五王』と呼ばれる五人の王を探す旅に出ている。


『五王』の目撃情報は予め集められている。その中で最も多く目撃情報があったものはブゥルムンド大陸の首都、フレクトリアにあった。


何故かフレクトリアには、毎月必ず『五王』全員の目撃情報が報告されていた。

おそらく『五王』は月一度に集まり、何らかの集会をしている。


それを見つける事が僕の役目だ。


緊張する。ディラデイル様なら大丈夫だと、バズズ様は仰っていたけど、本当に大丈夫なのだろうか?NNっていう、元『魔王の徒』のメンバーが一緒にいたから、戦闘面は全部NNがやっているのかなって……


思っていた時期が僕にも有りました。


「本当にカッコ良かったです!」


「分かった。」


この人は凄い強かった!

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