ー第18話ー 『教会と商会とベーコン卿の会談』
ほぼ、一週間、待たせてしまいました。それなのに……量が少ない……なんか、最近進まないです……
負けてしまったのは仕方がない。だが、ガルタさんに負けた訳ではなく。ベーコン卿に負けただけだ。だからうん。引き分けだ。引き分けならば甘んじて受け入れよう。
「どうだい、ディラさん。少しお話でもしないか?」
ガルタさんからの申し入れだった。そうだな。ここは人脈を広げる一貫として、お話しておくのも悪くはない。
「良いでしょう。そうだ。ここで会ったのも何かの縁だ。ベーコン卿もご一緒にどうですか?ねぇ?ガルタさん?」
高位聖神官である俺は、共にゲームをしたベーコン卿への配慮も忘れない。
「そうだな。ベーコン卿もご一緒にどうですか?」
「ははは。そうですな。これも何かの縁だ、ご一緒させて頂こう。」
ベーコン卿もどうやら話に入る様だ。人脈を広げるのに、人が多いのは悪くない。
「では、奥に行きましょう。」
ガルタさんは店員を呼び出しカジノの奥にひっそりと作られた扉へと俺たちを案内した。
4人がけのお高そうなテーブルと、赤いソファー。壁は多分、有名画家とかが描いたであろう絵画が多数飾られていた。
多分、VIPルームかなんかだろう。
「どうぞ、座ってくれ。」
「ああ。失礼する。」
ガルタさんに促されソファに腰掛ける。ベーコン卿は壁に飾られる絵画をまじまじと見て座る気は無い様だ。
「ディラさん。どうだ?カジノの方はマギアでも建設できそうなのか?」
ああ成る程。お話って何かと思えば、ビジネス的な話ね。そう言えば、ガルタさんはガルタ商会の人だったね。そりゃぁビジネスの話になるわな。
「今回の視察を上に報告する事が、私の役目だ。だが、悪い様には報告はしない。」
「そうかい。なら、手土産にだ、ガルタ商会から、カジノ建設資金を一部援助する旨を伝えてくれ。」
「ほぅ……これはありがたい知らせだ。お伝えしておきましょう。」
あれだな、きっと教会に援助しましたっていう証が欲しいんだろうな。さて、約束を取り付けれた事になるのかは分からんが、もしカジノを建設する際に援助があるのは嬉しいな。その辺の細かい事は全部部下に丸投げだから知らんけど。
え?俺は何やってんだって?
決まってるじゃん、踏ん反り返って許可求める報告書とかなんかよく分からんのに判子押してるだけだよ。
だいたいさ、経済学かよく分からんが、元々まともに勉強してない奴を重要ポジションに着かせるのが悪い。俺は悪くない。バズズ様が悪い。
「失礼します。」
軽いノックの後入室してきたメイド。頭には猫耳と思しきものが生えており、ぴこぴこと動く動く。
あ……獣人の布教忘れてた……
まぁいいか、後で。
「ガルタ様、ベーコン伯爵様。ディラ様。お飲み物はいかがなさいますか?」
あれ?俺の名前なんで知ってんだ?
「俺はコーヒーでいい。」
「私もコーヒーで良い。」
「あ、じゃあ私もコーヒーで。」
なんで全員コーヒーなんだよ!!一人だけミルクって頼んだらなんかダメなやつじゃん!誰だ!コーヒー開発したやつ!
「かしこまりました。」
メイドは一礼して退室する。
「ガルタさんは獣人も雇われているのですか?」
素朴な疑問。
「ええ、勿論だ。獣人であっても同じ人間。平等に扱うべきなのだよ。」
ああ、この人もう完璧だわ。この人完全に良い人や………
「素晴らしい。ガルタさん、貴方は素晴らしい人だ。」
「そんな事はないさ。」
素直に褒めるべき存在。ちょっと良いこと思いついた。
「実はガルタさん。私、実はカジノ視察が本当の任務ではない。」
「と、言うと?」
「本命の任務は、ガルタさん。貴方の様な人格者を探していたんです。」
「はて、人格者?俺が?」
「ええ、貴方です。獣人に対して差別意識がなく平等に扱う。その精神の持ち主を我々教会は探していたのです!」
ただ、それだけでは相手は俺の思惑には気づかない。だから俺はもうちょい押す。
「世界には未だ、獣人を差別する人々が大勢いる!獣人だって同じ人間であるのに。我々教会は虐げられる者、弱き者を救う。今もなお虐げられる者を救わねばならない。ガルタさん、教会と共に救いを授けてみませんか?」
よし!我ながら良い事言ったはずだ!きっと優しいガルタさんなら、この話に乗ってくれるはずだ!そうなればもう教会は………グフフフ………
「……分かった。良いだろう。」
よしきた!
「本当ですか!?」
ここは驚いておく。
「ああ、確かに世界には未だ差別をする輩がいる。同じ人間なら助け合わなければならないからな。」
「では!」
「ああ、ガルタ商会は教会のその政策に資金援助を行おう。」
キタァァァァァァ!!!
これで教会は破産せずに済むぞ!!
ガルタ商会が一体どんな商会なのか知らんけど、商会だから資金はある筈、そこから資金援助をして貰えるのはもう完璧だわ!
後は獣人を救う事に尽力すれば完璧だ!教会建てて、布教も兼ねた孤児や就職の出来なかった獣人を保護する。もう完璧だわ!あとは、部下に丸投げしてオッケーだろう。
グッバイ低賃金!グッバイ赤字!
《先生。》
頭の中にNNの声が響いた。あー、通信石と称した実はただの念話の応用ってオチのやつ。
《どうしたのじゃ?》
頭の中でイリアル口調で返信する。
《サシャを連れて来たけど、どうすれば良い?》
《ふむ、そうじゃな。船着場で落ち合おうぞ。》
《分かった。今から行って待ってる。》
《うむ。》
はぁー念話もダルいねー
さて、NN達も移動を開始した様だし、俺もそろそろ行きたい所だが、流石に状況が状況だ。
この状況で帰るっていう程、俺は馬鹿ではない。空気は読める。
「ディラ殿。その獣人についての話ですが、救った獣人は養い続けるのですかな?」
絵画を鑑賞していたベーコン卿が、此方を見てそう食いついてきた。
「いいえ、新たな職に就ける様に仕向けていくつもりではありますね。」
「成る程、ではその職についてですが、私は今、新たな食品を開発研究を行っているのですが、何ぶん、人手が足りない。勿論、御礼金も払いましょう。獣人の方達を私のところに斡旋して頂きたい。どうでしょう、私の領地に教会を建設さる土地も用意しましょう。」
「それは……ありがとうございます。是非にお願い致します。」
「ええ、私としても我々が幸せで獣人が困っているのはいただけない。」
なんか良くわかんないが、パネェ!良いんじゃないか!?資金的な問題が一気に解決の兆しが見えてきたんじゃない?
「では、また後日、詳しい打ち合わせをしましょう。私は上に報告するので、私ではない担当の者が伺うかも知れませんが、申し訳ありませんお願いいします。」
「ああ、こっちも色々忙しい、担当者が出向く筈だ。」
「私も、配下の者を使わせる。」
「では、細かい打ち合わせはまた……」
キタキタキタよ!
ああ!俺もう完璧だわ!