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ー第11話ー 『来た意味が無い』

かなり間があく、不定期更新は続きます……


NNは安定の闇眼で、Z2を文字通り消した。闇属性の魔法を行使できる闇眼。多分、本当に物質なら消滅させる魔眼なのかもしれない。そう言えば、闇属性の魔法って見た事ないな。闇属性魔法って、相手を闇に落とすみたいな魔法なのか?


だとしたら、禁忌もんだな。あ、禁忌か。


うーん、相手を物理的に消す魔法って、どうやって防ぐんだ?

使わせる前に殺す?出来なくもないな。でもそれ以外は、防げなくね?

え?闇眼って強いの?


その前に闇属性魔法って強いのか?


俺は俺で、全属性使えるゆうてるけど、闇属性は使った事ないな。だって、使い道ないもん。光属性魔法と同じで、え?使った事ないのに、何で使えるって分かるんだって?



……………創造魔法ですがなにか?



それにしても、だ。


疲れきって座り込むNNを見つめる。左眼は髪の色と同じ水色で、闇眼を持つ右眼は真っ黒に、いかにも『闇』!って感じの色をしている。


……カッコいいな。


って、違う。

闇眼がどれ程、魔力を取られるものなのか、NNでない俺では分からんが、大量の魔力消費と疲労が伴うのは目に見える。


『闇眼』……魔眼の一種っつても、どんな確率操作をしようとも、絶対に持つことはありえない禁忌の魔眼だ。

人類が確認している魔眼を、俺は全て使えるが、『闇眼』は違う。その為、俺が普段行なっている魔眼の制御が出来ない可能性がある。


魔眼は普通、体内を流れる魔力を魔眼に流す事により、魔法の様な超常現象を引き起こす。本当はもっと色々あるのだが、言うと長くなるし怠いので省く。


要は『闇眼』の扱いは普通の『魔眼』と同じ扱いでいいのか。

良かれと思って、普通の『魔眼』と同じ扱いをしていたら、実は常に一定以上の魔力を与え続けないと、体に支障をきたすとか、普通にありえる話だ。

そして、それによって被害を受けるのは闇眼それを持つNNだ。


そんな、俺の所為で怪我をしたなどと、言われたらたまったもんじゃない。と、言う訳でホムンクルスの資料と、その『闇眼』についての資料をZ2が出てきた研究室を漁ったが結果はハズレ。


マジで来た意味がない。


「NN。この大陸に、このアジト以外の施設はあるか?」


『魔王の徒』の構成人数は不明だが、少なくとも千は居るだろう。と言うのが、王国連合とバラリアードの見解だ。


その人数ならば、身を隠す為のアジトが必要な筈だ。


「ない。大陸につき1つしか、アジトはない。」


「成る程。」


となると、別の大陸に行かなくてはいけないのか………

面倒だな。だがまあ、どの道ヨールパル大陸に向かうから、そのついでにアジトを強襲すればいいか。


じゃあ、さっさとイリアルに変わってヨールパル大陸に行きますか。


「では、私は戻る。イリアル様も直ぐに来られる、ここで待っていろ。」


自分の事を『様』付けってアホみたいだな。


「待って、ディラ先生。」


「ん?どうした?」


さっさと転移して、イリアルに変わろうと思っていた所をNNに止められた。


「私に………戦い方を教えて欲しい……」


はい?戦い方?急に何でだ?


………まぁ、いいか。


「……………良いだろう。」


_________________________________________________________________________________________________





月夜が照らす薄暗い森の中、水面に月を写す、小さな池の畔。ひっそり、森に溶け込む、三角屋根が特徴の、一階建ての木の家。その家は、塗装は一切施されず、家の外壁には蔦が伸び、誰も手を付けていない無人の家、だった・・・

今は、外見は良しとして、中はしっかりと整備が行き届き、常に清潔が保たれている。


月明かりが、カーテンに遮られる薄暗い寝室に、長い黒髪の女が、ベットで唸り声を上げ眠っていた。


「……………ぅぅ……」


女はとても苦しそうに、ベットの中で寝返りをうち、不意に飛び起きた。


「…………」


辺りを見回し、大きな溜め息を吐いた。


「……また………」


女は自らのこめかみを押さえ、小さくそう呟いた。


「誰かいるか?」


「はい。」


呼び掛けに応え、影から現れる、緑髪で紫の眼鏡をかけたメイド。


「パルミナか。今は何時だ?」


パルミナと呼ばれるメイドは、眼鏡をクイッと持ち上げると、女の質問に答えた。


「はい。深夜の3時にございます。」


「そうか。」


ベットから降りた女は、長い黒髪を軽く撫でると、部屋の片隅にある、化粧台の前に腰をかけた。


「スペラ様?まだ、お休みになられた方が……」


「いや、いい。それよりも、奴等に動きはあるか?」


パルミナの心配をよそに、スペラがブラシで髪をとかしながら聞く。


「……はい。昨夜、オースティード大陸にて、量産型の『F』と思わしき死体を発見したと、報告が上がっております。」


「なに?死体が?」


思ってもいない報告に、思わずブラシの手が止まるスペラ。


「はい。死体は複数あり、首を刎ねられたものと、腹を貫かれたもの、全ては、水属性系の魔法で始末されている事が確認されています。」


「水属性の魔法か……確か、連中にNNと言う、人工魔眼が居たな。こいつは水属性魔法を扱っていたよな?」


「はい。左様にございます。さらに現場では、魔眼の痕跡と思われる魔力も、発見しております。」


「と、すると仲間割れか?だが、よりにもよって、人工魔眼の奴がか?」


「信じられませんが、その可能性が大きいかと。」


スペラは髪をとくのをやめると、立ち上がり、ベットに腰掛けた。


「………他に何か変わった事はあるか?」


「はい。そうですね、教会の『最高聖神官』が、オースティード大陸に上陸したとの報告があります。」


「『最高聖神官』?護衛は何人だ?」


「はい。一人です。」


「は?一人?」


スペラが驚くのも無理はない。普通、教会の最高権威だとすれば、護衛は少なくとも10人は居るはずだ。それがたった一人?あり得ない。


「一体、どんな護衛なのだ?」


教会のトップをたった一人で護衛する存在。気にならない訳がない。


「はい。それが、水色の髪でオッドアイ。『中級神官』以上の女神官だそうです。」


「水色の髪でオッドアイの女?それは、まるでNNじゃないか?」


「はい。確定はしきれませんが、確認した本人はNNの可能性が高いと、報告しております。」


「………一体どう言う事だ?」


教会のトップが、教会と王国連合の敵である、『魔王の徒』のメンバーを連れオースティード大陸に上陸を確認。そして、オースティード大陸でFの死体を発見。


あの、老体の『最高聖神官』が、Fを殺れるとは到底思わない。と、するとNNと思しき人物がFを全滅させた、となるな。


しかし、『魔王の徒』のNNらが、仲間割れをするとは到底思えない。では、NNに良く似た別の人物で、これまた偶々、水属性魔法を扱う護衛なのか?

可能性がない訳ではないが、それでは信憑性に欠ける。

…………調べてみるしか、無いようだな。


「メアを呼べ、彼奴に『最高聖神官』を張らせる。」


「はい。かしこまりました。」

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