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ー第2話ー 『俺の計画』

言われて気が付きましたが前回で100話突破でした!ありがとうございます!

新都市『マギア』の中心に建つ、天を突く程の巨大な鉄のタワー。その中間層には、新たに王都サンから移された教会の本拠地があった。

その本拠地には、若く、生きのいい次期聖神官候補の優秀な神官達が、書類の整理や物品の移動など、せかせかと働いている。


それを尻目に俺は、ふわふわの腰にフィットする椅子に腰掛け、全面ガラス張りの壁から今もなお、成長を続ける『マギア』の街を牛乳を飲みながら見下ろした。


いやー実に良い景色である。


「イリアル様。各教会からの、月時報告の書類が届きました。どちらに置いておけば良ろしいでしょうか?」


「ふむ……机の上に置いといてくれ。」


俺はまだ、下界の様子に満足しちゃいないのさ!だからその……悪夢の様なものを持ってこないでくれ!


「イリアル様!早急にお眼をお通しして頂きたい書類があります!」


やめて欲しい。本当に辞めて欲しい……何ですか?俺を殺したいのですか?文章の山で……


「ふむ……机の上に置いといてくれ。」


「いえ、しかし!早急にお通しして頂かないと!」


ええい!しつこい!誰だ此奴!俺の気持ちを察せよ少しは!!


クルリと椅子を回転させ正面を向く。

目の前には巨大な茶色の机と、その上に山積みになる紙の山。誰だ、こんなになるまでほっといた奴……


書類の山の中を掻き分け、俺をこの生き地獄に呼び戻した、不届き者を見やる。

緑の髪の青年。まだ若いな。名前は知らんが……


「どういうものかの?」


「はい!今後の教会全体の、信仰と収入なのですが……どうやら王国連合全体……いえ、世界全体の六神教の信仰が薄れている様なのです……」


このままでは、教会の資金が無くなります!みたいな事だった。

え?結構、重要書類じゃんこれ……

どうする?2、3個教会潰すか?それか借金か?誰に借りる?王都サン?いやいや……駄目だ……あの国はあの国で色々金がない……


そうだ!おっさん!魔王府を裏から動かして金を回そう!


……いや、バレたらヤバそうだし辞めとこ。


となると、教会を少し縮小するか?

いや、駄目だ……そんな事したら余計に信仰力が無くなるし……収入源が減るし……いずれ教会が終わる。


それは何としても避けなければ……となると、どうすれば信仰が集まる?どうやればいいんだ?


それ言い出したら何故、この世界には六神教というものが広まったんだ?んなこたぁ、しらねぇ。どの道、神様なんてものは人の産み出した物にしか過ぎない。

いや、違うか、一応俺、神様的な奴らの声聞いたわ。馬鹿にされた記憶しかないけど。

あれ多分、神。


と、まぁ……神官有るまじき事を考えたりもするが、取り敢えずこの書類は保留!!

机の中に仕舞っておこう。


キリリリリリリリ!!!


そんな時、急に耳を痛めつける様な不快な緊急ベルの音が部屋中、廊下……多分、このタワー全体に鳴り響いた。


『地下フロア宝物庫に侵入者を感知!!非戦闘員は直ちに近くの部屋に避難し待機せよ!!繰り返す……』


ったく……五月蝿い。何が宝物庫に侵入者を感知だ……宝物庫に入れる前に感知しろよ……ザルかよ警備……仕事しろ……


「うへあっ!?っあ!申し訳ありません!イリアル様!緊急事態でしたのでつい!」


突然慌てて駆け込んで来た暗い青髪の青年。とてもじゃないが頭だけで運動は全部駄目そうな奴だ。


「ふむ……」


やっぱり聖神会はやった方が良いのかな?


五年前の、俺が最高聖神官に就任する前まではバズズ様が毎年、神官を鍛えるために聖神会を開いてたけど……俺に変わってからは少し訳が違ってくる。


まずは場所。俺が、最高聖神官を始めた頃はまだ、この『マギア』が建設計画段階だったから聖神会を行える場所があった。

あと、アレだ……権力と財力だ。


バズズ様は一応、元王都サンの第二国王だった訳で場所も自国でやれば良かったし自国でやるからあまり金がかからない。


だが、今は違う。金が無ければ権力も無い。いや、権力はあるには、あるけど……国をコロコロ転がせる様な権力ではなく、一権利みたいな?

この『マギア』では新たに、新王国連合の決めた物事に、教会、裏組織バラリアード、魔王府の三つの力が賛否出来る権利だった筈……


でも結局のところ、裏組織バラリアードは王国連合の直属だし、魔王府は王国連合に、媚び売ってるからどんなに教会が反対しても、結果は多数決で二対一……結局は最初から結果の出ている多数決なのだ……どっち道、王国連合の好きに出来ちゃうって訳だ。


日本だったら大問題だな。


俺の予想だと、数百年後位には王国連合滅んでるわ。ついでに言えば六神教も、形が変わって十六神教ってなってたりするかもな!まぁ……俺の予想はそもそも俺の代で終わる気がしなくもない。

終わらせる気は無いがな。

終わらせたら、バズズ様に合わせる顔がない。


話を戻そう。まぁ、聖神会は色々と事情があって出来ない訳だが、流石に神官達の能力が低いのは問題だ。いくら平和だからと言って、いつまでも平和が続く訳じゃない。だからいざという時に、動ける様に最低限、神官達も鍛えておかなければな……

そだ!義務付けようかな、1日100回腕立てしてから業務に励むっていう。

やだな、それだと俺までやらなければならない。それは面倒い。



『侵入者を確保。安全が確認された為、待機命令を解除。繰り返す……』



30分くらいか……長かった。侵入者の1人や2人、さっさと捕まえよろな……

俺なら入って来る前に捕まえられるぞ。しないけど。


『各責任者の方は至急、第1会議室へお集まり下さい。』


今度は召集。俺も行かないと駄目な奴だこれ……

第1会議室って、どこだっけ?


取り敢えず、青髪の青年に「少し任せた。」と言って待機させ、俺はうる覚えながらも第1会議室へと向かった。


________________________________________________________________




「遅れてしまい、申し訳ありません。」


「遅いですぞ!イリアル殿!もう会議は始まっております!」


30分掛けてやっと見つけたと言うのに、入った途端、キレてきやがったクソハg……このタワーを管理する最高責任者、確か裏組織バラリアードでも結構な地位の人。その人が円形に作られた机の、上座に座りペラペラと喋っていた。


「申し訳ありません。」


そう言って俺はそのクソハゲの隣の席に座る。勿論、この会議室での席順は決まっている。中心の上座に当たる席にこのタワー全体の最高責任者。名前は覚えてない。クソハゲだ。


そして次にタワーの責任者、実質No.2の俺。最高聖神官イリアルだ。そこから下の奴等は覚えて無いが、大体はこのタワーを使用する商業関係の責任者だ。だからもしタワー内でテロでも起きた時、それに戦う事が出来る戦闘員が居ない。俺?戦う訳ないやん。最高聖神官だぞ?ディラじゃないんだよ。


びっくりするだろ?急に普段から温厚で、優しいお爺ちゃん神官イメージがテロが起きた時だけ、無表情で敵をザクザク殺していくの……

やだろ?俺はやだね。そんな二面性要らない。


さて、気付いたら会議が終盤に差し掛かっていた。


「以上の事が発生しましたので、皆さんにご報告を致しました。皆様に不安を与えた事を、お詫び申し上げます。」


おっと……何も聞いてなかったぜ!


「それではイリアル殿、締めをお願いします。」


「はい……皆様に神々の祝福があらん事を。」


「「おぉ……」」


会議室全員に祝福ならぬ、回復魔法を掛ける。こう言う所で信仰を稼がんといけないとは……不便な時代になったもんだぜ!



各責任者が退室した後、最高責任者のクソハゲと俺だけが残った。


「イリアル殿……いい加減、会議室の場所くらい覚えてくだされ……」


「そうですね……善処します……」


覚えません。覚える気が無いので。


「はぁ……仕方ないですね……念の為に今回の資料をお渡ししましょう。」


と言って手渡された5枚くらいの書類。ペラペラめくって印刷ミスが無いか探す。


「先程の緊急避難命令についてです……侵入者は『魔王の徒』。その極一部、既に全員の処理と、リーダー格の者は、地下牢獄『テゴリア』に収監した為、危険性はありません。」


『魔王の徒』。魔王軍が壊滅し元魔王軍の中から生まれ出た組織。要は残党兵だな。世は人間族のみの筈だが、未だに魔族を名乗る連中だ。魔族は宗教を持たない。だから教会は人間からなんとか、信仰を得ようと画策する………

ん?待てよ……意外とそれって使えるんじゃないか?


「成る程、分かりました。」


そうとなれば実行だ。まずはさっさとこの会議室から撤退する。






そしてやって来たのがここ、地下牢獄『テゴリア』だ。

最高聖神官の権力に物を言わせ看守に案内させ牢の中を進んでいく。


「此方です。魔眼を持っていますのでお気をつけ下さい。」


「ふむ、ありがとう。」


二重の檻の向こうに大の字で倒れる水色の髪の女を観察した。

囚人服に身を包み手足には魔封じの枷と呼ばれる魔法封じの枷を付け右眼の下には深い傷がある。


なーんか、見たことあるようなフォルムだが多分気のせい。

看守に気付かれない様に、透称眼を発動する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


name……NN


status……『闇眼・魔力眼使い』『水属性魔法使い』『上級回復士』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


NNかぁ……知らない子ですね。だけど、俺の知らない『闇眼』ってあるし『上級回復士』ってなかなかだな。


『闇眼』ってなんだ?


………禁忌に触れた闇の魔眼。人の手により作られた為、不備があり使用者の魔力を蝕む。


欠陥品じゃねーかよ!なんだよ!禁忌に触れた闇の魔眼って!カッコいいなおい!ちょっと言ってみたいわ!


『禁忌に触れた俺の闇の魔眼ッ!!喰らえッ!!』


とかさ。


さて、そんな事は置いといて、俺がここに来た理由、それはこの女を逃す為だ。


何故かって?


それはだね、女が逃げるだろ?んで、俺が気づかれない様に後を追う。まぁ、追わなくても魔力感知を使えば見つかるんだが……


んで、魔族のところに案内してもらう。そしたらそこで俺が、魔族達に宗教の素晴らしさの教えを説き、六神教を信仰させる。

すると、かってに魔族達は教会を建て、かってに教会に献金してくれるって寸法だ!

どうだ!この素晴らしい俺の、天才的考えは!


では、早速この檻と女の枷をめっちゃ脆くする。ジワジワと魔力をぶつけて、劣化?みたいな事をする。

んで、後は女が軽〜く魔力を当てるだけで灰になるレベルまで脆くしておく。

ただ、触って壊れないように、表面だけは魔力で覆って強化する。


そして女が直ぐに眼が覚める様に回復魔法を掛ける。


よし、後は脱出経路だ。予め警備員の数を減らしてやろう。どうせ簡単に侵入者されるザル警備員だ。数人でも問題あるまい。

どうやってやるかって?……それはだね。


「のう、お主。」


「はい?」


____________________________________________________________



「いやはや……若いもんがいると助かるのぉ……」


俺は元々10人程しか居なかった警備員を7人。宝物庫に連れて来させた。俺じゃ、手が届かんと言って、第五階層の機密保管庫までついてこさせ、巨大な棚の上にある、『教会年次献金表』の第一回から現在までの第325回までの、全300冊越えの分厚い本を7人の警備員に持たせた。


「いやぁ……若いもんはええのう……元気もあるし……力持ちでの……」


ここぞとばかりに、お爺ちゃんアピールしておく。それを見た警備員達は笑顔で。


「いえいえ、我々はこのタワーを守る為に、常日頃から鍛えております。他の方とは一味も二味も違いますよ!」


だったら、侵入者が侵入する前に捕まえろや。

思っても言わない。今は気の優しいお爺ちゃん……


「ほっほっほっ……これは安心じゃわい。じゃあ、それを上まで持って来てくれるかの?」


「ええ!勿論ですとも!!」


そう言う所が、ザル警備なんだよ。警備中に警備場所離れんなよ。まぁ、無理だろうが、俺は一応、ナンバー2だし。断ったらどうなるか、分かんないもんね!


受けるも地獄、受けないも地獄ってやつか!?







上に上がる、『上昇箱』なる、エレベーターに乗り込み教会本部のある上に上がる。

その間に千里眼を、バレない様に外を見ながら発動させさっきの女を探す。


お!檻、壊したね。良いぞ!そのまま逃げるんだ!


おっと……いきなり、無抵抗警備員を首チョンパか……


まぁ良いや。警備員の一人や二人、大丈夫だろう。うん。知らんけど。






「いやぁ……助かった。ありがとのぉ……」


「いえいえ!また何かありましたら、何なりとお使いください!」


残念だが、多分もう君達に会う事はないと思う。下手すると君らクビだから……


よく考えたらこの警備員達、悪くないのに脱走者が出たとかで、責任取らされるんだよな……

あれ?俺……悪い事した?いや……教会の為に必要な事だったんだ!うん。そう言うことにしよう。

もしこの警備員達になんかあったら、教会で雇ってあげよう。うん。この7人、忘れない様に、記憶眼で保存しとこ。


さて、惜しくも死んでしまった、3人の警備員には冥福を唱えるとして。後は俺がどう、つけるかだ……


いや、追う事は可能だ。だが、此処に俺が居ない間誰が、此処で仕事をしてくれるか……


あ、そだ。


「ひぇぇ?僕ですかぁ……?」


「そうじゃ。」


さっきの青髪の子を呼び出しこの辺の書類を分かりやすく整理しといてもらう事にした。後で俺がさっさと判子押せる様にな。


「ひぇぇ……僕なんかじゃ……できませんよぉぉ……」


いや、やれよ。整理整理くらい誰でもできるわ……


「心配するでない……別に物事を決めろなんて申しておらん……此処にくる書類を分別して置いて置くだけで良いのじゃ……」


「ひぇぇぇぇ……わかりましたぁぁ……」


……心配だなぁ……


まぁ、いっか、いざとなれば転移使えば良いし、千里眼で様子は見れるし。見ないと思うけど。


と、千里眼で女の様子を見たら、ヤバイ事になってた……

え?なに?仲間割れ?え、それ結構、俺の計画に支障をきたすんですけど……


「では、頼んだぞ。もし早急な書類が来たりすれば、そこの壁に当ててくれ……直ぐに飛んで行く。」


「ひぇぇぇぇ……?」


では、転移。







転移したのは森の中、まだ昼なので森は明るい。んで……


「じゃあね!NN!パパの言いつけもあるから!お前殺すね!ヒュー!バイバイ!」


串刺しの女に向かって振り下ろされるナイフ。軽く地面を蹴って移動し、ナイフを摘んだ。

え?此奴、力弱っ!!



一瞬、力の弱い男の唖然とした表情に眼が合うと、凄え五月蝿い、奇声みたいな声を上げて……


「お前誰だよ!!離せ!!」


なんだ、此奴。目上の人に敬語も使えないのか……まぁ良い、名乗ってやろう。




「うむ?儂か?儂はイリアル・ルイデ・ライデ。通りすがりの神官じゃよ。」


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