二番目の街 カリモレ
「うわあぁぁ....」
「おぉ....」
初めて見る大きな町に俺とホリンは感嘆の声をあげていた。
あのあと俺達は森の出口辺りのところにテントを張り、一夜を過ごした。
今日の朝方に森を出発し、今現在に至る。
この町の名は「カリモレ」といい、ソーマラフス国内の中でも1、2を争う大きな市場があり、ほとんど旅人はこの町で道具を揃えるとか...
「すごいですよアリトさん!あっちにもこっちにもお店が!」
「まぁ、市場だからな」
俺達は市場の店を見物しながら、
この町に居過ごすための借家を探すため町役場に向かっていた。
ホリンは市場が珍しいのかキョロキョロ、キョロキョロ店を見回していた。
市場を抜けた辺りに町役場はあった。
町役場と言っても借家や仕事、
あるいは町の依頼等を見つける場所だったりする。
俺は壁に貼り付けてある宣伝ポスター等を見ながら、
この町で住むところをを見つける。
ホリンはそこら辺の依頼届を見ている。
良さそうなやつがあったので、
目的地までの道のりが書いてある地図を貰っていく事にした。
用も済んだのでホリンを見つけて外に出る。
近くには何やら小さな屋台があった。
特に用は無いので無視しようとしたが、俺の服をホリンがつまんでいる。
「あ...あの....」
ホリンは目をキラキラとさせてあるものを見ながら一向に動こうとしない。
仕方なくホリンの目線の先を見てみると先ほどの屋台があった。
どうやらクレープを売っているらしい。
「そ...その...」
「お前もしかしてあれが食べたいのか?」
「...」
「はぁ...買ってやろうか?」
「えっ?でも...」
俺はホリンの返事を聞く前に屋台に向かった。
「それ一つ」
「ありがとうございます」
待つこと数分。
「お待たせしました」
俺は買ったクレープを持って近くに来ていたホリンに渡す。
「ほらよ」
「....いいんですか?」
「まぁ金に余裕はあるから大丈夫だ。」
「で...でも」
「あのな、買っちゃったんだから食べてくれよ」
「....じゃあ」
俺は今度こそホリンにクレープを渡す。
「そ...それじゃあ...」
「いただきまーす!」
かぷっ
ホリンは文字通りクレープにかぷりついた。
「んーー!おいしい!」
ホリンはクレープを食べた瞬間、とろけるような顔になった。
よっぽどうまいのかな?
「俺にも一口くれない?」
「駄目です。これは初めてアリトさんに貰った大切なクレープなんですよ? 私が全部いただきます」
なんか言ってもらってる事は嬉しいんだけど一口ぐらい......
あぁ食べちゃった...
「ごちそうさまでした」
「うまかったか?」
「はい!それはもう食べた瞬間口の中で生地がとろけてきて.....」
「わかった。もうしゃべるな、俺が食いたくなる」
俺は食べたくなってしまうのでホリンのクレープの感想を止めた。
あぁ一口欲しかったな。
[[これはアリトさんから初めて貰ったクレープなんですよ?]]
ホリンの言葉が頭の中で再生される。
「初めてもらった...か」
「ん...なんか言いました?」
「いや、何も」
「ならいいんですが...」
ホリンは「あやしい...」とか小さな声で言っているが仕方ないだろ。
こんなにも感謝されることが嬉しいなんて知らなかったんだから。
「さて、それじゃあ行きますか」
「どこにです?」
「俺達が住むとこに」
次回の更新はまたまた未定です
3月18日に改行しました