8話
忍耐づよく聞いていたら答えてくれた。
「.....人間は空を飛べないだろ」
『うむ、まあそうだな。それが歩いていくのと関係があるのか?』
「..........」
また黙ってしまったが少しすると言いにくそうに話し出した。
「同じことを言うが人間は空を飛べないだろ.....察してくれ.........」
何を察しろと言うのだ?
「...分からないのか」
不思議そうに首を傾げたら子供がうなだれ、我以外では聞こえない程の小さな声で言った。
「....怖いんだよ」
......む?、むむむむ???
今なんと.....?
『すまんな、聞こえなかった。もう一回言ってくれ』
もう一回言わせてみる事にした。聞き間違いかもしれないからな。断じてもう一回聞きたかった訳ではないぞ!!
「.....だから怖いんだよっ!!悪いか!!」
子供をチラッと見たら、下を向いて肩を震わせている。怒りではなく恥ずかしさだろう。
いきなり子供が顔を上げ、畳み掛けるように話始めた。
「人間は空なんて飛ばないんだよ!飛べないんだよ!怖くて当然だろ!!」
まあ、そうだな...
「だから、怖いのは当たり前なんだ!分かったか!?」
すごい剣幕でこちらに詰め寄ってきて指を突きつけられた。子供にとってはよほど重要なことなのだろう。
『分かったから、落ち着くがよい』