7話
『ところで具合はどうだ?』
「いいわけ無いだろ」
少し話をしたがこの人間はまだ生を受けて十年程らしい。
人間の年齢は我には見分けるのが難しいが、思っていたより若かった。年齢にしては大人びている様な気がするが、我にとっては赤子も同然だな...。
良し、ここにいる間は存分に甘えさせるとしよう。愛情をもらえなかった子はろくな大人に成らないときいたことがあるぞ。愛情は大切だな!うむ!
それに人間にとってもこの年代は守るべき対象だろう。これ以上人間と険悪になりたくないしな。
『そうかそうか、精霊よ湖から水を汲んできてくれはしないか?』
『うーん...僕が汲んでくるより人間を連れて行く方が効率いいんじゃないかな?』
『うむ、確かにそうだな。おい、人間よ....いや、人の子よその状態では歩けまい、我が背に乗せて行ってやるぞ』
そう言って顔を近づけ、鼻の先で小突くと嫌そうに身じろぎされた。
「....いや、いい自分で歩ける」
『何故だ?我が折角乗せて行ってやると言っておるのに....ほれほれ、何故だ言ってみよ』
さらにつついていると「やめろよっ!」と若干涙ぐんだ顔で怒られた....解せぬ。