4話
そんな事を思いながら待っていると精霊が帰ってきた。手に草木を編み込んで作った籠を持っている。
精霊がわざわざ作ったのだろう。
『主様、ただいまー』
『うむ』
そのまま精霊は人間の上まで行くとそこでいきなり持っていた籠をひっくり返した。水が人間に勢い良く掛り辺りにも水が飛び散った。
「うう...」
おい...少しうめき声が聞こえたぞ....
『....精霊よ雑すぎではないか?』
『え?そうかな...?』
いや、どう見ても雑に見えるが...。
『これで少しは治りが早くなるかな...?』
『ああ、飲ませた方が早くなるが...仕方ないな』
何か言うと倍になって帰ってくるので取り敢えず何も言わないことにした...。
『何処か良い所があったか?』
時間が経ち、辺りは少し薄暗くなってきた。さすがに人間の子供を、しかも怪我をしている者を、こんな所に寝かせたままにするわけにはいかないので、精霊が良いところがないか探していたのだ。
『う〜ん..みんなにも聞いてみたんだけどいい所無いって....』
『そうか...』
『うん、僕達は魔力さえあれば休む必要ないからさ、何処がいいとか分かりにくいんだよなぁ、雨とか風とか防ぐなら洞窟があるけど、安全な場所は分からないや』
『洞窟で良いのではないか?お主たちが守ればよかろう』
『それなら、主様のところの方がいいんじゃないかな?主様がいるから安全だし、これ以上安全なところはないよ!!良し!!そうしよう!!』
『おい!待つのだ!!』
精霊は話を聞かずに風のように飛んでいった。あまりの速さに開いた口が塞がらない...。
少しの間呆然としていたが、はっ!と我に返る。
『....あやつは何故話を聞いていかないのだ』
もし目覚めて、最初に見たのが我の姿だと、トラウマものだと思うが....そう思いながら我は仲間を呼びに行ったであろう精霊を待つのであった。