3話
精霊が水を汲みに行っている間、我は人間の近くに座っている事にした。目を離している時に目覚めたり動物たちに襲われては困るからだ。魔獣は言葉が少し通じるので話しておけば手を出す心配はない。動物たちは我のものには手を出してこないだろうが念のためだ。
それにしても暇だ。天気が良く、辺りはぽかぽかと暖かい。日光浴に最適そうだ。チュンチュンと何処からか鳥の鳴き声もしている。その平和な鳴き声に思わず微睡みかけ...。
『...はっ!寝てしまうところだった!いかんいかん!』
頭を振り眠気を飛ばすと気分転換に人間を観察してみることにした。木の影に寝かせている人間に顔を近づけて見てみると人間は思ったよりも小さいようだ。我から見てこの大きさだとすると人間の子供ではないかと思う。何故子供がこの森に入ったのだと思ったが子供の服を見てなんとなく理由が察せられた。よく人間たちが着ているローブを上から羽織っているがこの人間が着ている物は地味だが縫い目が荒くなく質が良いようだ。血で汚れてしまってもうボロボロだが......こんな物を買えるのは限られている、商人か貴族だろう。誘拐して身代金を取るのであればこんなに傷を負うことはないから殺そうとしていたのだろうか...?生きるために一か八か望みをかけて森に入り行き倒れたのだろう。殺そうとした者も、まさかこの傷で森に入って助かることは無いと思い、止めを刺しに追わなかったのだろうが、こうして助かりそうになっているとは思わないだろうな...
......たぶん。