あとがき
というわけで、イノセント・ワールドシリーズ第一作目・セードー編「シャドーマン討伐」はこれにて完結とさせていただきます!!
……なんか強引な打ち切っぽいぞコラと仰られる方がいたらちょっと私の話を聞いてください。言い訳くらいはさせてください。
今回のシリーズはVRMMO物として執筆を開始し、とりあえずよくあるデスゲームものじゃなくて、ただダラダラとゲームするだけの話を書くつもりだったんですよ。
もちろんそれだけじゃ落ちが付かないので、シャドーマンという討伐対象も添えて。
おかげでこの一年と二ヵ月間、とても楽しく執筆を続けられました。いやぁ、伸び伸びお話を書くっていいものですね!
……ただまあ、おかげで伸び伸びしすぎて着地点がおろそかになりかかるという事案が発生してしまいましてね? その気になれば永遠にシリーズが続けられるわけですよ。
別に世界を救うわけでも復讐を果たすわけでも誰かとの恋を実らせるわけでもない。究極的には“ゲームをプレイする”ことが目的なわけですから、何やっても許されるわけです。
しかしお話的にそれは許されません。いや、自分を許せないというべきでしょうか。
グダグダはいかん訳ですよ、はい。無目的にゲームをプレイするなんて、falloutシリーズだけで十分じゃないですか。あ、オブリビオンとかスカイリムも結構ノープランで遊べるのか……。
ともかく、このまま続けると、百五十パーセントの確率でグダるでしょう。一回グダって、反省したころにまたグダる確率五十パーセントという意味で。
……ですので、ここで一度、セードーメインの話に幕を下ろすことといたしました。話書いてる途中で「どうせだから、真面目にシリーズものにしようかな。色々ネタが出てきそうだし」とも思いましたし。
せっかくなので、自キャラをスターシステムで登場させるための場としてイノセント・ワールドを機能させようかとも思いまして。ラブコメの連中だけじゃなくて、そのうち異界学園とか、今後執筆するシリーズの連中も、伸び伸び遊ばせてやろうかと画策中。というか、実は異界学園の連中、出てたりします。誰かわかるかなー、わかるかなー?
……というわけで、今まで今作品をお読みいただきました皆様におかれましては、どうかご理解をいただければと思います。このまま続いてほしい、みたいなご意見もちらほらいただきましたが、このまま続けても作品を面白く書ける自信がない、というのもあります。続けてほしいというご意見は、涙が出るくらいうれしいんです。
小説……ひいては物語っていうのは、やっぱり起承転結があってこそ。どこまでも転がってゆくのもまた一興ですが、結びはしっかりせんといかんと、物書きの端くれとして思うわけです。
シャドーマン討伐もなしえたわけですし、セードーには一度ここいらで休憩してもらいまして、作者としてもネタを蓄えたいわけなのですよ。
またしばらくしましたら、ひょっこりシリーズを再開させたいと思います。とりあえず、エイスのこととかセードーの家族との仲のこととか、ネタがありますので。いっそ、リュージに視点当てちゃう? いろいろまずい気もするけど。
さて、おっさんのグダグダ言い訳はここまでとしまして、今作に関してスポットライトを当てましょう。いつものように、裏話的あとがきムーブへ! あ、作品読んでない人がいたらバックですよ? そんな酔狂な人がいるとも思っておりませんが。
・ストーリーについて
「VRMMOやろうぜ!」と囁く脳内のゴーストに従い筆を執った結果、「オープンワールドで好き勝手やろうぜ!」と脳内の誰かが呟き、「いっそ、ゲームの中が異世界って設定でどうよ!?」と脳内の別の誰かがのたまった結果、イノセント・ワールドが生まれました。相変わらず煩悩がダダ漏れでございます。
もちろん、それ単独で話を成立させられるほどの狂言回しではございませんので、目的として「なんか特殊な敵を倒す」というのを加え、個人的嗜好である「武術家がいろいろ活躍する」という項目を付け加えて、この作品となりました。いろんなゲームありますけど、素手、というか格闘家タイプのキャラの癖が強すぎて色々泣けます。格ゲーとかは作者の腕前がへぼすぎて違う意味で泣けます。カービィくらいじゃないのか、格闘家が普通に強いゲームって。
ちなみに一番最初のタイトルが「猶予は三か月」ってなってますのは、実はセードーじゃなくて作者への制約だったりします。物語時間内、三ヶ月できっちりお話を〆ようと決めていたわけです。出なきゃ、またどっかでグダるのが、話の軸的にはっきりしてましたんで……。
作者の計算上、明確に時間経過を描写していた部分を計算しますと「大体74日」が作中時間において経過していることになっておりました。だいたい、ってなってますのは“数日”経過の描写があるためです。ラストの物語になりますNext logでは、一ヶ月は経過してますので、三ヶ月はとっくに超えてます。セードーは、謹慎解除になってもイノセント・ワールドをプレイしているわけですね。
作中全体の流れとしては
1.チュートリアル → 2.初めてのクエスト → 3.特殊イベント参加 → 4.ギルド加入 → 5.大型イベント参加 → 6.シャドーマン討伐
という感じですね。頭の中に、普通のゲームのRPGをイメージしておりましたので、流れ自体は割とすんなり作れました。まあ、序盤の説明が助長じゃね?というご意見もおかげで賜りましたが……。
で、細かいサブイベントをこの中の合間合間に挟みこんでいく感じですね。今回は話の軸の大きな変更とかが特になく、一番最初に決めた通りにお話が進行しています。イキアタリバッタリーな作者にしてはなかなかの成果といえましょう。いつもこう行けばいいのになぁ……。
・登場キャラについて
さて、前作では失敗したと嘆きまくったキャラクリエイトですが、今回は成功したんじゃないかなーと。割と本気で思っていたりしております。やっぱキャラが好きになれるかどうかって重要ね……暁も、一周回って愛おしくなってますけど。
・正道真樹=セードー
主要メンバーの中で数名しかいない、本名のはっきりしているキャラクター。間違いなく主役で、今作の中心となる人物です。
リュージのように絶対の芯があるわけでも、暁のように技術が極まっているわけでもない、いわば登場時点で発展の余地があるキャラクターだったりします。主人公に成長の余地ありってのが珍しいのはおかしいですよね……。
まあ、それはともかく。特異性が目立つ序盤はともかく、中盤から後半にかけて、怒涛の成長イベントを用意。ライバルキャラも拵えて、作品中で何か一皮むけるように一生懸命仕組ませていただきました。
シャドーマン敗北を経て、ウォルフと仲違いする辺りは「さっさと通り抜けたいんだけど、じっくり書かないといかん部分」だったのでそこそこにつらかったです。書き終えたときの達成感は一入だったんですけどね。
最終的には「死を超える」という生涯をかけての目標も得て、今後の成長に期待、といったところでしょうか。
ちなみに、家族構成は父母妹の四人家族。空手に少し理解のある両親はともかく、妹にはめっちゃ恨まれております。何しろ、兄が原因で不良が活性化してますからね。
・闘者組合のメンバーたち
はい、ざっくりまとめました。キキョウ、ウォルフ、サン、ミツキ、タイガーの計五名のことです。
キキョウは、ラブコメ担当……なん、ですが……作中において、最も罪を背負ってしまった少女ですな……。シャドーマンとの初戦では叫んでセードーの動きを止める、シャドーマンとの最終決戦時は技を見せてラーニングされる……。迂闊な子です。いろんな意味で。
ただ、彼女は才能、という点では作中でも随一という裏設定がありましてね? 今持っている棍術なんですが、全て見ただけで覚えているんですよ。見取り稽古のみで、セードー達と渡り合っているわけです。
その辺りの事情もそのうち、オフ会短編でも作ってばらしてあげたいなぁ。セードーとは、ある意味対極の価値観の持ち主っていうあたりも。
ウォルフは、ライバル担当。セードーと互角の実力を持つ奴がいるよね、ってことで設計。この子に関しては、史上最強の弟子ケンイチって作品の影響が強いんですよね。使う武術がボクシングって点のみですけど。セードーとは武術方面で対となるように描写したつもりです。主に精神面……武術家としての覚悟の面において。殺す覚悟を持っているセードーと、殺さぬ決意をしたウォルフ。果たして真の強者はどちらなんでしょうね? 作者には、まだわかりませぬ。
んで、サンとミツキとタイガーに関してですが、割とまとめにかかったように、彼女たちの役割は基本的に「その他大勢」となっております。キキョウの友人としてのサン、四人を引っ張る役割を持つミツキ、そして闘者組合を力強く導くタイガー、って感じでしょうか。ただまあ、作品において重要な役割を持たないサブキャラでございますので、深くは突っ込めません。
あ、最終回でサンが槍持ってましたが、八極拳の不利を補うために槍術を学ぶってのがあるらしいんで、持たせてみました。ギアに関しても、取得しなけりゃいいんで。
・他のギルドのメンバーたち
異界探検隊に関しては言うことはないですね。まあ、基本は向こうにいたときとおんなじですよ。違う点を上げるとすれば、ソフィアにドラゴン属性がなくなって、露骨なツンデレ属性が追加されてるっぽいくらいですかね?
ファイア・ワークスのメンバーは、最終決戦時、ガンシップにでも乗せて加勢させようかと思ったんですが、話の流れで断念。でっかい庭園に攻め込むのにガンシップもないですしねぇ。
初心者への幸運に関しては、アラーキーの居場所として設定しましたが、想像以上に便利でしたねここ。途中で二人も仲間が増えて、最終回ではランスロットも加入して、困ったときの初心者への幸運になりそうです。
円卓の騎士に関しては、ラスボス……の前座枠でしたねぇ。どんな優れた組織も、トップが落ちぶれればこうなるってイメージで書きました。こっちの世界のアルトの居場所だったんですけどねぇ。
・今作の総評
個人的には星五つは上げてもいいんじゃないかな、と思っております。
最初から最後まで、徹底掉尾イメージ通りに話を書けました。
私の目標の一つに「頭の中に描いた物語をそのまま書きだす」っていうのがありまして。
何それ簡単じゃん、と思われるかもしれないんですが、これが結構難しいんですよね。
まず文面で起こすのに苦労し、文面にできてもそれをきっちり読者の方々にお伝えすることができない……ってことも間々あります。
読み手に、いかにして自分の頭の中にある物語を伝えられるか、ってのは書き手の最大の難関といえましょう。
常に皆さんが笑顔になれる作品を提供できるよう、鋭意努力して折るつもりではありますが……。
この作品、皆様にはどう映りましたでしょうか? 正直なご感想、お待ちしております。
・次回作について。
さて、次回作ですが………ここでちょっと挑戦してみたいことがございまして。
今までの作品、どこかに必ずギャグ描写というか、コメディ要素を盛り込んでまいりました。
私のバイブルの一つに「スレイヤーズ!」っていうのがありまして、その作品を読んだ時に受けた衝撃のおかげで、今こうして娯楽小説を書いているわけなんですが……。
一度、完全シリアス作品に挑戦してみようかな、と。いわゆるだれも救われない系の、そういうお話を。
ふとしたきっかけで思いついた物語、このまま頭の中で腐らせるのももったいないと思いましてね……。一切おふざけなしの、完全シリアスの物語を、しばらく書こうと思うのです。
簡単に説明すると、バイオハザード系の物語です。街がゾンビで覆い尽くされる感じの。
手垢が付いたテーマではありますが、だからこそとっかかりやすいともいえます。王道を、いかに王道として書けるか……。
私も、いつまでも挑戦したいと思います。面白いものを、面白く書けるように……! いつものように一ヶ月の充電期間を経ての、シリアスサイモンの実力を御照覧あれ!
それでは皆様、こんな蛇足的あとがきにまで目を通していただき、誠にありがとうございます。
我が作品が、少しでも皆様の人生に潤いっぽい何かを与えられたのであるのであれば、それに勝る喜びはございません。
もしそうでなかったのであれば、それは私の力不足が原因。どうぞ遠慮なさらずお申し付けください。あり得るかもしれない次の機会にて、全力で挽回したく思います。
それでは、皆さま。
( ゜д゜)ノシ<マタツギノサクヒンデー
………ちなみに。
ライト=ウェイというのは、正道の直訳だそうですよ?




