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落ちこぼれ

王道しか書けませんが暇な時に見ていただけると嬉しいです!

当方伝える能力がないためAI補助を使っていますがあらすじ等は私が全て決めています。


 エルディア王国北部――辺境の村、ルナリア。


 王都から遠く離れたこの村は、豊かな森と畑に囲まれた、のどかな場所だった。


 朝日が昇り始めた頃、一人の少年が村外れの広場で木剣を振っていた。


「……二百九十八、二百九十九、三百!」


 最後の一振りを終えると、少年は大きく息を吐く。


 レイン・アーク。十五歳。


 黒髪に青い瞳を持つ、ごく普通の少年だった。


 いや――普通以下と言った方が正しいかもしれない。


「また朝からやってるのか。」


 呆れた声が聞こえ、レインが振り返る。


 そこには同年代の少年が二人立っていた。


「毎日毎日飽きないな。」


「そんなに頑張ったって無駄だろ?」


 二人に悪意はない。


 ただ事実を口にしているだけだった。


 この世界では十歳になると『適性の儀』を受ける。


 魔法の才能、剣の才能、そして保有魔力量。


 それらは生まれつきほぼ決まっており、将来を左右する重要なものだった。


 レインの結果は――最低。


 魔力量は一般人以下。


 剣術適性も最低ランク。


 魔法に至っては、初級魔法すらまともに発動できなかった。


 村の子供たちが次々と才能を開花させていく中、レインだけが何一つ秀でたものを持たなかったのだ。


「それでも、やらないよりはマシだから。」


 レインは苦笑しながら木剣を肩に担ぐ。


「冒険者になる夢、まだ諦めてないのか?」


「うん。」


「無理だって。」


「そうそう。王都の学院なんて、才能あるやつしか入れないぞ。」


 二人はそう言い残し、畑仕事へ向かっていった。


 残されたレインは空を見上げる。


 雲一つない青空。


 昔から、空を見るのが好きだった。


 見たこともない景色。


 知らない街。


 遠い国。


 胸の奥が不思議と高鳴る。


「……行ってみたいな。」


 その時。


「また一人で夢見てる。」


 聞き慣れた声が後ろから聞こえた。


「エリナ。」


 振り返ると、金色の長い髪を揺らした少女が立っていた。


 透き通るような青い瞳。


 どこかおっとりした雰囲気を持つ少女。


 幼なじみのエリナ・フィリアだった。


「おはよう。」


「おはよう。」


「また朝練?」


「うん。」


「頑張りすぎ。」


 エリナは小さくため息をつく。


 だが、その表情はどこか優しい。


 彼女は昔から知っている。


 レインがどれだけ努力しているか。


 誰も見ていない朝。


 皆が寝ている夜。


 毎日欠かさず剣を振り続けていることを。


「はい。」


 エリナが水筒を差し出す。


「ありがとう。」


「ちゃんと休まないと駄目。」


「分かってるよ。」


「絶対分かってない。」


 むっと頬を膨らませるエリナに、レインは苦笑した。


 二人は昔からこうだった。


 気付けばいつも隣にいた。


 一緒に森へ遊びに行き、一緒に勉強し、一緒に叱られる。


 まるで本当の兄妹のように育ってきた。


「そういえば、今日冒険者が来るらしいよ。」


「え?」


 レインの目が輝く。


「本当に?」


「うん。薬草の納品で立ち寄るんだって。」


「見に行こう!」


「ふふ、やっぱり。」


 レインは昔から冒険者に憧れていた。


 魔物と戦い、ダンジョンを探索し、世界中を旅する存在。


 村から出たことのない彼にとって、それはまるで物語の英雄だった。


 二人が村の広場へ向かうと、すでに多くの村人が集まっていた。


 そして。


「すごい……。」


 レインは思わず声を漏らす。


 そこには三人の冒険者がいた。


 一人は大剣を背負った男性。


 一人は魔法使いらしいローブ姿の女性。


 そして軽装の剣士。


 彼らの装備は、村人たちの持つ農具とはまるで違って見えた。


「かっこいい……。」


「そんなに?」


「うん。」


 冒険者の男性がレインに気付き、笑みを浮かべる。


「坊主、冒険者に興味あるのか?」


「はい!」


「へぇ。」


 男性は楽しそうに笑った。


「将来は冒険者になるのか?」


「なります!」


 その言葉に周囲から苦笑が漏れる。


「あいつまだ諦めてなかったのか。」

「才能ないのになぁ。」


 そんな声が聞こえる。


 レインは少しだけ俯いた。


 すると。


「才能なんて関係ないさ。」


 冒険者の男性が言った。


「え……?」


「確かに才能は大事だ。だが、それだけで全てが決まるわけじゃない。」


 男性は遠くを見つめる。


「俺も昔は落ちこぼれだった。」


「そうなんですか?」


「ああ。だが諦めなかった。」


 そして、にっと笑う。


「だから今ここにいる。」


 その言葉は、レインの胸に強く響いた。


「諦めるなよ、坊主。」


「……はい!」


 気付けば、大きく返事をしていた。


 その姿を見て、エリナは優しく微笑む。


 昼過ぎ。


 二人はいつもの丘へ向かっていた。


 村を一望できる、小さな丘。


 風が心地よく吹いている。


「嬉しそう。」


「うん。」


 レインは空を見上げる。


「やっぱり冒険者になりたい。」


「……そっか。」


「世界を見てみたいんだ。」


 なぜだろう。


 時々、夢を見る。


 見たこともない景色。


 空へ伸びる巨大な建物。


 夜でも消えない光。


 自分の知らない世界。


 目が覚めるたびに、胸が妙にざわつくのだ。


「変だよね。」


「変じゃないよ。」


 エリナは優しく言った。


「レインにはレインの夢があるんだから。」


「エリナは?」


「私は……。」


 少し考えてから、ふわりと笑う。


「レインと一緒なら、どこでもいいかな。」


「え?」


「な、なんでもない!」


 顔を赤くしてそっぽを向くエリナ。


 レインは意味が分からず首を傾げた。


 そんな平和な時間。


 ずっと続くと思っていた。


 この時までは――。


 遠くの森から、一羽の鳥が飛び立つ。


 まるで何かから逃げるように。


 そして、その奥では。


 赤い瞳が静かに開かれていた。


 だが、そのことに気付く者はまだ誰もいなかった。

第2話 森の異変へ続きます

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