忘れられる側の人間
日本語を勉強している外国人です。日本人にも通じる文章を書けるようになりたいです。厳しいご批判でも歓迎します。
缶コーヒーが頬に当たって、ひやっとした。
「つめてぇな。なんなんだよ、お前!」
静香は俺の前に立ったまま、むっとした顔をする。
「なにが『なんなんだ』よ。せっかく優しくしてあげてるのに。」
「……別にいいんだよ。お前に優しくしてもらわなくても。つーか、なんで俺がここにいるってわかったんだ?」
静香は鼻で笑った。
「武ってさ、落ち込むといつもここの土手に来て、なんかふか〜いこと考えてるみたいな顔してぼーっとしてるじゃん。」
「……うるせえな。」
「大事な試合でやらかして負けたから落ち込んでるんだろうけどさ、武って頭いいんだろ? もう京大にも受かってるんだし。だったら、なんでたかが野球部の試合くらいでそんな落ち込んでんの? 別に負けたっていいじゃん。」
「お前にはわかんねえよ。」
俺は足元に転がっていた石を拾い、川へ放り投げた。
静香の顔が曇る。
「あっそ。じゃ、先に帰る。」
「……別に帰れなんて言ってねえよ。」
静香は呆れたようにため息をつき、俺の横に腰を下ろした。
「こんな町のことなんか気にせず、さっさと出ていけばいいじゃん。変に気ぃ使われるほうがきついって、わかってないの?」
「だってさ……未練とか残さずに出ていきたかったっていうか……」
そう言った瞬間、静香の顔がみるみる曇っていく。
「そういうのってさ……優しくないよ、武。」
また説教かよ、静香。
「お前さ、昔っからそうなんだよ! 人の気持ちがどうとかこうとかって。結局、他人が何考えてるかなんて、わかりっこねえだろ? だから、わかったようなこと言うなって!」
次の瞬間、乾いた音が響いた。
漫画みたいに平手打ちなんかされたこと、一度もなかった。
……めちゃくちゃ痛かった。
読んでくださってありがとうございます。




