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The Best Youth 〜君と一緒に〜  作者: ダークキング


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18/25

いつもの日常、少しだけ特別な放課後

「やっと終わった……」

「そうだね」

テストも無事に終わり、ようやく解放された。

短い期間のはずなのに、やけに長く感じた数日間だった。

「これからどうする?」

「遊びたいね」

――テスト明けは、いつだってそうだ。

「どっか行きたいな」

「ボウリングでも行くか?」

「賛成!」

「いいね」

俺の提案に直美と麻衣子も乗り気だ。

「光司!」

後ろから、信夫が駆け寄ってきた。

「どっか行こうぜ」

「今からボウリング行くんだけど、来るか?」

「いいじゃん。俺も行く」

次々と人が増えていく。

「お兄ちゃん!」

今度は可織か。

「出かけるの?」

「ああ。ボウリング」

「私も行っていい?」

「当然」

「先輩達、こんにちは」

「こんにちは、七海ちゃん。よかったら一緒にどう?」

俺はボウリングのジェスチャーをする。

「えっと……」

少し考える七海ちゃん。

「いいじゃない。ちょうど暇だったし」

可織のアシスト。

「うん……私も行きます」

笑顔で答える七海ちゃん。

「その話、私も入れて」

沙樹が話に入ってきた。

「私も行きたい」

続いて成美も加わる。

気づけば――

「……これ、全員集合じゃない?」

笑いが起きる。

「よし。テスト終了記念、ボウリング大会だ」

「おー!」

みんなでボウリング場に向かって移動する。

「成美ってボウリングよく行くの?」

「そんなに行ったことないよ」

「麻衣子は?」

「私もあんまり」

「私も直美もあんまり行かないね」

直美が頷く。

「可織ちゃんは?」

「私は時々です」

「田辺くんは?」

「久しぶりだな」

「昔はよく俺と行ってたけど」

信夫が昔を思い出しながら呟く。

「週一で行ってたもんな」

「ああ。店員とも顔なじみだった」

「すご……」

驚く麻衣子。

「じゃあ、その店でいいんじゃない?」

沙樹が笑顔で言う。

「料金ってどれくらい?」

可織が少し心配そうに聞いてくる。

「一ゲーム三〇〇円くらいだったはず」

「それぐらいなら大丈夫だ」

値段を聞いて安心そうに笑う可織。

「――でも、俺はいいもの持ってる」

俺は財布から一枚の紙を取り出す。

「一ゲーム無料券」

俺はドヤ顔で無料券を見せびらかす。

「まだ持ってたのかよ」

驚く信夫。

「一応な。で、何ゲームやる?」

「問題は時間だな」

スマホで時間を確認すると、一二時半だった。

「私は六時まで」

「私も」

六時まで大丈夫な沙樹と麻衣子。

「私は五時半くらい」

成美は他のメンバーより早めの時間。

「じゃあ、五時半までだな」

「それでも結構遊べるね」

楽しそうな麻衣子。

「人数的に二レーンだな」

信夫の提案で、二チームに分ける。

「じゃあ俺のチームは――俺、直美、麻衣子、成美。信夫チームは、七海ちゃん、可織、沙樹でいいか?」

「いいと思う」

直美が笑顔で頷く。

「よし、決まり。ボウリング大会inスーパーボーリング二〇〇〇、開幕だな」

「一位は賞品あるの?」

麻衣子が目を輝かせる。

称号しょうごうだな」

「いらな……」

あきれたように言う可織。

「……とりあえず行こうぜ」

俺たちは店に入る。

「俺と信夫で受付してくるから、その間にくつ借りといてくれ」

⸻俺と信夫が受付中

「七海って靴何センチ?」

「二二だよ」

「私と同じだ」

「ほんと?」

楽しそうな麻衣子と七海ちゃん。

「直美さんは?」

「二三」

「私も二三」

直美と沙樹も同じサイズ。

「私は二三・五かな」

「私は二二・五」

一番大きいのは麻衣子だった。

「こうして見ると、だいたい同じくらいだね」

笑顔で靴を借りる女性陣。

「受付終わったぞ」

俺と信夫が合流。

「靴ももう借りてるよ」

靴を借り終えた女性陣。

「信夫、早くしろよ」

俺も靴を借り終える。

「お前が早すぎるんだよ」

「遅いだけだろ」

「何だと?」

少し言い合いになる。

「はいはい、その辺にしときなさい」

沙樹が俺たち2人を制止させる

「勝負はボウリングで、だろ?」

ニヤッと笑う信夫。

「だな」

俺はその挑発に乗ることにした。

「レーンどこ?」

早く始めたくてウズウズしている麻衣子。

「一二と一三」

「順番は?」

「こっちは――俺、直美、麻衣子、成美」

「じゃあこっちは俺、芦田さん、可織ちゃん、山本さん」

「あとはボールだね」

各々ボールを取りに行き、レーンに向かう。

「……準備いいか?」

「おう」

やる気満々の信夫。

「楽しみ」

微笑む直美。

「誰が一番うまいんだろ」

いつも楽しそうな麻衣子。

「それじゃあ――」

「ボウリング大会、開始だ」

「よっしゃ」

信夫が気合を入れる。

「光ちゃん、頑張れ」

「せめて一本は倒してね」

悲しい声援を飛ばす麻衣子。

「あのな……」

「行くぞ、光司」

「……おう」

ボールを握る。

指に重みが食い込む。

――久しぶりだな。

助走をつけて――

ゴロゴロゴロ……

カコンッ!

「二本残りか」

久しぶりなのに、体が感覚を覚えてるもんだな。

「俺は一本だ」

「二人とも上手いね」

驚く成美。

「まぁな。昔よく来てたから」

2投目を投げる。

コトン、コトン。

「スペア」

信夫とお互いスペアスタートとなった。

「最初はこんなもんだろ」

ニヤッと笑う信夫。

「次、直美だぞ」

「うん」

「久しぶりに勝負ね」

直美に宣戦布告せんせんふこくする沙樹。

「そんなに気合い入れなくてもいいじゃない」

「たまにはいいでしょ?」

沙樹と直美も対決するようだ。

スッ――

無駄のないフォーム。

ゴロゴロゴロ……

――バシィッ!!

さらに隣でも。

――バシィッ!!

「ダブルストライク!?」

どよめきが起こる。

周囲の歓声に混ざって、麻衣子の「すごーい!」が聞こえた。

ハイレベルな戦いになりそうだ。

「次、私だ」

出番が来て嬉しそうな麻衣子。

少しぎこちない投げ方。

ゴロゴロ……

「あ、ガーター……」

ちなみに隣のレーンの可織は四本残り

「まぁ久しぶりだしな」

咄嗟とっさにフォローする。

もう一投。

「七本!」

「スペアだ」

スペアを取れて喜ぶ可織。

「普通に上手いじゃん」

「ありがと」

褒められてさらに嬉しそうに笑う。

「ラストは成美だな」

「……頑張る」

少しだけ、空気が変わる。

独特のフォームなのに……。

力んでいるようには見えない。

なのに、ボールだけが真っ直ぐ吸い込まれていく。

ゴロゴロゴロ……

バシィッ!!

「え?」

「うそ……」

「ストライク……」

俺と直美と麻衣子は絶句した。

さらに隣でも――

バシィッ!!

「七海ちゃんもストライク!?」

「マジかよ……」

驚く信夫。

「成美、めちゃくちゃ上手くないか?」

「た、たまたまだよ」

そう言いながらも、その表情には少しだけ余裕があった。

「さて、次は俺だな」

気合を入れる。

ゲームの後半

「これ、ハイスコア出るんじゃない?」

九フレームで俺のスコアは百六十二。直美がふと呟く。

「光司くんの最高どれくらい?」

「一七〇くらいだったはず」

「すごい……」

驚く麻衣子。

「成美の方が凄いだろ……」

八フレームで百八十一。

もはや異次元だった。

「久々だけど、調子いいかも」

さらっと言う成美。

調子いいとかのレベルじゃねぇよ……。

「次、直美だぞ」

「分かってる」

「無理にストライク狙うなよ」

「え、狙わないの?」

少し驚く直美。

「狙って取れるもんじゃないだろ」

「……それもそうだね」

納得した表情になる。

ゴロゴロ……

「八本」

「私は九本」

沙樹と直美もデッドヒートしている。

「ダブルスペアになりそうだね」

さらっという麻衣子。

「……隅って難しいんだぜ」

「そうなの?」

驚く麻衣子。

「外すとそのままガーターだからな」

「……なるほど」

そんな話をしているうちに、二人とも二投目を投げ終わっていた。

「見てなかったでしょ!」

怒りながら戻ってくる直美。

「悪い……」

「せっかくスペアだったのに……」

残念そうにうつむく直美。

「直美ならいつも通りだろ」

「それはそうだけど……」

全然納得していないようだ……。

「次からはちゃんと見る」

「絶対だよ?」

少しだけいつもの表情に戻った。

――そんなやり取りを繰り返しながら。

ボウリング大会は三ゲーム続いた。

途中麻衣子のガーター連発や、可織が俺への対抗心で力みまくったり、信夫が調子に乗ってガーター。

成美は五連続ストライクの怪物ぶりをマーク。

そして結果は――

「合計、六〇〇……?」

一人異次元のスコア。

「成美、圧勝だな……」

店を出ると、外はすっかり夕焼け空。

「俺もハイスコア出たし満足だ」

「一八二だったもんね」

「ああ。でも、直美の一九三には敵わない」

「あれは運が良かっただけだよ」

「いや、それで一九三は無理あるって」

笑いながら、歩き出す。

隣には、いつもの顔ぶれ。

でも――

(なんか、いいな)

ただ遊んだだけ。

それだけなのに――

少しだけ特別に感じた。

「私は一二二だった」

麻衣子は少し落胆した表情をしていた。

「可織は?」

「一一三」

「……まぁ、いつも通りだな」

「ひどくない?」

軽く肩を小突こづかれる。

「七海ってボウリング上手かったんだね」

「今日はたまたまだよ……」

「一四五でそれは通らないって」

「ほんとにたまたまだから」

七海ちゃんは照れながら謙遜けんそんしていた。

「それより――」

「成美、なんであんな上手いんだ?」

一瞬、みんなの視線が集まる。

「え……?」

「二〇〇越えって普通出ないだろ」

「昔ちょっとやっただけだよ。たぶん、そのときにコツ掴んだだけ」

「それであのスコアかよ……」

「センスのかたまりだな」

信夫が驚きながらつぶやく。

「まぁ、とりあえず――」

「第一回ボウリング大会、優勝は成美だな」

「……ありがとう」

少し照れながらも、どこか誇らしげだった。

「第二回あるの?」

もう次の話を始める麻衣子。

「このメンバーならあるだろ」

いつになるか分からないが、このメンバーなら次もまたこうやって集まれる。

そう自分に言い聞かせながら言う。

「次は負けないからね」

「次も負けないよ」

可織と七海ちゃんもライバル関係みたいになっている。

「光司、次は俺が勝つ」

「五点差だったけど、次も負けねえよ」

「直美、次は負けないわよ」

沙樹が悔しそうに言う。

「次も負けないよ。今度は成美にも勝つから」

「え?」

成美はライバル視されて、少し驚いたようだ。

「連覇はさせないからね」

直美は成美に対抗心たいこうしんを燃やす。

「……するけど?」

さらっと連覇宣言。

「言い切ったな」

笑いながら、家路へ向かう。

「暗くなってきたな」

「もう秋だね」

昼の熱気が嘘みたいに、風が冷たい。

「夏も終わりか」

「次は冬だね」

嬉しそうな麻衣子。

「それはそれで嫌だな」

「……テスト、どうだろ」

ぽつりと、成美が呟く。

「心配か?」

「うん……ちょっと」

「終わったもん気にしても変わらないだろ」

「え?」

「結果はもう決まってる。あとは待つだけだ」

「……そっか」

「気にしても疲れるだけだぞ」

「うん」

いつもの表情に戻る成美。

「相変わらずだね、光ちゃん」

少し呆れたように笑う直美。

「何が?」

「昔からプラス思考」

「そうか?」

「でも、そのほうがいいよね」

「落ち込むよりはな」

「じゃあ、私はここで」

「ああ、また明日」

「バイバイ」

成美が手を振って去っていく。

「じゃあ、俺たちもこっちだから」

「おぉ、また明日」

信夫と沙樹が手を振って去っていく。

「冷えてきたな。秋飛ばして冬になりそう」

「それは嫌だな……」

「可織?」

「私、冷え性だから……」

「私もだよ」

同調する麻衣子。

「仲間ですね……」

小さく笑い合う。

「じゃあ、私たちはこっちだから」

「ああ、また明日」

「失礼します」

笑顔で手を振る麻衣子と礼儀正しくお辞儀をして去っていく七海ちゃん。

「今日は楽しかったね」

「ああ、次は直美に負けないように鍛えておくよ」

「楽しみにしてるね」

「じゃあ、また明日」

「うん、2人とも気をつけて帰ってね」

笑顔で手を振る直美。

「はい」

「今日の晩ご飯、可織担当か?」

「今日は違うよ。母さんが作るって」

「なるほど、じゃあ買い物行かなくて――」

「あ!」

「……嫌な予感しかしないんだけど」

「お母さんに買い物頼まれてたの忘れてた!」

「おいおい……」

「すぐ行かなきゃ!」

「しょうがないな」

ため息をつきながらも、足を止める。

「行くぞ」

「ありがとう、お兄ちゃん!」

――こういうときだけ素直なんだよな。

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