第177話 陸軍王
箱の中の人は丸一日出て来なかった
起きてるのか寝てるのか解らないがこっそり周囲を囲み
大宴会を行う 装甲車の四方に櫓酒を置き
酒の飛沫がバシャバシャかかる位置になる
周りが賑やか過ぎて寝れるものではない 腹も減るだろうし これで出てこなければ辛抱強いとしか言えない
装甲車には小さな窓が有りそこから覗いて周りを確認するのだろう時々視線が揺れているのがわかる
酔っぱらいが箱を掴み揺らし始めると他の酔っぱらいが何人もで掴みかかりとうとう横倒しにしてしまう
中の人が外に出るしかなくなるのだった
金髪の美しい女性が軍服で現れ警戒姿勢 腰にはレイピア風の長剣が有るが両手で短銃を構えている
横からきた女騎士が剣の鞘で短銃を弾きとばし別の女騎士が二人両脇を拘束し宴席の只中に連れて行ってしまった 酔っぱらいの女騎士達からやられ倒される羽目になる、敵も味方も解らない状態になりいつの間にか捕虜の仲間入りしてしまうのだった 後で捕まえて尋問したが有力な情報は得られなかった
次の使者は来るだろうか?
使者の使い方とか知らないのでは?
王城にはあとどのくらいの兵士が残っているかは聞いていたので一気に攻めても良かったが時間は有るのでしっかり様子見させてもらうことになる
張りぼて城壁は陸軍王城の麓まで進めておく
無人島の残存海軍はいつの間にか居なくなって居たらしい食料でも尽きて本国に帰ったのだろう ローテは特殊船にて追尾し警戒するとだけ連絡は有った
キールスとローテの軍艦部隊はキュールの新設軍港に全艦戻ってきたのだった
大宴会から20日たった
情報での陸軍王の残存兵士数は1000も居ないらしい
国民から召集するにしても陸軍王の民は居ない
スメシアの統治に賛同し新しい街の住民として今後はやっていきたいと声明ももらっている
占領から3ヶ月経った現在はスメシア語の習得中である
今後の生計方法として、この大陸周辺は特殊な海流が有り様々な海の幸があるとの事で主産業を漁業と海産加工商品の開発と販売を主として生計を立ててもらう彼らの海産物に対する知識は素晴らしかった 売り先はキールスとローテで海路での貿いす易になっていく 海産物は転移では送れなかったのでスメシアまで送るのは違う方法を考える必要が有ったがそのうち誰かがうまいこと考えてくれる事を期待する
放置状態だった陸軍王城 飢え死にしてるかもしれない
全く動きがない 仕方ないのでこちらから出向く事にする 大袈裟な馬車と魔騎馬隊、騎馬隊、竜騎士隊で大攻勢と思われる規模の集団が王城へ向かう
土塁には見張りも伏兵も居ない あっと言う間に王城の正面玄関に到着する 全周警戒で騎士達が周囲を囲む
正面玄関に馬車を止めカイは降り立つ 扉は閉まっている とりあえず挨拶したが反応はない 上空を警戒していた竜騎士から一報が入る
「城内の中庭に沢山の兵士が倒れている」
カイは指示し周囲にある6箇所の入口から一斉に城内に入る 何の抵抗もなく中庭に出てしまう 王らしき者の姿は無く力尽きた兵士が数百人瀕死状態で倒れている
いつから食べてないのかわからないがかなり弱っている
すぐに食事を摂れるよう準備をする この惨状を見た騎士達も食料の運搬や食事の用意に奔走する
捕虜にしていた同胞達も手伝ってもらう
階級毎にテーブルを別けてもらい準備ができた所から食事を摂ってもらった 弱っているので雑炊のような粗末な食事だが涙を流して食べてくれた
残念ながら餓死してしまってる兵士の蘇生を試みたが還らぬ者が多かった 無事還った者はすぐ病床送りにした
この中に陸軍王は居ないらしい
兵士を捨てて逃げたようだ いったいどこへ?
王城の北に張りぼて壁を移動させ陸軍王国は消滅した




