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A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
【情報屋】脇役BL作品です←ご注意ください!

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【注意:BL】②END-Zan

BL【情報屋:Zan・翼side】


光は闇に惹かれ。-BL-

Side:たすく


大きな学園に、たった一人の人間。

どちらかと言えば、恵まれた環境。勉強も、容姿も。

自分で言うのもおかしいけど、性格も問題はないような。

光の注がれた世界。不自由はない。自由に身を委ね。俺が見つけたのは、闇だった。

学園の組織は、誰かを護る名目の役員たち。実際は、学園の目的の為に動く。道具。

何かを得られるかと、裏の警備への推薦を受け入れた。問題なく順調に、任務をこなす。

そして流れるように。役員を仕切るしゅうの一人。はなに任命。

その同じ立場に就いた者の、ほとんどの顔を知らない。学生ではないようだ。

裏の世界で生まれ、闇に消えていく。命も。日の当たらない世界で。

それを、うらやましく思ったんだ。

君を見つけた時。すべての基準を超えても、手に入れたいと願った。

俺が、光であることを。どうしようもない悔しさが襲った。

君は、分からない。独りで生きてきたから。

そして。独りで消えていくのが当然のように、儚く。貴重に見えた。

俺の手に入らないもの。

君が望んだ存在ではない自分が、消えたいぐらいに情けなく。涙は零れる。

今も、はっきり思い出せる。

任務で、裏ルートを歩いていたんだ。

包む雰囲気は、見たことのない孤独。何かを探し、鋭く光る瞳。

木々に溶け込むように、気配を消し。姿も消した。

言葉を失う。夢を見たのかと、記憶に刻まれた姿は、背の高い男。

普通じゃない?そうだろう。何かを間違えた?そうだろうか。

願ったのは、彼の存在。俺に何かを与えてくれる。

特別な闇。俺の知らない世界。広がる無限の可能性。求めていた何かを、見つけた高揚感。

誰の理解もいらない。簡単に、理解を得られることも望まない。

特別な、俺だけの闇。光を望む者は、そこに留まればいい。

闇に魅入られた俺。囚われるその孤独を共有したい。

孤独な世界に、俺を引きずり込んで欲しい。


必死で集める情報。

行き着いたのは、すべての情報を握るという『情報屋』の前任。彼の母。

同じ闇。その景色に惹かれる俺を見透かすように微笑む。

しかし、その笑みは違ったんだ。

彼女も見つけた。彼を光へ導く可能性という存在を。

「光を、諦めないことを望む。闇に惹かれる者だからこそ、その存在は尊い。」

彼の心を捉える男性。呪いを受け継ぐ家系の大上家。

聡明。独りで生きる覚悟の残り香。彼の望んだのは、そんな光なのかな?

俺じゃ、ダメなのかな。光を望まず、光を望む。

想いは、感覚の狂う愛しさに自分が壊れたんじゃないかと自分のあるべき位置を失う。

望んだ闇じゃない。今なら戻れる。

自分を保つのに必死な俺の光が、あなたを引き寄せた?

それなのに、あなたは失うことを恐れたの?

遠巻きに、陰から見ているだけ。近づかない。

あなたが望んだのは、光じゃない。“あの人”の代わり。

分かっている。幻滅するんだ。

あなたは、光の中で生きる“あの人”と同じ光を望み、光を望まないから。

今日、接触が無ければ。今日、話すことも出来ないなら。諦めよう。

何度、そう思っただろう。

一筋の涙。近づく彼の気配。頬に触れる指。彼の温もり。俺の涙を口に運んだ。

無意識だった彼の油断した目が、俺の視線に反応する。

『違う』。あなたは、そう思ったんだね。幻滅した?

恐れの中で、あなたに話しかけたんだよ?

そんな出逢いから、黙って時を過ごすことが何日も続く。

その一時を、どう表現すればいい?

光と闇が相容れることはなく。それでも、相互の存在を必要とする。矛盾のような時間。

俺は、あなたの主の妹から依頼を受けた。どんな形でも、あなたと係わっていたいと願ったんだ。

あなたの思いや覚悟を試したんだ。

俺は、臆病な光の住人。手に入れたのは、奇跡。

あなたとの時間を常に恐れていた。あなたも同じ。

あなたは光を望み、光を望まない。俺は、闇を望み闇を望まない。

相容れず、互いに必要な存在。

墨。俺を必要として欲しい。俺は、あなたに惹かれたのだから。




タイトル『名』Side:たすく・登場人物:もく


俺には、学園の裏の役員衆の中で華と呼ばれる役目を担う。

表で生まれた俺には本当の名、翼がある。

同じ役員の墨にも、本当の名があるはずなんだ。

「墨、君の本当の名が知りたい。」

そんな俺に、墨の表情は固まった。

返事を待つ俺に、視線を逸らして黙る。

聞いてはいけないのだろうか?

首を傾げ、墨と視線を合わせようと覗き込む。

視線が合うと、悔しそうな表情見せ、ため息を吐く。

「翼、裏の世界では……死を覚悟するんだ。裏の役員に、表が入るのは昔からあったが……恋仲にはならなかったからな。主から一度は問われるが、大抵は問題にならない。」

表情は変化し、悲しげな眼。

墨は俺の顔に手を伸ばす。

俺は墨の戸惑う手に歩を進めて近づくが、大きな隔たりを感じる。

お互いの距離は縮まるのに、線を引かれたようで立ち入れない事に苛立つ。

墨の大きな両手が、俺の顔を包む。優しく撫でる手は、弱々しくてぎこちない。

俺の見つめる目を受け入れ、瞳に映るのは何だろうか。

「墨、俺は必要ではない?」

墨が目を閉じて顔を近づけるので、口づけするのかと思った。

墨は額を合わせて、呟く。

「翼、お前は俺の光だ。闇で生きた俺は光を知らないままでも……いいや、出逢えて良かったと思う。失えば、生きていけない。」

愛しさの溢れるこの気持ちは、同性に抱く感情として正しいのか分からない。

ただ、単純に受け入れたいと願う。

目を開けた墨と視線が合い、軽く触れた唇。

「翼、俺は父から役目を引き継いだ時に名を捨てた。俺が名を取り戻せるのは、父のように引き継いだ後か……死んだ時。」

学園の目的の為に、利用されてきた裏の住人たちの結末は……

「ふふ。墨、約束してくれ。誓って欲しい……俺に、生きて名を告げるまで共にいると。」

生涯の誓い……

墨は、今までに見たことのないような幼い笑顔を向ける。

「くはっ、翼には敵わないな。俺の光、君が俺の闇を照らしてくれるなら、きっと生きて名を告げることも可能だろう。俺の一生を捧げるから、その時は呼んで……俺の本当の名を……」

俺は微笑んで墨の手に顔をすり寄せ、手を重ねた。

俺の闇……必ず名を呼んでみせるよ……




『翼の嫉妬』side:墨


役員衆の内部も落ち着き、裏と表との区別のない時代が来ていた。

それでも、大上家の呪いは影を落としたままだった。

俺に、光が常にあるように。彼らを見守り、助けになれただろうか?

「押し倒せば良い。」

悩める好みの青年に、アドバイスを述べてみる。

「は?」

戸惑う表情は、とても美味しそう♪

「相手が、受け入れるなら。男としてOKだ!ふふっ。相手が、男でも確実な方法。くすくす。」

「あの、俺。任務が終わったので。これ、で~?」

逃げ腰の部下の腕を引き、押し倒してみる。

「ぎゃぁあ~~?墨さん、ちょっ。タンマ!!やめ、気持ち悪い。どこ、触って。て、舐め?!」

【バキッ】上司なのに、本気で殴られた。

可愛い反応♪くふふ。

「な?大体は、これで。て、どうした?」

部下は、乱れた服を直し。

武器を手に。仁王立ちで震える。

「寒いのか?さ、俺が暖めてやろう。」

優しい上司だよね、俺って♪

「セクハラで、訴えますよ!!」

あれ?可愛くない。

後姿を見送りながら。顔が緩む。

ぐふっ♪役員は、俺好みが多くて楽しいな!

【ゾクッ】

冷ややかな空気が、俺を包む。

「墨、俺のこと。もう要らないのかなぁ?」

「た、翼!?あの、その。スキンシップだよ?ほら、部下と、その。」

「そう、ふふふ。そうなんだ♪いいよ?俺。実は、女の子が好きなんだ。学園に、お見合いも勧められてるし?別れてくれるかな♪」

「ごめんなさぁ~~い!!」


紫貴一言♪

【天使な束縛】の一場面でした。

次は、少し切ない感じ?結婚式は、幸せだけど。それを見守る人は色々、思うことがあるのです。

そんな角度で、ご覧ください。【情報屋】の その後を、少しだけ。

いつか、きちんとした話を書きたいな。(←いつのことやら?)では、どうぞ!!




『慧の結婚式』


役員衆の仲間が、幸せになる。

すい。相手も同じ役員衆のつき。彼女も表に出られない存在。

小さな集まりで、祝う。

二人の閉ざされていた未来が、つながったのなら。それも、光なのだろうか?

「墨、何を考えてる?」

翼が、俺の横に立ち微笑む。

「ん?お前の未来を、俺が閉ざしたのかな。まだ、間に合うだろ?他に。」

「それ以上言うと、殺すよ?」

微笑みは変わらないのに、冷たい空気が。

いや、いつもの嫉妬時と比べものにならないほどの凍てつく空間。

「ごめんなさい。」

15も離れていると思えない上下関係。

「墨、華。お願いがあるんだ。」

はなは、役員衆での翼の立場。

「新郎が、こんなところを うろつくなよ。」

裏でも、俺たちの関係は異質だろう。

そんな引け目を感じるのは、どうしてかな?

「俺たちに何かあったら、子どもを。」

「こら!不吉なことを言うな。祝いの席だぞ?」

そうか、二人の幸せで思い知る。

翼のあるべきものを奪った罪悪感。

それが、言葉に出した以上に。俺に重圧をかけているんだ。

「聞いてくれ。ケイを。恵を、支えてやって欲しい。俺には、出来ない。墨、過去の借りを返す約束だろ?」

二人の幸せも、世間から見れば小さいモノ。

さらに、小さい存在。

「恵のところに、子どもは出来ない。」

慧の言葉に、俺たちは無言になってしまった。その後の話が、記憶にない程。

ただ、慧の不安は。少し未来に的中した。学園の闇に消えるように。

残りの生きる日々。俺たちは、何を考えるのか。





END‐Zan

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