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A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
情報屋Kの恋愛簿

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8/81

side:恵

side:恵。



昼の休憩時間。

情報収集で共に居た慧が気配を感じ、静かに下がる。


「ケイ、聞きたいことがあるんだけど。」


幸せそうな笑顔の敬一。照れながら近づいてくる。


「上手くいったんだな?」


「あぁ。」


敬一が恥ずかしそうに笑う。


「結南の女生徒が情報をくれたんだ。瑠衣が泣いていたって。泣かした相手が、お前だっただけで……嘘はついてないぞ?」


「確かに俺が泣かしていた。色々と周りにも迷惑をかけたというか、見守られていたのかと思うと恥ずかしい。」


二人にとって良い時期だった。荊の手柄だ。


「で、付き合っているふりをしてくれていた彼氏……意外と紳士だったんだけど。良くない噂は嘘だったのか?買収の話も!」


敬一が気になるのは瑠衣の安全。護る者を今まで以上に意識する。

きっと俺の最近の荊への想いも、それに近いのだろう。


「良くない噂は、墨が絡んでいるから。俺からは黙っておくよ。」


敬一は瑠衣の絡んでいない冷静な時なら、見抜けただろう。

瑠衣が選んだ、自分に指一本触れない安全な相手。


敬一は俺の横に座り込み。


「……気づいていなかったのは俺だけ?」


墨まで絡んでいたんだからな。

側近から内緒にされてしまう主従関係。きっと、これから構築されていくのだろう。


にっこり笑って返す。


「そうだな。瑠衣の気持ちなんて、初対面の女の子でさえ気付く。けど干渉するには、ちょっと複雑すぎた。」


「他の子にもか……俺は瑠衣が絡むと駄目だな。」


今のままでは守れない。

けれど側近や学園の庇護のもと。何かあれば、俺も助けになれるだろうか。


「敬一。他の男が瑠衣に近づかなかったのは、兄貴のお前が怖かったから。なのに出来た彼氏に干渉しないから。みんながチャンスを狙いだして買収騒ぎさ。」


「全部、俺のせい?」


「だな!」


どん底まで落ちたような表情の敬一と俺の前に、静かに現れる墨。


「……墨か。買収騒ぎはどうなった?」


「敬一様の……彼氏撃退で、みんな落ち着きました。ぶふふ。」


笑いを堪えきれず、墨は報告して噴出した。

珍しい主従関係。


「……そうか。」


敬一は、うなだれる。


「面白く、拝見“だけ”いたしましたよ。」


やはり墨も計画の協力者だったか。


「そうだよな、お前って……。何もせず、楽しんでいたんだな?俺を見て。」


「さ、敬一様。お父様に電話で報告する時間ですよ。くくく……楽しみですね。」


墨は楽しんでいる様子。


「うるさい、分かっている。……ケイ、またな。」


二人は並んで歩いて行く。


敬一、墨がどう協力したかなんて俺の口からは言えないよ。

瑠衣の彼氏の本命は、墨だ。

だから安心して瑠衣を任せられたし、情報屋の俺以外の誰も、彼氏の本命が誰かなど知る事なんて出来ない。


瑠衣は、お前が反対しなければ情報屋になれるだろう。

観察力・情報収集力が優れ、利用の仕方も上手い。惜しい人材。

残念だけど、裏は安全ではないから諦めよう。


二人の関係は、これからどうなるのか。

父親の反応次第かな。ま、ハッピーエンドには違いない。

父親は、二人の気持ちを知っている。墨が絡んでいるのだから。わざと仕事で、家を二人だけにして。

でも想いが通じた後は、事情も変わるかな?


敬一から、どうなったか。また聞けるのが楽しみだ。

幸せなら……それで良い。俺は何も望まないで生きているから。



「メグ、私……役に立てたかな?」


階下から、荊が顔を出して小さな声。

俺は手招きして、笑顔で答える。


「荊、お手柄だったよ。今回の情報は、スピードが命。よくやった!ご褒美は何がいい?」


俺の言葉に、安心したような笑みを見せて走り寄る。


「何でも良いの?」


「あぁ、なんでもいいぞ。金でも物でも!」


「……汚いな、大人の世界って。ふふ。時間ちょうだい、考えるから!」


無邪気に、俺に飛びついてくる。


「あぁ。ゆっくり考えろ。」


荊が何を望むのか興味がある。出来るだけ叶えてやりたい。


「そうだ。荊、お願いがある。ある人に届け物をして欲しいんだ。」


「了解!……で、なに?」


ずいぶん浮かれているな。

これから危険な仕事が増えるだろう。慧も、常に荊を守ることが出来ないだろうし。


「表の警備。卯佐美うさみ 凌子りょうこに、この封筒を渡して欲しい。」


「……初めて、残るもの渡された。大丈夫なの?」


「あぁ、暗号で連絡の確認だから。頑張れよ。」


荊は裏の仕事がどんなものか、知っているんだ。

海外で、どんな訓練を受けたのか。


「メグ。ありがとう!」


照れて、赤くなった顔。

誤魔化すようにクルっと回り、後ろ姿。


「信用してくれて。」


小さい声だった。


「……何か言った?」


とぼけてみる。

荊は振り返らないで、手を振りながら。


「任務に向かいます!」


走り去る。


可愛いな。

君を守りたいと思う気持ちに嘘はないんだ…………






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