『もしも普通に出逢ったら?』
『もしも普通に出逢ったら?』
「ヤマ?」
「刻、捜した!……学校の勧めで、一週間だけ。……お試し交換学生?とかで、よろしく。」
「……相変わらず、いい加減だな。」
「……お前がいなきゃ、来ねーよ?」
俺は、麻生学園に何度か遊びに来て……刻に出会い、友達になった。
「……?香水の匂い……。また、女の所か?そのうち刺されるぞ……。」
「べつに。面倒な、恋愛なんてしない。」
「お前に、本気になられたら……死ぬんじゃね?」
「ないない……」
そう、誰か1人になんて……。俺の心を惹きつけるものなんて……ないと、思っていた。
「集合時間……。刻、後で!」
……この学園に、姉妹校からの代表者と……来年の候補者が集まった。
その中に、見つけた……。
「桜野加羅……来年の候補生。きれいな顔だし、頭良いって……誰も近づかない」
「近づきたいけど、近づけね~~」
……俺は、真っ直ぐな目に惹かれた。あの目に映りたい……。
俺の、今までの生き方を……後悔する時が来るなんて……。思いもせず、彼女に近づいた……。
1人になるのを狙って、科学準備室。
「ねぇ。加羅……って珍しい名前だよね。」
嫌悪の目で、肩に乗せた俺の手を払い「オレに……汚い手で触るな!」
……オレ?……汚い……手?
「……女の香水か……。他のメスと一緒にするなよ?その手で触ったら……殺す。」
……コロス……。
「あはははっははは……。く、苦し……い……」
刻は、大爆笑だ。
「……女と、手を切る。」
「ふっ。良いことだ。……けど、過去は消せないよ~~。」
「刻、この人……誰?」
「あぁ。有羽……友達の……。近づいちゃいけません。妊娠する……」
「……しね~よ、そんなヘマは。……ヤマさんでいいよ、よろしく♪」
「……しそうだね。」
「ね。」
似た者同士だ。
「加羅さんでしょ?……友達だよ。」
「協力してよ!」
「……ヤマの、そんな姿を見れるとは……」
「うるさい!」
「……刻が言うなら。……でも難しいかな~~?憎む部類の人間……」
「……だよな。」
………。
「一応、聞くけど。どうするの……?」
「くく……じわじわ追い詰めたい。真綿で首を絞めるみたいに……ふふ。」
「最低だ。」
「……一理あるとは思う。女扱いされたことないから、攻めて良いと……。ただ、第一印象がマズイね。」
「女、食ってますじゃな。汚い手……だし?」
「……汚い手。ぷぷっ」
「………。」
「難しいよな~?」
「加羅に訊いたら?直接のが確実だね!」
「当たって砕けろ!匂いを落として……な?」
今までに会ったことの無いタイプ。
どうしても欲しい。手に入れたい……。
次の日。
「……加羅、本気なんだけど……付き合ってくれないか?」
「はぁ?何言ってんだ………触るなって……」
強引に、加羅の両手首を片手で押さえつける。
「気持ち悪い!」
もう片手を背中に滑らす。
「やめっ!!殺すって、言ったよな?」
「……加羅。口調を乱暴にしても、君は女の子……。悔しい?力では敵わない……」
耳元で、意地悪に囁く。
「……くっ。離……むっ……」
口を唇で塞ぎ……離す。
息を荒げる姿が「可愛い……」
手を服の中に入れ、横腹から柔らかい胸へ滑らす。
【ビクッ】反応あり。
「や……」
可愛い声だ。
はぁ……息が苦しい。限界か……?
「止めて欲しい?……お願いしたら、止めてあげる。」
「……何言って……。いい加減に……」
「最後のチャンスだよ?俺も、我慢できるのはここまでだから……。お願いしないと、知らないよ?」
加羅は、何かを感じ……息の荒くなった俺から目を逸らした。
そして、小さな声で「離して……くれ。」と。
「ふっ。許してあげる……」
手を緩めた瞬間、グーパンチが頬にヒット!
……逃げられた。
………
「あはははっははっははは……」
頬を冷やす俺に、刻は大爆笑。
「……加羅、普通だったわよ?不機嫌ではあったけど。」
「意識するより、嫌悪の方が強いんじゃね?」
「ね~?……訊けって言ったのに、欲求不満なの?」
「……必死で止めたのに?可愛くて……気が狂いそうだ……」
「「危ね~~」」
「なんか、俺の中の何かが……なんだろ?……うまく言えないけど、加羅を求める。義務みたいに……」
「ヤマ、大変だ!!」
「何?朝一」
「さっき、交換生の奴が加羅さんに告白して……保留もらったって!」
……保留?………。
俺は、加羅を捜した。
見つけ、抱きかかえる。
「な?!……放せ!下ろせっ!」
近くの空き室に入り、鍵を閉めた。
少し乱暴に加羅を降ろし、問い詰める。
「どう言うこと?」
「……考えるきっかけは、お前だよ。」
加羅の冷静な態度に腹が立ったのか、我を忘れ……
「……んっ?!」
強引にキスをした。
「……はっ……」
長いキスに、苦しくなった加羅の口が開く。
「……んんっ…………」
舌を入れ……加羅を求めた。
「……っ!」
我に返る。
加羅が、俺の舌に噛み付いた。
「……ごめん」
こんなことをしたのに、加羅は落ち着いている。
噛まれた舌も、そんなに痛くない。
余裕の無いのは俺の方。
「話を、最後まで聞け。……昨日、あれから考えた。お前がオレを女として見ていること、本気か……。女に不自由しないお前が言った……オレは女だと。ありのままの、女として受け入れてくれるのか……ただ、オレが珍しいだけなのか。」
「……加羅、賭けをしようか?」
「ふっ」
加羅が笑った?!
「何、驚いた顔してる?……嫌だよ。一応、交換生のうわさは聞いてる。……敵うことなんか……あぁ!いいぞ。一年、オレに一切触れなかったら。もちろん他の女も食うなよ?」
「俺のものになってくれる?」
「あぁ、出来たらな!」
「わかった。じゃ、一年後!」
………。
俺は交換生の期間をそっちのけで、前から話のあったアメリカ留学に出発した。
【お前……本気かよ?毎日、国際電話って……わかってる。……うるさい……行った時から覚悟してる……】
【加羅、愛してる……】
【……馬鹿】
一年が過ぎる。
加羅のところに、当然直行!……俺のもの……
「加羅!ただいま!!」
……加羅を抱きかかえ、寮の俺の部屋……
《ぴぴぴぴぴぴぴぴ……》
……目覚ましの音。
「……夢?」




