共に生きる…… 選択
末来。
私は、実父の願い通り……聖花を研究する仕事に就いていた。
そして、娘……飛鳥が、あの時……と同じ年頃になる。
時は来た!
衝撃と共に、大きな爆発音……警報とアナウンスが続く。
第二課……確かに、飛鳥はいた!
目覚めた聖花……改と一緒に。私は、飛鳥を守るため……羅針を作動させる。
聖花と改を……過去に送るために!
「母さん……?」
飛鳥……
「痛いっ……!!」
時役使……時の犠牲……。
彼女も目覚める。時の定めを守るため……。
時を変えてしまった改……恋した人の存在を消すために。
あなたは、いつ気付く?……失うことの悲しみに……。
羅針は私を導く。
……飛鳥の想いを……巡る為。
飛鳥の想い。
「いってきます。」
舟越 飛鳥
長い黒髪をなびかせ、いつもの背中を見つけ……飛びつく。
「うおっ」
……1歳年上の幼馴染。
「輝、おはよう!」
優しく頭を撫でて、「いつも元気だな、飛鳥は……」と。
彼とは、いつも一緒。それが当たり前だと思っていた。
「ね、きれいな先輩の告白を断ったって……ホント?」
「誰から聞いたんだか……。あぁ、本当。」
「付き合えばいいのに……」とか言いながら、安心している自分。
大切なお兄ちゃんを、誰にも取られたくないし!
「……ご機嫌だな。」
優しい瞳。
本当は知っている……私にだけに向けられる目だと。
放課後。輝は呼び出され、告白されている。
待っている間、ずっとイライラ……我慢できなくて先に帰る。
でも寂しくなって、母の研究所に寄った。
一人で行くのは初めて。で、迷子。
……輝が悪いんだ!!ここ、どこだろ……?
中庭かな……大きな木。男の人……?
【ザァ~~】
風が吹く中、何かの音を聞いた……鈴?
「……君は……?」
輝とは違う、大人の男性。
海辺 改さん……との出会いだった。
父は、母と同じ顔の私に、輝以外……近づくのを許さなかった。
緊張しているのか、ドキドキする。
迷った私に優しくしてくれた。……好きに……なった人……改さん。
何度か輝の目を盗んで、改さんのところへ遊びに行こうとした……が、邪魔された。
行き先を聞かれたけど、黙っていた。
……輝に秘密……初めてのこと。それが嬉しかったのかも……?
バレンタインデー。輝には、朝一でチョコを渡した。
その日は、嫌い!!輝と会えないから……。
だから邪魔されないその日に、改さんの居る……研究所に向かった。
輝以外の人にチョコを渡す。初めてのことが増え、世界が広がった気がした……。
まさか私が、あなたの存在を消す役目だなんて……
部屋に近づいた時、大きな爆発音!
改さんの手には、赤い宝石が光っていた。
……聖花の目覚めだった。
何の力なのか、部屋は破壊されている。警報とアナウンスが続く……。
苦しそうな改さんに、近づくことが出来ない。
「飛鳥!」
母さんの声……?
母さんの右手に何かが現れ、……改さんと宝石は……消えた。
「痛いっ!!」
左手に激痛が走る。時定としての、目覚めだった。
舵が作動し、時を巡る。
……イリスの目覚める……あの時……過去に。
私は、人の存在を消す役目。消さなければならない命……
その恋に必死になり、……本気だった。
信じて欲しい……一緒に、消えても良いと……願うほど。
あなたが、母に執着したのは……私に恋してくれたから……。
飛鳥。イリスの目覚める過去……。
【ドンッ】小学生と、ぶつかった。
「ごめんね。大丈夫?」
転んだ男の子に、手を差し伸べる。
改さんにそっくり……?
「お姉さん……。」
可愛い!
……怪我の手当てをしてあげた。
「ありがとう。」
海辺家に引き取られたあなた……田井博士の養子……
母さんと血のつながらない弟だと、教えられていた。
この高等部に、逢いに来ていた君は……私を、母さんだと思った。
私は、まだ存在していないから……。
あなたの願いなのか、聖花が求めたのか……すべて、どうにもならない結末。
悲しすぎる……存在……。愛してあげたい……。
時始がイリスを生み出した。同時刻……それに反応して、私の中の光が右手に現れる……。
父と母の中にあった……光。イリスと合わせて、初めて……封印の力となる。
時は、まだ来ない……。
私は、同じ顔や姿を隠し……時巡として目覚めていない……母の前に現れた。
「時始は、私が預かる。」
光が、最初の犠牲……時始を包む。
聖花は、改さんの手から離れ……雪花さんの願いに惹きつけられていた。
聖花の持ち主でない者は、操られ……願いと引き換えに命を失う。
……たくさんの犠牲を目にした……。
「この世界を閉じ、ここにいる者達は預かる。」
私は、すべてを光で包んでゆく……。
有羽さんは、ばらばらになった聖花とイリス……そして改さんを送る。
光の半分を持った父が、イリスや母と巡り逢う為……。
それを追って私も巡り……赤い輪……イリスの一つを手に入れた。
改さんは、母の気持ちを手に入れるため、水の矢で父を殺そうとした。
光に反応して、イリス二つが私の元に来る。
聖花を封印する、本来の形……。
私は、揃った聖花や改さんと……未来に戻らなければならなかった。
「時定、お前は何の為に居る?なぜ封印しない!力があるのに……何故だ!」
……母さん……ごめんね。
「飛鳥……!」
左手に舵を作動させ、……時を巡る……未来へ………
時の最果て、裁きの空間。聖花を一時的に、封印する場所。
聖花は、願いの強いものに反応して……同じ事を繰り返す。
本当は、刻さんが管理するはずだった。
幼いときに、ここを引き継ぐことなく……学園に引き取られた。
先見の能力を、人が欲しがったから。
すべて、人の間違った願いが……時の犠牲を増やす……。
そして、あなたも……犠牲の一人。
「幼い頃に出逢ったのは、君だったのか。初めて会った時、懐かしい感情を抱いた。間違えても仕方ない。自分の存在が、すべてを狂わせた。人として抱いた感情が……君を求めた。」
……改さん……!!
「君を……愛したことを、後悔するだろうか?聖花は……願いを欲し、願いは募る。田井博士は……加羅のことを、心から……本当は愛していたのかも。男の子でなくても、良かったんだ。加羅に執着したのは、彼だ。」
涙が止まらない……。改さん……改さん~~……
聖花や人の願いに生み出され、ここに存在する。
もし普通に生まれていたら………
あの木の下で、私と巡り逢い……未来は繋がっていたのかな?
「消える者だと、解っている。でも……最期に、泣いてくれる……君と一緒なら……消えても良い。君は、俺と聖花に未来を……捧げて……くれる……?」
私の心は、知っていた……
気付くのは、遅かった……?本当に大切な人……!
いつも一緒にいた人が……心残り。
……輝……輝に、もう一度逢いたい……
手を取るようにと促す……改さん。……この手を……取ってあげたい……
「改さん……ごめんなさい……。消えても……良いと思った……本気で、……あなたと一緒なら……と。でも、……私の中に、大切な人がいる。巡る想いの中……すれ違い、諦め……失う悲しみを見た。まだ、間に合うのなら……未来は……輝と歩みたい……。」
「分かった……。飛鳥、近くに来て……」
最期まで優しく接してくれる。
「聖花に、イリスと光を重ねて……」
イリスの中に光……その中に聖花が……入る……。
封印は完了した。
改さんの手が、私の手に重なり……私の唇にそっと……改さんの唇が触れた。
一瞬だった……。
「ごめん……」と。
言葉と共に……消えた……。
「うっ……あ……あら……た、さん……。ごめ……ん、な……さい……」
ごめんなさい……
「飛鳥……」
愛しい声……
「輝……?」
……いつもなら……その胸に飛び込むのに……。
できない……資格がない……
「飛鳥。ずっと見守り続けた……。一緒にいても、想いは……届かないと思っていた。必死で恋をする君の……その瞳は、俺を見ることはないと……。俺を選んでくれて……ありがとう。」
「輝……、好き!」




