表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
時を巡る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/81

新たな感情…… 現実逃避


警察や人が集まり……家の玄関を、囲んでいた。

一人の警官が近づき……

「……遺体の……確認を……」

意識は遠退く。会話は、覚えていない。

家の玄関は、真っ赤に染まっていた。

母さん……白が大好きで、玄関の家具を白で揃えてた……のに……。

父さん……どうして聖花を……?

また失った……。大切な人たち……を。

五歳から引き取って……春花や雪花と、同じ愛情で育ててくれた……父と母。

喪った……。大切な人たち……を……。

あの日……聖花を、封印出来ていたら!!

自分が赦せない。……赦さない……消えればいい……!!


羅針を作動させた。

どこを巡ったのか、……どこに移動したのか……覚えていない。

……虚ろの中……巡り渡れても、想いを知るだけ。

移動出来ても、限られた距離。

役目も、能力も……意味がない。

力の限界が重くのしかかる。力は……尽きる。

このまま……消えてしまいたい。

激しい雨が降り注ぐ。

体温が、どんどん奪われ……冷……たい……このまま……?

暖かい……愛しさ……誰?優しく……しないで……。失いたくない……から……


目が覚めたとき、……裸……だった。

裸……寮。自分の部屋。いつものベッド……。なのに、違和感。

脇には、水の入ったコップ。飲んだ後の薬のゴミ。

……見たことない薬?そして、布団に……自分以外の……匂い……

人の気配はない。

………。

忘れよう。

何故だ……?一度しか会ったことのない、あいつの顔しか浮かばない……?

名前も知らない……忘れよう。

きっと、悲しい人には……妖精さんが親切にしてくれるんだ。

関わってはいけない。好きにならない……。

もう……誰も、失いたくないから……


大切な人たちを亡くした喪失感は、思ったより少ない。

失うことに慣れてしまったのか……?

自分の失態に思いが分散されたのか。

落ち着きを、取り戻しつつあった……数日後。

「さっきヤマちゃんが来て、『二つ目を持ってる』って……」

イリス?!

「輝!他に、何か言ってなかった?」

「……?いや、それだけ。」

あの野郎~~。いや、命の恩人かも知れない……けど。

……来いってことか?

「その、ヤマちゃんの名前とクラスは?」

面倒なことを!!

「……知らない。昼休みのバスケで、たまにいる……うまいし、部員かな~?」

クラスのバスケ部員に訊いたが、分からない。


昼休み。仕方なく体育館へ。

「やだ。今日、大君いないわ。」と、女の子数人。

体育館に、奴はいない。

「ねぇ、その大君は……?」

訊いてみたが答えは、知らない。

「音楽科かな?この前見かけたけど……カッコイイよね?」

音楽科?遠いな……。知らない人が多いのは、当然なのか……?

楽器をもった生徒に、訊いてみる。

「ピアノだよね。さっき、第四練習室にいたよ?」

よし!

「ありがとう」

今度こそ……!

「フナさんって、弾きに来るけど……美術科じゃ……?」

……あんの野郎ぉ~~。たらい回しかよ!!

名前やクラスが分からない。どれだけのあだ名と、特技があるんだ?

先生に訊いた方が、早いか?

「あぁ、舟越ふなこし 大和やまとか。今、桜野が使ってる部屋にいるかも。」

「どうしてですか?」

「捜してるんだろ?あいつ天邪鬼だからな。去年まで、大和が使ってたんだ。」

……だから、鍵?

「おっと、俺が教えたなんて言うなよ?……怖いから。」

先生が、……怖いって……

一体、あいつは!!

とにかく、……あの野郎。ふざけてるのか?!

科学室のドアは勢いよく……開いた!!

「大和、お前……!?」

問い詰めるはずが、いきなり抱きしめ……られた……??

なっ?!!

「はっ、放せ。」

押しのけようとするが、動かない。

……あの……匂い……?布団に、残っていた……かおり……

やっぱり……大和だった。

大和の手が頬に触れる。唇が、オレの口に……優しく重なる。

………。

受け入れる自分が……いる。

新たな感情。……愛しさ……

いけない!

忘れよう……

「加羅……。」

耳元で、優しく呼ぶ。

真剣な表情に、まっすぐ自分に向けられた……瞳。

自分を見失いそうだ。

「結婚してくれ……。」

結婚……?!!

「あぁ、……何だ……交換条件か……か。」

その言葉に、大和は……傷ついた顔をした……

「……大和?」

オレから距離を取り、後ろ向きで……左手を伸ばす。

「……え?」

青色の輪……イリスが、左手に戻る。

「……時間だ。加羅、名前を呼んでくれて……嬉しかった。戻ったら……返事を聞かせて?」

大和は、オレの方を見ない。

……後ろ向きのまま。

「!!?」

いきなり、右手の羅針が作動する。


『時間』?


大和は、やっと振り返る。

「加羅……愛している……。」

逆光で、大和の表情が見えない。

「大和!」

待て、止まれ!羅針よ、まだ………戻って、くれ……

嫌な予感がする。大和に、もう……逢えないような……

大和!……大和………

羅針の行き先は……過去……




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ