新たな感情……違和感
『風が……巡り逢う人を知らせるでしょう……』
誰だ……?
「久しぶり、逢いたかった。」
警戒しているオレに、微笑む。
なんだ……?微笑みに、背中がぞわぞわする。
……??
違和感のある、爽やかな微笑み?
オレが思い出せないのが分かったのか「ひどいな。俺は忘れたことなかったのに。」と。
とりあえず「ごめん……?」謝ってみる。
「しょうがないか……。フッ……俺を好きになってくれたら良いよ。」と、にっこり。
【ぞわぞわ……】
!?!
何だ、この今までに感じたことのない……危機感?!!
「部屋から出て行け!」
言ってしまった。
空気は明らかに冷たい。しかし、また笑顔で……
「これ、な~んだ?」と、緑色の輪を見せる。
イリスの一つ!!
手を伸ばし、取ろうとした瞬間……イリスは彼の左手に消え、あざとなる。
「時役使か!」
急いで距離を取った。
羅針を作動させようとしたが……動かない。
……?!
「敵じゃないよ。時役使でもないし。」
平然と真顔で言う。
緊張感の中……人差し指を唇にもっていき「ここに、キスしてくれたらあげるよ。」と……
にっこり微笑んだ。
【ゾワゾワ!!】背中に違和感?!!
あぁ!このぞわぞわは、身の危険信号だ!!
自分の防衛本能か……?女にとっての危険を報せる。
……こいつは本気か?
「どうする?」
本気だ!!
真剣に問う。相手の様子を見ながら、いろいろ考え……まとめる。
イリスを手に入れるためなら、命を懸けるつもりだ。
あの日……使い方を誤ったのはオレだから!
本当に、こんなことで手に入るなら……
そうだ。ただ、口が触れるだけ。それだけだ!
後は、信用できるか……どうか?
考えが筒抜けなのか……
「先に、渡しても良いよ?……君は約束を守るから。」と。
……ドキッ……何だ?……その知った風は……?
「わかった……。」
奴は左手を、オレの方に差し出す。
「イリスよ、……代理の者に戻れ。それを望む。」
イリスが、オレの左手に戻る。
「お前は、一体何者なんだ?」
答えず、真顔で「約束」……
ああ~~もう!!
胸座を取り……勢いに任せ、口を近づけた。
【ガチッ】
「痛い……。」
……泣きそうだ。何だ……?この情けなさは……。
「ふっ……」
幸せそうに……笑ってる……?
「じゃ、またね。」と、軽い足取りで部屋から出て行く。
力が抜けた。
「……また……?」
もう勘弁してくれ……。
そういえば、名前……聞いてない……?
記憶にないな……?どんなに思い出そうとしても……無理だ。
嘘をついている風でもなかったし?
何故イリスを……どうして……知っている?
謎だけが残る。
出来たら、関わりたくないな……。
あぁ……気分が悪い!寮に帰るか?
荷物を取りに、教室へ戻る。
移動教室の時間だったはず……人影?
「……輝。サボりか?」
「あぁ。加羅は、帰るのか?」
そのつもりだった。
「……輝は、オレみたいな……。」
って、何を訊くつもりだ?オレは!!
輝は嬉しそうに、「無駄話でもするか?」と、イスを用意する。
人と関わらないでいたけど……
本当は分かっている。関われず、後悔する日々が……痛い。
「……で?」
お人よしだな………悪い気はしないけど。
イスに座り、訊いた。
「輝は、オレみたいな……男とキスしたいと思うか?」
あいつは変態なのか、本気だった。
男物の制服を着ているオレだ……女だと知っていても……ないよな?
「……加羅。今まで、告白されたことないの?」
告白……?
「女生徒からあった。」
女だと知っていても。
輝は大きなため息を吐く。
「自覚無さ過ぎ……。加羅が、女だと知らない野郎はいないよ。」
意味不明。
「ちゅ~したい奴はいるって話!」
【コンコン】ノック音。
「ごめんなさい。あの……桜野さんに大切な話があるの!」
……舞?休みだったのに……?
「どうした?」
怪我をしている。
頬に絆創膏、右手と左足に包帯。
「セイカは、母にも……。義賊じゃないわ!!」
悪を世間にさらけ出し、証拠を警察に委ね……自分は手を下さない。
義賊セイカ。しかし、力を取り戻した聖花は……非情だ。
「私、許せなくて!情報を集めていたら、桜野博士が……」
……父さん……が?
「自宅に、宝石の一つを持っていると知って……」
家に………
父さん……母さん!!
学校の中を走り、羅針を作動させ……家に移動した。




