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「あはは。じゃ、質問。誰にでも、そんなことしない人?誰とも付き合おうとしない?ドアを開けたときの目が、いつもより怖かった?さ、いくつyesだったかしら。」
「……でも。」
確かにyesだ……けど!!
信じられない私に、彼女は微笑む。
「ん~?たくさん有ったわけだ。」
「……うん。」
私は赤面する。
自分でわかるほどに耳まで真っ赤だろう。
「良いね~。若いって!」
「同い年でしょ?」
綺麗な笑顔。女の子にときめくなんて。
「ふふ。瑠衣、教えてあげる。」
色気ある彼女が瑠衣と呼ぶ。
海外育ちだから?とても自然。そして大人な雰囲気。
彼女みたいになりたい。
荊ちゃん、あなただから素直に聞けたのかもしれない。
「彼は……血が繋がっていないことを、あなたが知らないと思っている。だから何もいわない。言うと、あなたを傷つけると思って。黙って見守ってる。あなたとの関係が崩れるのを恐れているのは、彼だ。」
「……そうだったら嬉しい。」
荊ちゃんは、優しく微笑む。
「自分の本当の気持ちを、そのまま伝えたらいい。」
「うん。」
私も笑顔を返す。
それを見た彼女は、少し照れたように見えて。同い年の幼さ。
誤魔化すように、意地悪な笑みを私に向け。
「でも先に進む覚悟をしてね!」
先に進む?
意味が分からなくて尋ねようとした。
【ガラッ】
1人、クラスの子が入ってくる。
「じゃ、またね。」
荊ちゃんは、慌てて去ってしまった。
先に進む……気持ちを伝えて兄妹ではなく、思いが叶った後……
想像したら恥ずかしくなった。
本当に?私が知っていることを告げたら。想いを伝えたら。気持ちは通じる?
留守の多い父を気にして、出て行ったりしないだろうか。不安しかない……
お昼休み。
彼との待ち合わせ場所に、お弁当を持って向かう。
人目につく所。中庭に彼は先に来ていた。
「お待たせ……きゃっ」
突風に、髪が乱れる。
「大丈夫?」
彼は手を伸ばし、私の髪に触れた。
「……の、野郎!」
聞き覚えのある声……お兄ちゃん?
【ガッ】
彼を殴った。
え?お兄ちゃんが怒鳴って、人を殴った?何故?
パニックになる。
「や、止めて!」
お兄ちゃんに静止を促し、彼に近づいて傷をみる。
「悪い!つい……」
お兄ちゃんは我に返る。
「痛っ……」
彼の口元が切れていた。
「大丈夫?……ごめんね。ごめんなさい……私がこんなこと頼まなければ。」
ポケットから出したハンカチで、彼の口元の傷を押さえる。
「引き受けたときから覚悟していたよ。……瑠衣、自信持って。俺の役目はここまでだから。」
あぁ、彼との取引が終ったんだ。
「え?」
突然の事に、お兄ちゃんは理解できないみたい。
「お兄さんも、気にしないで下さいね。……失礼します。」
紳士的に去る彼。
「あの……えっと。お兄ちゃんが何故、ここにいるの?」
私の質問に答えず、その場に座り込み。
「……騙された?」
お兄ちゃんは、私以上に状況が分かっていない様子。
この流れで言ってしまおう。
「私、お兄ちゃんと血が繋がってないって最近知ったの。気持ちが抑えられなくて……敬一さんが好き!」




