巡り逢う
加羅
愛に疎い私に……未来はあるでしょうか?
あなたは言う……「巡り逢う為に……私を捜してくれますか?」と。
もう、誰も失いたくない……。それなのに、見つけました……あなたを……。
巡り逢いました。……愛するために……。
あなたの気持ちに、ついていけない。
私に無かった感情と、失いたくない気持ちが……私を苦しめます。
私の心に入ってこないで……役目だと割り切れる感情なら楽なのに。
すべてが嘘で良い。……愛してはいないと、言ってくれたほうが……いい。
愛に疎い私に、未来はあるでしょうか……?
もう一人の代理者。
巡り逢う為に、何度でも私を捜してくれますか……?
あの時からずっと君を待っていた。巡り逢う時を……。
あの時、最初は……男を好きになったのかと思った。
君が女の子だと分かって、嬉しかった。
真っ直ぐな瞳に、強い心……。なのに、求めることを恐れる……女の子。
やっと再会したのに……君は覚えていない。
傷ついた君に……言葉は届かない。気持ちを……受け入れてはくれない。
どうしたら君は信じてくれる?
愛しさに、……気が狂いそうになる。
君は……巡り逢う為に、私を……捜してくれますか……?
数ヵ月後……
それぞれの想いを巡り、役目の為にたどり着いた。
……新たな時。瞬守が使える能力の限界。
オレは、イリスを集めるため……姉妹校に編入し、寮に入った。
母から、実の娘たち……春花と雪花の記憶が無くなったから。
手続きは、桜野の父さんがしてくれた。父は、この時が来るのを知っていたんだ。
………『時巡様。……私の風が……巡り逢う人を知らせるでしょう……。」
あの日……瞬守が、最後にそう言った。
「加羅。いくら特待だからって、男の制服を着るなよ。」
岡野 輝
人と接しないオレに付きまとう。
……以前は、女の制服を着ていた。
引き取ってくれた母の、男として育ったオレに対する……愛情の証だった。
本当は……男みたいに、髪を短くしたい。
時々、母の様子を見に行く二人の代わりに……。
だから……今まで通り、ぎりぎり結べる長さ……。短い髪が落ちてくる。
『身だしなみ』
あぁ……春花と雪花を……喪ったんだ。
こんな喪失感……もう……いらない……。
「舞の家に、セイカが入ったって。」
この世界に来て数ヶ月。
義賊として、セイカは活躍していた。
聖花を集める怪盗。予告状を出し、不正な取引をしている奴等の悪事を暴く。
新聞を広げ、輝は言う。
「月夜の逆光に、闇で取引されていた宝石を解放……だって。」
聖花は、人の命を奪う。
バラバラになって、力が弱いのか……集める者に意識があるみたいだ。
「舞は、今日来てないね。」
冬樹 舞。輝の好きな女性……?
本人は言わないが、気にして見ているから……多分。
聖花は……どれほど集まっているんだろう?
イリスは、まだ見つかっていない……。早くイリスを集めないと……。
この学校にあるのは確かだ。
羅針は、この位置から動かない。
「次、必須の授業じゃないから……」
成績の特待だけでなく、時役使という優遇も有り……個室を貰った。
「科学室?」
「あぁ。」
鍵は、オレだけが持っているはず……
鍵が開いている。人の気配……?
右手の羅針を作動する準備をしてそっとドアを開ける。
窓際に座り、動かない人影……
寝ている?近づいてみる。
男?
【リンッ】
室内に風が吹き彼との未来を垣間見た 一瞬のこと。
……?え?まさか……?




