表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
時を巡る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/81

あの日…… 春花と二人


春花

あの日……


家……雪花の部屋で、聖花が作動した。

その同じ時刻。……役目に目覚めた。聖花を封印するイリスを、生み出す者として。

健康だったら、もっと丈夫な体だったら……。死なずに、生きられただろうか?

加羅に託すイリス。それが作動した時……私の命は尽きる。


次の日……朝早く、学校へ向かった。

出迎える二人……間守と瞬守。瞬守は、役目に一人加わったのが、嬉しかったようだ。

「時始様。仕事で少し席を外します。」

風の通路……出逢うべき二人に、風で知らせる仕事。

「すみません。」

間守は、年上なのに敬語で謝る。

「こちらこそ……。ごめんなさい。」

間守は『先見』……将来を、ある程度知る能力がある。

彼は、知っている。私が死ぬことも……彼自身が、亡くなる時までのことも……。

「……すぐにいなくなるのに、彼女に申し訳ないわ。」

「最期まで、この場所にこだわるなら……」

彼は、口を閉ざす。

先生への想い……これで……いい。

自分の短い命の中で、人を好きになれた。……幸せな時間があった……。

先生に、出逢って良かった!

……時は来た。

自分の命……すべて……イリスに捧げた……




あの日……


時始様が、役目をまだ持っていない者にイリスを託した。

有羽は……一緒に役目を果たせると思った時始様を、失った悲しみのほうが……大きかった。

俺を失った後、有羽は……大丈夫だろうか……?

泣いている有羽を慰めながら愛しさに……胸が痛い。

「刻は、ずっと一緒にいてね。」

「……あぁ。」

何度、出来ない約束をしただろう?

淋しい君の心に付け込んだ。

俺は、生れた時から……この学園で、空間を守ってきた。ずっと独りだった。

自分が味わってきた悲しみを、君に残す。

それでも……君と共にいたかった……。


時が来た。

「有羽……。空間に異状のあるところを見つけた。」

涙の止まらない有羽。

流れる涙……愛しい君の目元に、優しく口づけする。

「行こう……」

黙ってうなずく有羽。

君に触れるのは……これが最後。

「刻……?」

君を残していく……。この手に……もう一度……君の温もりを感じたい!

それも許されない「時間……だ。」


行く先は、保健室。

……何度、夢に見ただろう?彼女との約束を守れない……瞬間……。


保健室 延々と続く砂漠の空間。

イリスを待って……止まった世界。

時止ときどめ有羽の兄。

彼は、有羽を砂の檻に閉じ込める。彼女を守るため……。

知らない有羽は、抵抗するために力を使う。

砂が風を通す中、時止は有羽の鈴に触れた。

幼い頃から大切だった、兄の記憶が君に戻る。

俺が奪っていた立場……君の中の俺の存在は、小さくなっただろうか……?

「……兄……さん?」

二人は再会し、別れる……。

俺はずっと、黙って二人を見ていた。

有羽は、理解できなかっただろう。……俺が、助けようとしなかったから……


時止は、有羽と言葉を交わした後 俺のところに来る。

夢で見た通り……。

時止の砂の剣に、俺の稲妻の剣が何度か交差する。

「時止、愛する者のところにたどり着いたら……~。」

それぞれの剣は傷となり……命に時の限界を告げる……。

「……最期に願いは、叶う。」

役目は、終わった。


命尽きる俺に、君の涙が降ってくる。

……暖かい……君の温もり。愛しい人……

「き……刻、目を開けて……。ずっと……一緒だっ……て……言った……よね?」

そう……守れない約束……

「……ごめん」




有羽

あの日……


時始様の役に立てなかった。近づくことも、出来なかった……。

泣いている私を、ずっと黙って……刻は優しく抱きしめる。

……いつものように優しい。いつも以上……に。

不自然なほどの……優しい時間。嫌な……予感がする……

「刻……?」

悲しみを感じる刻の瞳……私が……そこに映っている。

「時間だ。」

そう、……時間……お別れの……だった……


砂の檻に閉じ込められ、必死に出ようと試みる私を……刻は、ただ……遠くから見ているだけだった。

刻は、すべてを知っていた。危害を加えない人だと……。

鈴に触れた人は、私の……大切だった人。

「兄さん?」

優しく守ってくれていた兄の記憶は、刻と重なる……。

「……体を大切にしなさい。大切な役目が待っている……。」

大切な希望。

私の体………中に……守るべき未来。

「……兄さん!止めて!!……お願い……」

奪わないで……

「約束……したのに……。ずっと……一緒だと……」

ウソツキ………




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ