役目の代理
光り輝いていたイリスの、光は弱くなる。
そして、左手の甲……親指に近い所に、あざとして残る。
役目の代理……。
イリス……使い方も分からないのに。
………
「うぅ……ああぁ~~~~~……」
泣き崩れた。
春花が死んだ……
もう、会えない 話もできない 存在しない……どこにも……いない……
「春花ぁ~~……」
どれほどの時間が流れたのだろうか……。
ゆっくり立ち上がる。
雪花……雪花は、守らなければ!!
守れるだろうか……?
聖花が付け込んだ雪花の願い……?その願いは、何だろう?想い……?
石井先生!……雪花が、保健室で泣いていた。何か知っているかも!
まだ捜していない場所。……保健室に走る。
保健室
息をきらしながら……ドアを開けた。
中は、砂の世界が広がっている。
砂嵐……先生も、時役使だったのか?
延々と続く砂漠。……人影を見つけ、必死で走る。
「嫌ぁ~~」
瞬守ちゃんの声が響く。
間守君の体を、砂の剣が刺し通していた。
剣を持っているのは、石井先生?!
瞬守ちゃんは、砂の檻の中。
風では、砂の檻から出られないみたいだ。必死に叫ぶ。
「兄さん、止めて!……お願い……」
兄……?
砂の檻が崩れ……瞬守ちゃんは、間守君のところに走り寄る。
「有羽。ごめん……な」
静かな砂漠だからなのか、石井先生の声が聞こえた……。
間守君に抱きついて泣く瞬守……。有羽って名前……だった。
「き……刻、目を開けて……。ずっと、一緒だっ……て……言った……よね?」
刻……君。
私は、二人のことを何も……知らない……
石井先生は、私に気付く。
「雪花は……こっちだ。」
何故だ?私を案内しようとする……ついて行くしかなかった……。
砂の椅子に、雪花が座っているのが見える。
眠っているのか……?まさか、死……んで……
「雪……ぐっ」
叫ぼうとした私の口は、手でふさがれた。
「静かに。ここで待て……時間だ。」
時間……?
言われた通り、そこに立ち尽す。
石井先生は、雪花に近付く……
【ヒュッ】風の切るような音。
私の横を、何かが通り過ぎた……?
それは、石井先生の背中に刺さる。
?!
水の……矢?
矢が来た方向……後ろから、飛んできた?
……!?
「……海……海辺……先生……?」
海辺先生は、私の横を通り過ぎる。
「……玲?……」
雪花の声。目を覚ましたのか……?
「都合がいい。」
海辺先生は、右手に水の剣をかまえた。
「や、止めろ!」
雪花を守らなければ!
必死で、どうしたのか……覚えていない。
イリスが、左手に剣の形で現れる。
夢中で、海辺先生を追いかけた。
「玲?何が……どうなって……?玲、玲!!」
雪花の右手から、聖花が落ちて転がる。
それに手を伸ばす、海辺先生。
「やっと手に入れた。」
わからない感情が、私を動かす。
イリスの剣を両手に持って、聖花に振り落とした!!
聖花は空中で、五つの花びらと中心の宝石にバラバラになった。
そして、その衝撃でイリスも三つの宝石に……
【リンッ】
有羽ちゃんの右手に、大きな鈴。
【リ~ンッ】
音と共に、不思議な空間が広がる。
それは、空中に浮かんだそれぞれの宝石……海辺先生も飲み込み、消えた。
……っ!熱っ……~!!
右手が、焼けるように熱い……激痛が………まさか……?
激痛の中、自分になかったはずの記憶に……気付く。
時巡……。私の役目。
遅い……遅い!遅い!!何も出来なかった!!
聖花に操られた者は、願いと引き換えに命を失う……。
雪花は息をしていない……それに寄り添うように、石井先生も亡くなった……。
「時巡様。」
片膝をついて頭を下げる有羽。
「瞬守……」
やっと、彼女達の役目を知る。
そして私の前に、全身黒衣装の彼女が現れる。
「この世界を閉じ、ここにいる者達は預かる……。」
時定は、すべてを光で包んでゆく……。
私は右手に、羅針を起動させた………みんなの想いを知るために……




