Side:須藤 瑠衣
Side:須藤 瑠衣
私立結南学園。中等部3年1組。
兄……敬一とは血が繋がっていない。
最近知った。
気を惹きたくて、付き合い始めた男の子。
良くない噂は知っていた。だから付き合って欲しいとお願いした。
もちろん、彼はOK。
お兄ちゃんは、いつ止めてくれるのかな?
「彼氏のことは、何も言わない。自分の身は、大切にな?」
優しい兄の助言だった。
抱きしめられた体が熱い。
つかまれた手首が、少し赤い。そこに唇を当てる。
「敬一さん……。」
どうすれば良い?
どうすれば、女の子として見てくれる?家を出れば、妹じゃなくなる?
でも……好きになってくれなければ、意味がない。
私たちの関係は、簡単に崩れてしまうものだから。
いっそ、他の人を好きになれれば……。どんなに楽なんだろう?
お兄ちゃんは、誰かを好きなのかな?
……そんな様子はない。もし、これから誰かを好きになったら……嫌だ!絶対に!
どうしよう……血が繋がっていると、思っていたときも苦しかった。
繋がっていないと分かって嬉しかったのに。
この気持ちが抑えられなくて、もっと苦しい。
……どうして抱きしめたりしたの……?
結局、あまり寝むれなかった。
明け方に朝食とお弁当の用意をする。
顔を合わせると、泣いてしまいそうだ。
先に家を出て学校へ向かった。
いつも起こしている時間に、モーニングコール。
「おはよう。……ん?あぁ、寝ぼけてたんでしょ?……いいよ、気にしてない。彼と約束があって、先に出たから。じゃ。」
本当は聞きたい。
どうして……?
朝早くて、誰もいない教室に一人。
次々に落ちる涙。
「う……」
涙が止まらない。
「大丈夫?」
優しく声をかけてくれる。
見たことない女の子?
そっと彼女の手が背中に触れる。
その温もりが私を癒す。
「……ありがとう。」
彼女のおかげで涙が止まった。
「いいえ。」
眼鏡で隠しているけど、わかる。
……きれいな子。いたかな……?
「私、3年2組の安西 荊。最近まで休学してたの。」
私が、誰だろう?と考えているのが分かったんだ。
自己紹介をしてくれる。
「あぁ。ずっと海外にいて……席を置いているだけだった謎の生徒!!」
さっきまで泣いていたのが嘘みたいに、テンションが上がる。
あぁ、知らないはずだ。
安西さんは笑う。
「はは。謎……。そうかも。」
「え……?」
彼女は不思議な雰囲気。
私は初対面なのに、自分の事を全部話した。
「そっか。大変だったね。」
聞いてもらって、少しスッキリした。
落ち着いた私に。
「ねぇ。お兄さんは、あなたのこと好きなんじゃないの?」
「えぇ?」
考えもしなかった。お兄ちゃんが、私を?
「……思わなかった?抱きしめられたとき。」
抱きしめられた時……?
何を考えたか……ただ、びっくりして。寝ぼけたんだと。
記憶をたどるが考えもしなかった。




