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A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
君は小学生?!

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55/81

シン


限界まで走り続け、シンの家に到着した。

そして少し離れた道の角に、綾の姿を見つける。


りん。」


俺の小さな呼びかけに、綾は身を固め。俺を見つめて立っている。

距離を詰め。


「綾、お前達チームAの仕業なのか?」


「いいえ、彼は私の大切な人。そんな事はしない。」


言っていた大切な人って、シンのことだったのか?

だけど。


「綾、そいつには他に大切な人がいた。」


俺は、奏子のことを綾に言ったりして卑怯だ。


「知っている。でも、私の大切な人に変わりはない。事件は私の手で解決する!邪魔をしないで。」


悲しい表情。

シンが羨ましい。駄目だ、なおさら君を護りたい。


「危険なことはしないで。シンは、君が危険なことをするのを絶対に望まない。知っているだろ?大切な人の考え方ぐらい。」


シンは、いい奴だ。正義感が強い。そのためには、どんな無茶もする。

そこに惹かれたのだろう。けれど。


「綾、俺は君のシンと同じ資質に惚れたんだ。失った俺の近くにあった、懐かしいモノが君の中にある。そうか。君は大切に思っていた人に憧れて、無理していたんだな。」


綾は泣きそうになりながら、必死で我慢して。


「違う。無理なんかしてない!シン君は私を、いつも護っていてくれた。大切な人なの!」


後ずさり、俺から離れ。

拭ってあげたいのに、涙は零れ落ちる。


「綾……」


引き止めることも出来ず、走り去る彼女の後姿を見つめていた。


シン……お前は、どれだけ罪作りなんだ。

奏子に、綾の心。

俺の中でも、お前の存在がどれほど大きいか。


ポッ……ポツポツ。

ザーッ。


突然の大粒の雨。

立ち尽くす俺に、傘が差し伸べられ。


振り返ると。

目が赤い。泣いた痕のある奏子。


俺はそのまま濡れてもよかった。

頭を冷やすことが出来たかもしれないのに。


「中に入って。警察も、検証が済んでいるし。」


「奏子、また警察に何か言われたのか?」


俺の質問に、首を振るが。

涙が溢れて零れ落ちる。


「大丈夫。今日、一日病院にいたの。」


奏子は、そう言って口を閉ざし。

シンの家のインターホンを押した。


「おばさん、久しぶり……」


シンが亡くなって、ここには葬式以来。

おばさんは少し痩せた。顔色も良くない。


「上に、和也君もいるのよ。」


俺と奏子は2階に上がる。

おばさんは悲しそうな表情で、下から見ていた。


シンの部屋のドアを開ける。


「なっ……何だ」


言葉を失う。この惨状。

部屋は、すべてがひっくり返ったように混沌としている。

誰が、こんなことを。


「ユウ。これ、酷いだろ?何も盗まれてはいなかったらしいけど。」


シンは綺麗好きだったし、物をあまり置いていなかったのに。

ここまでになるなんて。何かを探したような。


窓の鍵の位置が割られ、侵入経路が分かる。

机の上に文具が散乱し。クローゼットのシンの服が、かき乱されている。


きっと亡くなってから触ることも出来ず、そのままの状態だったはずのもの。

大切なものが、こんな風に扱われて。


おばさんが見つけた時のことを想像しただけで、胸が苦しい。

犯人に憎しみがわく。


こんな犯人に、綾は挑むのか。

危険だ。俺が見つけてやる!絶対に許さない。


「私、もう家に帰らないといけないの。また明日、学校で。」


帰ると言うのを俺だけに向けて。

いつもなら送ると言い出すはずの和也は、奏子を見ようとしない。


「あぁ……気をつけて帰れよ。」


2人の間に、不思議な空気が流れていた。


「大丈夫、親が迎えに来てくれたから。」


部屋の中から、階段を下りる奏子を見送り。

和也は、ため息を吐き。イスに座って、ずっと考え事をしている。


「和也?」


声をかけるが、反応はなく。ずっと黙って上の空。

何かあったのか?


俺は、荒らされた机上や引き出しの中を注意深く捜した。ノート。

綾部先生は、水泳部の記録のノートが無くなったと言っていた。


それらしいものは無い。

机周りや床にも色々なものが散らばり、ノートは見当たらない。


犯人が見つけて、持って行ったのだろうか?

それともシンは持っていなかった?


シンは……誰かに殺されたのだろうか……






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