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A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
君は小学生?!

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54/81

・・


「優貴、聞いてくれてありがとう。あぁ~すっきりした!」


麗季ちゃんは大人だ。

しっかり前を見ている。


「私のこんな姿を知っているのは、あなただけよ?」


【ドキッ】


麗季ちゃんの笑顔にときめいてしまった。

あまりに綺麗で。


「自信持てば?魅力的な女性だよ、君は。」


本心だった。ただ、安易に言ってはいけない言葉。

それでも年の差に悩むのは同じだから。


「どういうこと?」


アヤの声に振り返る。

会えないと思っていたので、俺は嬉しくなったのに。


アヤは怖い顔で俺を睨んでいる。

麗季ちゃんは、ため息。


あれ?まさか、やきもち?

今、何を言ったら信じてくれるだろう?


麗季ちゃんの相談事を言うことも出来ない。

黙っているのも、どうだろう?


「女好き!」


「俺が好きなのは、アヤだけだよ。」


女好きって、それだけはない。

真実を告げて様子をみる。


「嘘!だって、この間は綺麗な人と一緒だった。私の新聞記事も、ただの好奇心なんでしょ。今度は麗季なの?」


アヤは涙ぐむ。

年の差に悩み、それ以上に拗れるような事は避けたい。


「アヤ!」


俺は自分の言葉を聞いて欲しくて、アヤの名を呼んだ。

この時、初めて知る。君の名前が違うことを。


「私はアヤじゃない!……バカァ~!」


理解できない俺を置いて。

いつものように柵を飛び越える。


「アヤじゃない?」


君を追いかけることも、引き止めることも出来なかった。


「よくアヤって糸偏の綾って漢字使うでしょ?誰かがそれを言ってから、あだ名になったの。本当はリンなのよ。」


傷つけた。

好きだと言っておきながら。俺は、彼女のことを何も知らない。


「なぁ、嵐から聞いたんだけど。中学生がりんのことを狙っているって。そいつは、リンって知ってるの?」


情けない逃げ道のような質問。

麗季ちゃんは淡々と答える。


「えぇ。気にはなっていたけど、私が言うことじゃないと。ごめんなさい。」


「君が謝らなくていい、俺が悪いのだから。むしろ気をつかわせて、ごめんな。」


本当に好きなら、知りたいと願い。可能な限り調べて、名前を間違えるなど。

そんな馬鹿な事で傷つけたりしない。

恋愛に、どれだけ自分が疎いのか。幼い自分に腹が立つ。

まだ、本当に俺が女好きだったなら。そんな間違いはしない……どん底の自己嫌悪。


「任務に戻ってリンと話をしておくわ。また話をしましょう。」


「あぁ。」


柵を軽やかに越えるのを見届け。

俺は中学生以下の知識で、綾を知ったつもり。


学校新聞の特集に掲載された隠し撮りの写真と、本人の言葉などない記事。

何度か会って、言葉を交わし。外見に惹かれて。付き合ってくれなんて。


後悔が俺を襲う。

それでも、この気持ちは。


綾……俺は、本当に君を好きになったんだ。君に惹かれ、もう戻れない。

信じて欲しい……



【携帯のコール音】


誰からか確認せずに出る。

泣きながら話し始めるので、聞き取りにくい。


「奏子?…………分かった、すぐに行く。」


内容に驚き、俺は走って移動する。

チームAが、シンの部屋を荒らしたのだと。


何故?何かを探しているのか。

さっきまで二人はここに、学校にいた。チームAは二人組ではなく、他にもいるのか?


屋上のドアを開け、階段を駆け下りた。

靴を履き替え。校庭を走りぬけ、校門を通る。



「加河優貴さん!……ちょっと話があるんだけど?」


急いでいる俺は不機嫌で。

足を止めて、息を切らしながら観察。


見覚えのない整った顔の男。太西たにし学園の中等部の制服。

予測が正しければ、コイツは。


睨む俺に怯むことなく。


「俺は、松木まつのき 連歌れんかです。あなたは、綾と付き合っているのですか?」


馴れ馴れしく綾と呼び。あからさまな敵意。

急いでいるが、こいつを無視するのも何だか悔しい。


「お前さあ、綾と俺が付き合っていたら諦めるの?」


「質問に、質問を返すのは卑怯ですよ。」


こいつ嫌いだ。分かる。こいつも俺のことが嫌い。

見えない火花が散る。


「悪いけど今日は、相手をしてやれない。またな!」


急いでいるのが嘘ではないことぐらい分かるだろう。

太西学園は、麻生学園の姉妹校の中で一番の進学校。特に、中等部は競争率が激しいはずだ。


あいつが綾の頬にキスをした、中学生。

俺の中学の時などバスケ一筋だった。


連歌は真っ直ぐ、何かを見据えた覚悟の見える視線だった。

綾を好きで、俺に立ち向かう余裕もある。


綾のことを、まだ俺は何も知らない。

俺が彼氏だと、はっきり言えなかった。




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