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A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
君は小学生?!

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手を出して


アヤは俺に気づいて距離を縮め。


「しっ」


俺の口を押え、隠れていた場所より更に奥。貯水タンクの物陰に導く。

やはりアヤはチームAだった。


長い髪が、俺の頬に当たりくすぐる。

女の子の甘い香りに、柔らかい身体。少し胸が当たっていて。

隠れている筈なのに、不謹慎なことが思考を占める。


彼女と密着して、俺の理性など……


俺の口を塞いでいる手に、重なるように触れると。

過剰な反応。それは。


視線が合い。暗闇でもわかる困惑の表情。

モットミタイ。


彼女の腰に腕を回して、抱き寄せた。


「優貴?ダメ、こんな時に。」


周りを確認し、抵抗をするアヤ。


人の来る様子はない。

そう、この屋上は逃走ルートに入らないから。


軽い身を押さえつけ。

俺の手や腕は、彼女の自由を簡単に奪えた。


「駄目、ヤダ……怖いっ……」


アヤの体の震えが俺に伝わった。

我に返る。


「ご……ごめん!」


押さえていた手を離し、アヤを解放する。


「……任務の途中なの、もう行くわ。」


俺と目を合わさずに、アヤは鉄格子をいつものように越えた。


俺は一体。何を?


理性が飛んで。アヤを押し倒し。

唇にではないが、首筋にキスをした記憶がある。

腰に回した腕を移動して、ゆっくりお腹から胸に、触れた……ような。


駄目だ!記憶が曖昧だ。

俺はついに、現実で彼女に手を出してしまった。

来るんじゃなかった。


後悔しても遅い。

好きだ、アヤのこと。思った以上に本気だ。

こんなことをして、許してくれるだろうか?


突き落とされたような、どん底。

後悔と罪悪感と入り交ざる何か。


どうやって帰ったのかも覚えていない。

朝まで眠れなかった。


アヤに謝らないと。

でも会うのが怖い。


『怖い』


アヤも言っていた、震えて。

当然だ。小学生なんだ。

言い寄る男がいても、押し倒すなんてあるはずがない。

今までになかっただろう。


アヤ……

俺の気持ちは。どうすればいい?

こんなことをする俺なんか、嫌いになっただろうか?



次の日。いい天気だけど。

気分は憂鬱で、どんよりテンション低め。


いつものように日常は繰り返されて、やってくる。

学校は昨日のチームAと、生徒会の裏帳簿の話で盛り上がっていた。


「ユウ、眠そうだな。眠れなかったのか?」


心配する和也に、昨日のことは言えなかった。


「ちょっと考え事を……大丈夫!シンのことじゃない。久々に体を動かして、柔道を張り切りすぎたのか遊びすぎた。帰ってすぐに寝て起きたのが、まずかったのかも。」


「かなりハードに動いていたからな。疲れただろ。……お、新聞部もお縄になったみたいだな。よかった!AYAの記事を貰った後で。」


また手に入れたのか。入手困難なのに。

一体、どんな弱みを。まさかリークしたのは……

さすがに違うか。


「そうだ、和也。俺さ、今日の放課後は水泳部に寄ってから帰る。シンの荷物があるみたいなんだ。」


クラスにいる水泳部のマネージャーが、連絡をくれていた。


「あぁ、そんな事を言っていたな。俺は今日も柔道部に顔を出すし、そっちは頼む。」


俺は高校で部活に入らなかった。

中学の時の怪我は、すぐに治ったが。大事な試合に出られなかったのがトラウマになって。

一線を引いて、逃げていたんだ……




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