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「男前の変態なんて、どう注意すればいいのかしら?」
【ドキッ】
いきなり変態って言われた?
俺の心臓があり得ない程バクバクして。
恐る恐る視線を向ける。
俺に声をかけたのは、小学生にしては大人びた雰囲気の女の子。
そして、その後ろから覗き見る女の子の姿。屋上に居た子だ。
嵐が言っていたアヤだろうか。
「へ、変態じゃないよ?」
つい今の状況に、弱気になってしまう。
俺の視線に。
「「ふぅ~ん?アヤに用事があるみたいね。あなた、男前だと中の子が騒いでるわよ?練習にならないわ。」
注意を受けてしまった。
不審者なのは否定できない。
身内でもない高校生が、小学生の新体操を覗いていたとなると。(まだ覗いてないけど)
「私には一生の相手がいるから。それ以外は、男前だろうと顔など認識しない。残念だわ。」
クスクスと笑いながら。
大人びたことを言う。
「麗季?」
アヤは思っていた以上に、透き通るような綺麗な声。
麗季と呼ばれた女の子はアヤを置いて、中に入って行く。
男前と前提を置いてくれても、俺は『変態』かなぁ。
落ち込む俺に。
「私に、用事ですか?」
距離が縮んで。俺を覗き込む。
警戒心がそこまでなかったのだろう。
俺もこんな状況、考えていなかった。
「昨日、屋上にいたよね?」
さっきまでの雰囲気が一変して。
突き刺さるような視線で、近づいた距離から素早く遠ざかり。
「目的は何です?ふふっ、この幼い身体かしら?」
彼女は、小学生とは思えない色気を放つ。
触れてはいけない、踏み込んでもいけない。
俺の奥深く。
警告音を発するように。俺も。
「待て、それ以上寄るな!違うんだ。その、校舎から飛び降りたから!無事か心配になったんだ。ごめん!」
俺は居た堪れなくなって、その場から逃げた。
なんて卑怯なんだ。
あんな薄着で、あの身長に。
突然、空気が変わって色香が増すなんて。
動悸が治まらない!
最近の子は、何食ってんだぁ~~。
もう一人の子も、背は低いけど胸が。
くそぉ~~。俺は、まともだぁ!
いつからロリコンだ?しっかりしないと。
俺の理想は、奏子みたいな大人の女性だろ?
それなのに。アヤの綺麗な顔、綺麗な声が俺の頭から離れない。
君に惹かれ……俺は自分を見失っていく。
アヤ、君は小学生!
家に無事に帰った俺。
聞いた手前、弟の嵐に二人の話をした。
「あぁ、あいつもいたのか。」
自然を装いながら、不自然な動きで顔が真っ赤。
おいおい、お前は麗季ちゃんが好きなのか?
まさか、胸に惚れたんじゃないだろうな?
いや、こいつは言っても同い年。犯罪じゃない。
「アヤは大人しくて、あまり話さないだろ?」
大人しい?
確かに最初は、そうだった。麗季ちゃんの後ろに隠れるように。
けれど、あの屋上で会ったことを言った後。一変し。
漂う色香…………
「ね、もう少し先にいってみる?触っていいよ?」
アヤは俺の手を取り、胸に導き。触れる手前。
「アヤ?」
まだ2回しか会っていないのに。いいのか?
本当に触って良いのか?相手は小学生だぞ?!
アヤは、もう片方の手を俺の頬に当て。
顔を近づけて、俺の唇に
【ピピピピ】
目覚ましの音。
ベッドの上で目を開けて。
なんてとんでもない夢を見たのだと、落ち込んだ。
『目的は何です?この幼い身体かしら』
あの言葉と色香に毒された。
もう近づくのは止めよう。無事だと確認できたのだから。
これ以上は心奪われて、狂いそうだ。
君に誘われるように、夢で手を出した。俺の夢、俺の願望なら。
確実に、手遅れなのか?
何故だ?何故、こんなに心惹かれる?
俺の足りない何かを、求める。
欠けた何かが君の中にある。それが一体何なのか。
知るのは、後のこと。




